最高裁令和3年3月11日第1小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90094
【判示事項】
1 利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当はその全体が法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)24条1項3号に規定する資本の払戻しに該当する
2 法人税法施行令(平成27年政令第142号による改正前のもの)23条1項3号の規定のうち資本の払戻しがされた場合の当該払戻し直前の払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分の法適合性
株式会社が剰余金の配当を行う場合において,その他資本剰余金とその他利益剰余金のどちらから減少させるべきかについては,会社法及び会社計算規則には規定が設けられておらず,剰余金の配当を行う株式会社が適宜に定めることになる(会社計算規則第23条参照)。当該原資を決定する機関は,株式会社の内部規律に従えばよい。
なお,会社法第445条第4項,会社計算規則第22条の規定に従った準備金の計上も必要となる。
余談ながら,税務上は,その他資本剰余金とその他利益剰余金の双方を同時に減少させる場合には,まずその他資本剰余金を減少させ,次いでその他利益剰余金を減少させるものとする旨の整理がされており,株式会社が任意に定めることは税務上は認められないようである。
※ 「その他利益剰余金」を原資とする配当の場合には配当所得となるが,「その他資本剰余金」を原資とする配当の場合には保有株式の一部を譲渡したものとみなされるため,「みなし譲渡」になり,みなし譲渡損益として,譲渡所得として計算される。
cf.
平成23年6月6日付け「剰余金の配当の原資」