顧問をしていたマンションに いわゆる「クレーマー」がいたりしました
プライバシーのことなどありますので 脚色しています が
その一人 A氏の攻めの常套手段は 『根拠を示せ』
という言葉 でした
場合によっては
条文 あるいは いわゆる通達 などの類を 直接ながめてもらうこともありました
そのときの反応は
職場で 通達類のなかで アーダコーダと案件と闘っている日々なのに
ここにおよんでまで そんなものながめたくも無い
というふうでした
この方は いわゆるインテリっぽい方 でした が・・・
意思の伝達そのものに苦労した思い出があります
意思の交通自体がしにくい というのか 論点がかみ合わない というような・・・
電話では A氏の配偶者からの怒声の連発などもありましたが 直接理事会出席を提案し
A氏と交渉しました折は クレーマーとはいいにくいような オドオド感を感じました
A氏 というより 配偶者が差配の元なのか ? などと勝手ながら思ってしまったり・・・
その後 いつのまにやら クレーマーを卒業したふうな雰囲気になっていたり・・・
などなど
数件 いろいろな思い出が それらのマンションごとについて あります
クレーマー
とにかく ホボ何に対しても絶対反対 タイプ
とにかく 一番の意図は 自分の存在のアピール タイプ
とにかく 組織を自己中的に動かしたい タイプ
とにかく 自己の力量を発揮でき 賞賛してもらう場を獲得したく思う タイプ
とにかく 不満をブツケル場がなんとしても欲しい タイプ
顧問に就くキッカケであったりすることの多い(理事会からの クレーマー対策相談があり)クレーマー
問題のことでした
理事会などでも専門用語を説明する必要があったりすると 同様に 標準管理規約類の条文などをも
示すこともあるのですが
・条文など読むの初めて わけのわからない文字が並んでいるだけでツマラナイ
・下手な説明をボヤーッと聞かされるより すこしは理解の足しになりそう
・オモシロクモナントモナイようなものだと思っていたけど そうでもなさそう
・偉そうに そんなもの見せるなよ
などなど 反応は サマザマ
さて
[区分所有法]という法律では 法律上当然に成立する団体 による管理運営のことの法なのですが
その組織規定が整備されているとは 到底いえません が
かろうじて 管理組合法人 のところでは 組織の主要な事項について定められています
マンション管理士受験を 急に思い立って 区分所有法を学習し始めた頃
エッ と驚かされたことは 46条6項の前段部 のことでした
管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する
学習相談者からの質問も多い箇所で 率直に言わせていただくと この質問をなさる
段階の方の学習熱心さと 読解レベルの向上を思わせられたりします
(逆な言い方をさせていただくと 『構成員が組織の代表を担うというのが一般だと
思うのですが 団体組織自体が組織構成員の代理人 というのは いかにも珍しいですよね』
と話しかけても ゼンゼン のってこないと ムム・・ ということで
相当長い間学習を経ている方が このあたりのことに 別に違和感を感じないままでいるのか
と チョットばかり ?不安を覚えてしまったりするのです)
第六節 管理組合法人 省略アリ
(成立等)
第四十七条
第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集
会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所
の所在地において登記をすることによって法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、
管理組合法人につき効力を生ずる。
6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。・・・・・・・・・・・・・・・・
民法の学習は 各種の国家試験に挑戦していたこともあったり 業務上も必須の知識と
なるものが多いので 継続していたつもりでしたが
一般の法人の場合では その法人自体が終局的な権利義務者そのものであって 法人
がそれの構成員(社員)であるところの自然人・法人ら権利・義務を持てる者を代理する
仕組みまでは想定できなかったので・・・
管理組合法人は 本人であるところの区分所有者の[代理人]あり その構成員である
区分所有者は管理組合法人の中に 吸収されてしまうというわけではないということ
マンション共用部分について損害保険を付ける(付保)の場合を考えてみると それは
管理に関することなので集会の普通決議による(18条4項)のですが 保険契約を結ぶ
のは 管理組合法人が区分所有者を代理して行う
代理なので その効果は本人であるところの各区分所有者に帰属するのだから 各区
分所有者は保険金額の請求と受領の権限を有する
けれど 管理組合法人は 区分所有者を代理して 損害保険契約に基づく保険金額
の請求と受領をすることができる(47条6項後段)
これらの行為を実際にするのは 理事が管理組合法人を代表してする(49条3項)
管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する
・法人の代表者の行為の効果は 法人に帰属する
という理解を自身はしてきたのだけれど 管理組合法人は 独立の法人格を持つにもかかわらず
その行為について構成員であるところの区分所有者の代理人(管理組合法人が構成員を代理す
るというのは法人の行為の効果が法人に帰属するのではなく 構成員であるところの区分所有者
に帰属するということを意味している)としての行為をしていることになる とのことは ビックリ でした
初めてこの条文にふれたときは 『立法部でも コンナミスをしてしまうものなのか ?』
と 思ってしまったほどです
マンション管理士試験の試験委員をなさっている高名な弁護士さんは 著書のなかで
:管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する:
とは <相当に特異な法律構成> だ と 述べておられます
法人とは 法によって 集合体などの特定の団体が自然人以外で権利義務者の地位
につけるもの(主体)として認められたもの で 目的に従って事務を執行し 対外的に
は法人を代表する機関として 実際に行為する者が必要とされ 執行機関および代表
機関として理事が置かれることになります(49条1項)
管理組合法人の理事の活動は おおよそ管理組合(区分所有者の団体)の管理者の
それと変わるところはない と 説明されることが一般的といえるでしょう
でも 繰り返しにもなりますが 管理者は区分所有者を代理するのだけれど 理事は
管理組合法人〔 これが区分所有者を代理する 〕の機関として それを代表する と
いうことで 法的な位置付けは異なっています
法人の機関としての理事の職務権限内の行為が管理組合法人の行為となって 理事
の行為の効果は管理組合法人に帰属するという筋道になります
本日は クレーマーに関しての思い出のことから始まり
管理組合法人の代理と区分所有者のこと
などの記事となりました
法人化の際には 経験上ですが そうとうに専門的な質問がなされることも多いです
≪法人化≫ などという言葉には たしかに 非日常的な響きがある とも言えそうですね