最近,あちらこちらで小耳に挟んだ話を。
1.種類株式への転換の際の「合意を証する書面」
種類株式を導入する際に,既存の普通株式を有する株主が所有する株式の一部について,新規に導入する種類株式への転換がされることがある。この際,俗に「株主全員の同意を証する書面」として,転換される株式を有する株主については「合意を証する書面」を,それ以外の株主については「同意を証する書面」を添付すべきものとされている。
この「合意を証する書面」は,如何?
一部の商業登記所においては,「合意」の文字に拘泥する余り,株式会社と転換される株式を有する株主との「相互調印形式の書面」を要求しているという話も聞く。
しかし,株式会社と株主の関係は,契約関係であろうか? 仮に,契約関係であるとすれば,「転換」=変更契約を意味することになることから,相互調印方式を要求することに理もあるであろう。
しかし,そうではない(契約関係ではない。)。
また,例えば,種類株式の導入に関する定款変更が,株主提案によって,取締役会等の経営陣の意思によらずに決議されることもあり得るであろう。この場合に,経営陣の意思によらないから,転換することはできないと解されることにはならないであろう。
「合意を証する書面」については,法律上,不要式であり,転換される株主の意思を確認することができるのであれば,いわゆる「差入書形式」の書面であっても,登記実務上認められるべきである。
大阪法務局管内においては,最近,「差入書形式も可」ということが確認されたようである。
2.種類株式を有する株主を害するおそれと種類株主総会議事録の添付の要否
いわゆる会社法第323条第2項の「種類株主総会の決議を要しない」旨の定款の定めがない場合において,同条第1項各号のコーポレート・アクションが実行されたとき,株式会社としては,種類株主総会の承認の決議を経るか否かの判断を迫られることになる。
この場合に,株式会社が当該種類株主総会の決議を要しないと判断して手続を実行したときに,登記申請書の添付書面として種類株主総会議事録の添付を要するのか否かが,稀に問題となるようである。
本来,種類株主総会議事録の添付を要するのは,「登記すべき事項につき種類株主総会の決議を要するとき」である(商業登記法第46条第2項)。
株式会社が「おそれがない(=決議を要しない。)」と判断し,これに合理性があるのであれば,添付を要しないということでよいはずである。
しかし,一部の商業登記所においては,特段の思慮もなく,機械的に種類株主総会議事録の添付を求めているらしいという噂を聞く(「決議を要しない」と判断するのであれば,その旨の上申書等を添付せよという指導をしているらしい。)。
商業登記法第46条第2項を改めて読み返すべきである。
3.種類株式発行会社において株主総会(いわゆる「通常の株主総会」)の決議を要する場合の株主リスト
いわゆる株主リストにおいては,議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主が所有する株式の数を記載する(商業登記規則第61条第3項)ものとされており,種類株式発行会社においては,「株式の種類及び種類ごとの数を含む」(同条第2項括弧書)ものとされている。
ん~。
決議の結果に影響するのは,「議決権の数」であって,「所有する株式の数」ではない。株主総会議事録においても,種類株式発行会社であるからといって,議決権を行使することができる株主が所有する株式の数及びその「株式の種類及び種類ごとの数」について記載することは,通常はしていないはずである。
いわゆる犯収法においても,実質的支配者の判断は,「議決権」ベースである(犯収法施行規則第11条第2項参照)。
商業登記規則第61条第2項の場面においては,是非もないにせよ,同条第3項の場面においては,「株式の数」の記載は不要なのではないか(規則が無用の記載を要求しているのではないか。)。
とまれ,種類株式発行会社において株主総会(いわゆる「通常の株主総会」)の決議を要する場合の株主リストに関して,機械的に「株式の種類及び種類ごとの数」の記載を要求する商業登記所があるようなので,御注意を。
私は,不要であると考えるが(規則上は,必要であるとしか読めない。)。
1.種類株式への転換の際の「合意を証する書面」
種類株式を導入する際に,既存の普通株式を有する株主が所有する株式の一部について,新規に導入する種類株式への転換がされることがある。この際,俗に「株主全員の同意を証する書面」として,転換される株式を有する株主については「合意を証する書面」を,それ以外の株主については「同意を証する書面」を添付すべきものとされている。
この「合意を証する書面」は,如何?
一部の商業登記所においては,「合意」の文字に拘泥する余り,株式会社と転換される株式を有する株主との「相互調印形式の書面」を要求しているという話も聞く。
しかし,株式会社と株主の関係は,契約関係であろうか? 仮に,契約関係であるとすれば,「転換」=変更契約を意味することになることから,相互調印方式を要求することに理もあるであろう。
しかし,そうではない(契約関係ではない。)。
また,例えば,種類株式の導入に関する定款変更が,株主提案によって,取締役会等の経営陣の意思によらずに決議されることもあり得るであろう。この場合に,経営陣の意思によらないから,転換することはできないと解されることにはならないであろう。
「合意を証する書面」については,法律上,不要式であり,転換される株主の意思を確認することができるのであれば,いわゆる「差入書形式」の書面であっても,登記実務上認められるべきである。
大阪法務局管内においては,最近,「差入書形式も可」ということが確認されたようである。
2.種類株式を有する株主を害するおそれと種類株主総会議事録の添付の要否
いわゆる会社法第323条第2項の「種類株主総会の決議を要しない」旨の定款の定めがない場合において,同条第1項各号のコーポレート・アクションが実行されたとき,株式会社としては,種類株主総会の承認の決議を経るか否かの判断を迫られることになる。
この場合に,株式会社が当該種類株主総会の決議を要しないと判断して手続を実行したときに,登記申請書の添付書面として種類株主総会議事録の添付を要するのか否かが,稀に問題となるようである。
本来,種類株主総会議事録の添付を要するのは,「登記すべき事項につき種類株主総会の決議を要するとき」である(商業登記法第46条第2項)。
株式会社が「おそれがない(=決議を要しない。)」と判断し,これに合理性があるのであれば,添付を要しないということでよいはずである。
しかし,一部の商業登記所においては,特段の思慮もなく,機械的に種類株主総会議事録の添付を求めているらしいという噂を聞く(「決議を要しない」と判断するのであれば,その旨の上申書等を添付せよという指導をしているらしい。)。
商業登記法第46条第2項を改めて読み返すべきである。
3.種類株式発行会社において株主総会(いわゆる「通常の株主総会」)の決議を要する場合の株主リスト
いわゆる株主リストにおいては,議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主が所有する株式の数を記載する(商業登記規則第61条第3項)ものとされており,種類株式発行会社においては,「株式の種類及び種類ごとの数を含む」(同条第2項括弧書)ものとされている。
ん~。
決議の結果に影響するのは,「議決権の数」であって,「所有する株式の数」ではない。株主総会議事録においても,種類株式発行会社であるからといって,議決権を行使することができる株主が所有する株式の数及びその「株式の種類及び種類ごとの数」について記載することは,通常はしていないはずである。
いわゆる犯収法においても,実質的支配者の判断は,「議決権」ベースである(犯収法施行規則第11条第2項参照)。
商業登記規則第61条第2項の場面においては,是非もないにせよ,同条第3項の場面においては,「株式の数」の記載は不要なのではないか(規則が無用の記載を要求しているのではないか。)。
とまれ,種類株式発行会社において株主総会(いわゆる「通常の株主総会」)の決議を要する場合の株主リストに関して,機械的に「株式の種類及び種類ごとの数」の記載を要求する商業登記所があるようなので,御注意を。
私は,不要であると考えるが(規則上は,必要であるとしか読めない。)。