製造現場、販売現場、サービス現場・・・ニッポンの強みと言われてきた現場力が低下し続けているように思います。
今までなかったようなミスやポカ、唖然とする対応などが増えているように思います。
本当にニッポンは大丈夫なのか?心配しきりの昨今です。
2007年問題と言われた団塊の世代の退職、若年層の就職氷河期、失業率の高止まり、少子化などなど雇用情勢・労働環境も大きく変化しています。
先輩の持つ技能、技術、ノウハウなどがうまく伝承できていないということと、若年労働者が職に就けずスキルを磨けないといったことに起因していると思います。
先日もあるメーカーの人事部長が頭をかかえていました。
「また、若手社員が退職しました・・・。」
内定者教育、新入社員教育、各職場でのOJT、コーチングを終え、ほぼ戦力となりそうな時期の退職。
採用費用、教育費のリターンのないままの退職。
ニッポンの会社という一種「ムラ社会」の中での残念感は大きなものだと思います。
さらに、その人事部長のお話では、辞める若手社員の多くが非製造業・サービス業へ転職している事例が多いということです。
この1年間、そのものづくり製造業から、コンサルティング会社やウエディングサービス業、金融業に転職していったとのことです。
「製造業のサービス化」というフレーズは過去幾度となく取り上げられましたが、ものづくり離れが進むことを改めて実感した次第です。
こういった労働環境の中での変化が累積しながら、人的資源の劣化、スキルダウンが進んでいるように思います。
この対応策としての一般論を述べると次のようになると思います。
1.技能教育、技術教育の充実
2.受け入れ側の会社としての指導 OJTやコーチングの推進
3.キャリア教育の実施
4.仕事マニュアルの作成
5.ブラザー制度シスター制度などの仕組みの構築
6.第3者によるチェックとフィードバック・アセスメント
7.現場の管理監督者のマネジメント力、職場管理力の向上
ただ、今までニッポンの職場の持っていた良き風土、伝統といったものは、もはや再生できないのではないか?という危惧を持っています。
それは、組織は人なり、人材育成を最重視する姿勢です。
上司や先輩は、部下や若手の成長のために最大限のパワーをかける・・・、部下や後輩は何とかして早く一人前になりたいという使命感・義務感・・・。
そういった善の循環がニッポンの会社の競争力を高めていったと思うのです。
今では、職場内で自主的に動いていたQCサークルや小集団活動は天然記念物的な存在ですし、社員旅行や会社運動会などもほとんどなくなった感じがします。
時代の流れが、そうしたと言えばそれまでですが、ニッポンの会社の古き良き時代を知るオジサンとしては、寂しい限りです。
今、中国のシンセンや広州、無錫などでは、かっての日本の製造業の工場と見間違えるほどの光景があります。
朝礼、ラジオ体操、工場長訓示、エイエイオー、工場運動会で家族も巻き込んでの汗を流し、中国人にはないと言われている愛社精神が垣間見れるのです。
製造業に携わっている方は、ぜひとも中国の工場見学をお勧めします。
わたしの先輩である製造会社の会長は、一糸乱れぬ朝礼の光景を見ながら感動のあまり涙を浮かべていました。
強いと言われていたニッポンの現場のスキル・・・。
今、危機を迎えています。