キャリア論の巨匠 エドガー・H・シャイン博士の最新刊。
それにしてもシャイン博士は何歳になられたんでしょうか?9
0歳はこえていらっしゃるんでしょうか?
ドラッカー博士と同様、時代の先端に寄り添い続ける学者は本当に長寿です。
キャリアダイナミクス、キャリアアンカー、キャリアサバイバル等、キャリア論の最先端を賭け続けたシャイン博士が編著をつとえたということで購入しました。
「組織セラピー 組織感情への臨床アプローチ」
エドガー・H・シャイン編著 尾川丈一・稲葉祐之・木村琢磨訳
白桃書房 2315円+税
まず驚いたのが、組織セラピーという方法論、そして組織感情というコンセプト。
従来、風土、企業文化、空気といったとらえ方をしていたジャンルに、心理学から方法論、コンセプトを持ち込み、課題解決していこうという主張です。
最近、組織論には、エスノグラフィーや観察というアプローチも登場していますが、
この組織セラピー、組織感情という用語も経営学の中に出てくるかもしれません。
目次
第1章 人間関係を助けるプロセスコンサルテーション シャイン著
第2章 組織の感情的側面
第3章 トヨタを襲ったパニック
第4章 家族システム療法
第5章 やりがいのある仕事
第6章 組織セラピーに関するいくつかの省察
付録として、シャイン博士へのインタビュー、座談会が付されており、全体的に難解な内容ながら、このセッションがあるために理解促進に役立ちます。
組織感情、組織セラピー・・・実務的には、まだまだ発展途上のコンセプトですが、
心理学、臨床心理学と経営学、マネジメントとの融合により新たな実践論が出てくるように思えます。
これだけ複雑な時代になった今、セラピスト的な経営コンサルタントが増えてくるかもしれません。
キャリア論を研究されている方には必読の一冊です。