おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

総会関連

2019-01-11 | マンション〔法 令・判 例〕

 

 

2016・12・3のブログ(管理組合法人自身の?議決権)に関して

念のためですが 

判例としては 東京地方裁判所平成23・7・6があります

≪管理組合法人自らが所有する区分所有建物については 議決権を認めることは

できない≫

という内容です

 

個人的には 少々?疑義を整理できないところがあるので ブログに記したのでしたが・・・

 

 

マンション管理組合の 総会 に関することは 相談の多い分野です

率直に言って 内部で派閥抗争?などがある場合などは 神経を使いこなさなければならない

ような雰囲気の会場で 開始から終了までビッシリ 顧問としてもピーンと

張り詰める数時間となります

通常は 総会細則などというものが準備されていることはあまりなく 用意してあっても 

細かい部分までは網羅されているものは稀で いろいろとアタフタと 

議長さんも 役員さんも

管理会社さんも 顧問たる私も 

それぞれの立場で 大変な思いをしたりします

 

今までにも何度もブログに登場していますが 

平時 と 争い時との差が これほど異なるのか

ということを思い知らされる 

私の仕事場における「相続処理」や「マンション管理処理」という舞台での

マンション管理組合総会は 代表的名場面であります

 

 

総会に関することで 今までに経験したりしたことを 極く簡潔に 

参考になるかもしれないことを中心に 記してみます

(原則 標準管理規約を基にしています)

 

・ 議長には 

  議事を進行させ 整理する権限(議事整理権)

  と 

  議場の秩序を維持する権限(議場の秩序維持権)

  があります

  質疑のために必要と判断した場合には 出席の資格がない者であっても

  出席を認めることもできる(理事会の決定が無くとも 議長の裁量の範囲内で

  議長が第三者の傍聴や発言を認めることも可能)とする考えもあります

  議長という立場は それなりの権限を持つ(反面 重責でもある)ので 

  誰が担当するかは

  会合が充実したものになるかどうかの重要なポイントであることを痛感することが

  多いです

  

  標準管理規約では 理事長が務めます(42・5項)

 

・ 正当な招集でなければいけないので 役員の定数が一名足りない状態での

  招集決議後の総会決議は無効とされたりします(東京地判平成26・11・27)

  争いある状態でのマンションにおいては特に このようなことも起き得るので 

  定員は守らなければならないと説得を試みたりするのですが それなりの

  社会的影響度に意をそそぐべき立場であろうはずの大学准教授さんであっても 

  事の重大さを蹴散らし

  たった一名ごときの不足なんの問題があるのだとばかり 無視して強引に

  進めようとする方がおられたりしましたが・・・こう言ってはまずいのでしょうが

  長年の知己 ほぼ 顔を見知った者の集まりだ としても

  茶飲み会では けっしてないのです

  後々 現実に 重箱の隅をさらいあうような事態にもなりかねないのです

  瑕疵がないように 進めなければなりません

 

・ 総会の招集の通知のことですが 標準管理規約では2週間前までに発する必要があり

  ますが 通知の到達が開催日の2週間内となっても通知の効力には影響ありません

  (到達主義ではなく発信主義を採用しています)

  通知の方法について 区分所有法と標準管理規約に制限はありませんので 必ずしも

  文書でなくとも 口頭や電話でも可 とはされますが 文書が望ましいことは当然です

 

・ 一定の重要事項の決議の場合は 議題のほかに 議案の要領の通知も必要です

  議題とは 話合いの対象となる事柄のタイトル

  例えば「管理費値上げの件」などと示され 会議の目的 といわれるものです

  議案とは 決議内容の案

  議案の要領とは 決議内容の案の要約

  

  ここらあたりも 後々 問題として追求されることがあり得ます

  「管理費値上げの件」であった場合 管理費値下げの動議が出されたとしても

  これを討議することはできないと判断されるでしょう

  (通知外のことは決議できません 47・10項)

  内容を縮小する方向の(値上げ幅を小さくする)動議なら許される場合もあります

 

・ 複数の住戸を持っている1人の区分所有者(マンション住人さん)が議決権を使う時

  分割して行使すること(いわゆる不統一行使)は 認められないとされてはいます

  が 少々専門的過ぎる話題ではありますが 信託の対象となっている場合は 

  やむを得ないと判断されると思います

 

・ 景気の好い時代のリゾートマンションなどでは 別荘用になどということで 使用時期を

  調整しながらの 数法人間で共有制度を採ったような場合もあったことでしょう

  専有部分が共有の場合で一の組合員とみなされる場合は 議決権行使者1人を決めなければ

  なりません(区分所有法40)

  民法の特別法である区分所有法にはそのあたりのことの規定がないので 

  共有者の持分の価格の過半数で決めることになるでしょう(民法252)

 

・ 総会には出席しないけれども 開催前に議案について賛成・反対を記した

  書面(議決権行使書)を招集者に提出することがあります

  出席者としてカウントされるので 総会運営上重要な方法ですが 

  [賛否の記載のない場合でも 賛否いずれかの意思表示とみなすこととする]

  とされていたりしていても そのような扱いはつまるところ意思を明らかにできない

  ので不適切であって 効力は認められません

  が 定足数の扱いなどで 出席組合員として取り扱うこと自体は可能とも考えられる

  でしょう

 

・ 代理人による議決権行使についてですが

  代理権授与は 総会ごとであり 将来の総会まで含めて 包括的に代理権限を授与

  することはできないとされているのが多数説?と理解されます

  が 

  個人的には 限定期間や特殊限定ケースを勘案して 規約での特別例外があっても

  よいのでは(総会での委任状獲得に苦労している役員さんが 

  意外と多く 今後マスマス そのエネルギーを必要とされるような印象があるので

  妥当な運営・運用なら 可としても よいのでは と)?

  という思いを抱いています(巷の一人素浪人マンション管理士のツブヤキにすぎないこと 

  ではありますが・・・)

 

   判例には 事前に包括的に 許すというものがあったりしています

  (東京地判平成23年・7・6)

  さらに 詳しい情報を確認したいと考えています 

 

  念のための記述ですが 

  議決権行使書と委任状は どちらも本人が総会には出むかないで議決権を使う方法ですが

  前者は自らが賛否の意思を決定し 後者は それを代理人に委ねるものです

  代理人は 委ねられているとしても 本人の権限授与の意義を尊重することは重要ですが

 

・ 規約に限定が無ければ 未成年者でも代理人に就けます

  

  関連して 

  区分所有者が未成年であるというような 特殊?な場合もあり得ます

  この場合 成年後見人がついていたり 親権者であるような場合は 規約に代理人の資格

  制限を定められていても 法定代理人であるのですから 規約の制限には縛られません

 

・ ある事項を 総会での特別決議が必要である対象としようとする場合のその決議自体は

  特別決議であることまでは必要でなく 普通決議で可 とされます

 

・ 管理費等の支払を猶予する場合も 総会の決議を経る必要があります

  (東京地判平成20・4.24)

 

 

争い事が起きた時 つまるところは 裁判で ということにもなりますが

その判定を考えるとき 極端な話ですが 大法廷判決も いつ どのような事情で

変わるかもしれませんし

そもそも 判定の基準は条文だとも限りません

公共の福祉 というような 広い幅をもつものであったり 最後の最後は

一般常識的なもので エイヤーと決めざるを得ない といっても

時代とともに微妙に捉え方が曖昧になったり 

場合によっては事情判決 などというような

ある意味 法以上の武器?が基準となって法廷に現われたり

ということで 

一番無難なのは 疑義がある場合は 議長さんは ≪ その都度 総会意思を確認しながら

進めておく ≫ということに つきると考えます

 

“マァ いいか  とか  議長たる俺の権限でいいのだ”などと走ることは禁物

動議などが重なる とか 突然 規約や細則でも エイヤー といかないような

輪番優先役員候補と 突然の立候補者の乱立 とかが入り乱れるとか 

とても複雑に入り乱れた動議の提案の嵐の迷いの森に

深く入り込みそうな場合は 

“皆さん これでいかがでしょう”

と 多数決合意を確認しながら総会を進めることが肝要

 

つまるところ 私的所有者団体のマンション管理組合なのですから 

国といえでも 私的事項 に対しては その 私的を究極的には尊重せざるを得ない

 

自分たちのことを自分たちで了承して運営しているのだから 

多少法的に疑義があっても そのこと(私的財産に関することの私的自治)を尊重すべきだ

あまり 干渉すべきではない いや 干渉してはいけない

という気配?流れがある判決も眺められるのですから  

 

 

 

さて もう少しだけ 総会関連のお話を続けさせていただきますが

・長期修繕計画を策定する議案と 計画に基づく工事を実施する議案は

 別のものです

 前者が議決済みだからといって そのまま 工事実施もオーケーというわけには

 いきません 特別の管理であるもの あるいは それ以外の管理の実施であるもの

 の決議が必要です

 

・最後に 質問の多い事項ですが

 総会の議事録が区分所有法や規約に則って作られていないとしても 総会の手続に瑕疵が

 なければ 総会の決議の有効性に影響することはない とはされています

 (福岡簡判27・5・19  東京地判平成26・7・10)

 

 

以上 総会関係のことを 少々ですが 記してみました

 

 

 

私事で恐縮ですが

特定行政書士という仕事の関連で 貸金業の許認可申請などの業務もあるものですから

保持しておいたほうが好いということで 急遽

昨年11月に 【貸金業取扱主任者】という国家試験を受けたのでした が

さいわい 合格しておりました

100名中30名 という合格率の試験でしたが 若者さんが多い受験会場では

配布された問題の1ページを開く時 やはり? というか とても 緊張しました

なにしろ 当然といえば当然ですが それぞれの試験 独特の業務色というものが

ありますので

 

 

さて あとは1月18日の もうひとつの国家試験の発表を待つばかり

こちらのほうは どんな具合になっていることやら

なにしろ 貸金業取扱主任者試験後 2週間しかなかったので 正直 受験日の

会場への道行は 人生 初めてと言っていい感情を味わいました

 

“ あまり 気乗りがしないなー ”

 

という思いが増幅していたのでした 

まったくのところ 我ながら

“アンタにしては めずらしいことだな”との心境なのでした

マンション管理士知識が相応にあれば ほとんど 重なる知識を問われる試験なのですが

さすがに 試験の性格が微妙に異なり 受験準備らしい体制のないままの突入は

少々無謀だったかな と 反省させられました

 

案の定 手強かったです

 

 

 

さて 長いブログで しかも しばらく専門的分野の記事ばかりの連続で 

もうしわけありません

 

実は 先日 一泊で強行軍でしたが スケジュールの合間をぬって

伊豆の伊東温泉を初めて訪ねることができたりしましたので いずれ 

その印象などを と 考えております

どちらかというと 東京以北の温泉地を訪れることが多いのですが

さすがに雪の季節は やや 実行を考えてしまうので

今回は 南へ

それにしても さすが 静岡の東はずれ 

群青色ともいえる海を眺めながら2キロほど歩いただけで 

1月初旬というのに シッカリ 汗をかいてしまったほどでした

帰ってきて 翌朝の当地の気温の厳しさを つくづく思ったのでしたが

北国の今の朝のことを思ったら 自己の甘さに 思わず苦笑いしてしまいました

 

                    

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