今から3年ほど前、あるホテルでとても残念なサービスに遭遇しました。
高校の同窓会で世界文化遺産宮島(広島県廿日市市)を訪れた時のこと。
一泊二日の同窓会ツアーは、総勢30名。
広島で会社経営や支店長をしている同期の3名が企画、1日目は、世界文化遺産の原爆ドームからスタート。
平和記念公園、縮景園を見学。
お好み村で広島焼を堪能しました。
二日目は、宮島。宮島口からJRのフェリーで宮島に到着。
厳島神社を参拝、大願寺、紅葉谷公園、宮島ロープウェイで獅子岩を経て弥山(みせん・535㍍)山頂へ。
伊藤博文総理大臣も感動した瀬戸内海365度パノラマビューに魅了されました。
事件は、その帰路に起こりました。
ロープウェイを降り、フェリー乗場に向かう途中、若いお母さんと泣いている小学校1年生くらいの男の子。
困っている様子だったので聞いたところ、その子どもさんがトイレに行きたいとのこと。
緊急を要する状態だったため、周りを見回したところトイレらしきものはありません。
目の前には、立派な作りのホテルが・・・。
私がその子を連れてホテルのロビーに入ったところ、黒服を着たマネジャーらしき人。
私「すいません。この子にトイレを貸してやっていただけませんか?」
黒服「公衆トイレは、この前の道を100メートル言ったところにあるので、そこを利用してください。」
目が点になりました。
緊急を要する状態だったため、その子を連れて隣のホテルへ。
隣のホテルの方は、すぐに状況を察しトイレまで速やかに案内。
事なきを得ました。
その子もそのお母さんは何度も何度も、そのホテルの方にお礼を言われていました。
そのホテルは、今でも覚えています。
「旅館宮島館」という小ぶりながら人間味あふれるホテルです。
本当にお世話になりました。
トイレ一つの対応で、多くのお客さんを得るか、お客さんの支持を失うかが決まります。
あの黒服のマネジャーが速やかにトイレに誘導し、帰りに飴玉やガムの一つでも子どもさんに渡し、笑顔で見送れば、ファンになったに違いありません。
次に宮島を訪れるときは、そのホテルを選択するに違いありません。
まさに、「真実の瞬間」だったのです。
また、われわれ団体客も宮島での楽しい思い出の最後に、悲しい汚点を付けることになったのです。
年末に広島に住む友人に聞いたところでは、トイレを使わせてもらえなかったホテルは食中毒を出し営業停止になったとのこと。
あの時遭遇した黒服の対応と食中毒事件は、全く関係がないとは言えないのではないかと語っていました。
3年たっても話題になる残念なサービス。
本当に恐ろしい話です。
サービスの伝説を作るためには長年の時間が必要です。
しかしながら、悪評を立てるのは一瞬なのです。
マーケティング的にいくら広告宣伝をしたって価格を落としたとしても、もうそれだけでは客数は増えない時代。
むしろ口コミや評判の方がお客さんの背中を押します。
少なくともお客さま視点で、現在できることで最善のことをアタマを使って提供していくことが求められていると思います。