能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

申し訳ない、御社をつぶしたのは私です 米国コンサルティングファームの経営コンサルタントの書いた懺悔本

2018年06月29日 | 本と雑誌
サッカーワールドカップ・ロシア大会。
とりあえず、とりあえず、日本代表、決勝トーナメント進出、おめでとうございます。

強豪ポーランドに0-1で敗れたものの、ギリギリの所でグループHを2位通過。
決勝トーナメントでは、ベルギーと当たるそうです。
ニッポン、がんばれ!

今回は、ちょっと変な本のご紹介です。
米国の経営コンサルタントの告白本です。

5フォース、競争優位性、3つの基本戦略、PPM、ビジネススクリーン、BP
R、リエンジニアリング、グリッド理論、7モデル・・・
今まで流行歌のように流行し、廃っていった経営用語。

コンサルティングファームが生み出した経営ツールやメソッドです・・・。
よくよく振り返ってみると、それらの手段で蘇った企業は、ごくわずか・・・。

儲かったのは経営コンサルティング会社だけのように思えてきます。

SWOT分析、PEST分析、VRIO分析、3C、4P、5F、7Sなどのビジネスフレームワークや分析ツールを始めて学んだ若き日・・・。
何でもフレームワークに当てはめていましたっけ・・・苦笑。
カナヅチを手にすると、すべてのものが釘に見える・・・という例のヤツです。


申し訳ない、御社をつぶしたのは私です
コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする-

カレン・フェラン著 神崎朗子訳  大和書房刊 820円+税

著者は、MITのMBAホルダーで、ジェミニコンサルティングなどの大手ファームで戦略、オペレーション、OD、IT戦略を手がけたコンサルタント。

330ページを超える同書の中で、コンサルタントの懺悔の記録を展開していきます。

目次

大手ファームは無意味なことばかりさせている

第1章 「戦略計画」は何の役にも立たない 画期的な戦略でガタガタになる

第2章 「最適化プロセス」は机上の空論 データより「付箋」の方が役に立つ

第3章  「数値目標」が組織を振り回す コストも売上げもただの「数え方」の問題

第4章  「業績管理システム」で士気はガタ落ち 終わりのない書類作成は何のため?

第5章   「マネジメントモデル」なんていらない  マニュアルを捨てればマネージャーになれる

第6章  「人材開発プログラム」には絶対参加するな こうして会社はコンサルにつぶされる

第7章   「リーダーシップ開発」で食べている人たち  リーダーシップを持てるチェックリストなんてない

第8章「ベストプラクティス」は奇跡のダイエット食品  コンサル頼みから抜け出す方法


この本で著者が訴えているのは、人間性の回帰。
数字やグラフ、チャート、機能ばかりに焦点を当てたビジネスの世界は、人間性や人の温もりを無視した無機質なものになりつつあります。

ビジネス、仕事は、人間が主役。

数字や業績管理だけで、経営は改善しないし、人間性を無視したツールやメソッドは害を及ぼすと言及します。

ドラッカー博士の説いた「知りながら、害をおよぼすな」・・・プロフェッショナルの条件です。

美しい数値目標を入れて組織がガタガタになった事例、もっともらしい業績管理システムで出来る人もできない人もやる気、モチベーションを低下させた事例などを具体的に取り上げています。

特に、第5章の「マネジメントモデル」なんていらない、第6章の「人材開発プログラム」には絶対参加するな!の章は圧巻。
管理監督者の方には必読、お勧めです。

当たり前のことですが、マネジメントのツール、メソッドが万能ではないことを改めて認識できた一冊でした。

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