能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

さらば、オッサン!劣化するオッサン社会の処方箋・・・努力しないオッサンの末路 山口周さんのオッサンへの提言

2021年03月21日 | 本と雑誌

大好きな山口周さんの著作・・・雨の日曜日に読み返してみました。

小職も含めた「劣化したオッサン」である世代への強いメッセージです。

そういえば、JOC会長(83歳)の問題発言や東京五輪の演出ディレクター(67歳)の不適切な企画立案、総務省の幹部職員の立ち振る舞い・・・。

劣化したオッサンたちが、この国を跋扈しています。

 

駅員に暴力をふるうオッサン、店員に暴言を吐くオッサン、タクシーやバスの運転手にからむオッサン、盗撮するオッサン、頑固で柔軟性のないオッサン・・・

確かに日本の「オッサン」は劣化しています・・・。

7割のオッサンが管理職になれないという会社というシステム、3組に一組が離婚するという夫婦の関係、年収一千万円を獲得できるのは労働人口の4%という格差社会、男性の4人に1人は結婚できない・・・様々なストレスがオッサンを襲います。

劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか

山口周著  光文社新書  760円+税

 

最近、ちょっと山口さんのファンです。

「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」「武器になる哲学」なども読ませていただきました。

今回の一冊は、前著「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」のアドバンス版ともいえるもの。

一部、重複していますが、エリートではない「オッサン」に焦点を当てて書かれています。

本のタイトル「劣化するオッサン社会の処方箋」もちょっと弱め、さらに「なぜ一流は三流に牛耳られるのか」というサブタイトルもコンテンツに合っていないように思います。

「オッサン・サバイバル術」とか「教養なきオッサンの末路」ぐらいのタイトルであれば、倍売れると思います(笑)。

 

同書で言う「オッサン」の定義は、次のような特徴を持っています。

1.古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する

2.過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない

3.階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る

4.よそ者や異質な者に不寛容で、排他的

びくっ!リフレクションを与えてくれる定義です。

 

さらに、著者は言います。

「経験が30年と言っても、1年の経験を30回繰り返した社内でしか通用しない、いや、社外でも通用しないオッサンが多い」

痛いところを突きます。

目次

第1章 なぜオッサンは劣化したのか 失われた大きなモノガタリ

第2章 劣化は必然

第3章 中堅・若手がオッサンに対抗する武器

第4章 実は優しくない日本企業 人生100年時代を幸福に生きるために

第5章 なぜ年長者は敬われるようになったのか

第6章 サーバントリーダーシップ 支配型リーダーシップからの脱却

ATTのロバート・グリーンリーフの提唱した「サーバントリーダーシップ」の解説が、シニアの在り方を再定義しています。

第7章 学び続ける上で重要なのが「経験の質」

第8章 セカンドステージでの挑戦と失敗の重要性

「劣化したオッサン」にならないために、30歳代、40歳代の人に、ぜひ読んでおいていただきたい第8章です。

著者は、大学院美術史学専攻修士課程を修了後、電通、ボスコン等を経て、コーンフェリー・ヘイグループでシニアクライアントパートナーを務める実務家。

前著「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」は、2018年「日本の人事部」HRアワード書籍部門で最優秀賞受賞、ビジネス書大賞2018で準大賞を受賞した一冊で、山口さんのメジャーデビューになりました。

リベラルアーツの世界からコンサルティング会社に入った異色のビジネスパースンです。

 

個人的に、劣化したオッサンにならないようにポジショニングマップを作っています。

2象限に分類しています。

「教養がある」×「お金持ち」・・・おじさま(おばさま)!

「教養がない」×「お金持ち」・・・パパさん(和歌山のドンファンのような)(ママさん)

「教養がある」×「ビンボー」・・・おっさん(おばちゃん)

「教養がない」×「ビンボー」・・・GGI/じじい(BBA/ばばあ)

著者の定義とは、ちょっと違いますが・・・笑。

このポジショニングマップでいくと、「教養がない×ビンボー」→「教養がある×ビンボー」→「教養がある×お金持ち」に位置取りを変えるよう努力してきました。

「おじさま・おばさま」への道はなかなか険しいです。

 

そのため、

1.若い人たちとのコミュニケーション、話を聞く・・・飲み食いはご馳走しちゃいます

2.本を読む・・・月に10冊以上読む、読む、読む!

3.アウトプットし続ける、情報発信し続ける

という地道な努力を繰り返している所です。

でも、まだまた、「おじさま」への道は遠いです(苦笑)。

 

同書のまとめは、次の4つです。

1.組織のトップは世代交代を経るごとに劣化する

2.オッサンは尊重すべきだという幻想を捨てよう

3.オピニオン(オッサンにいいたいことを言う)とエグジット(オッサンから逃げる・会社から逃げる)を活用してオッサンに圧力をかけよう

4.美意識と知的戦闘力を高めてモビリティを獲得しよう

 

特に、4番目のモビリティは重要なキーワード。

ポータブルスキルと言い換えることが出来ます。

他社で通用するスキルセット、マインドセット、社外でも汎用性のある仕事力がサバイバルの鍵だとします。

特に、人生の第2ステージ・・・25歳から50歳までにどれだけ種をまいたかによって、メインステージとも言える第3ステージ(50歳~75歳)の幸せや成功を呼ぶと解説。

同書の中で何度か引用されるサミュエル・ウルマンの「青春」という詩。

「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心のありさまを言う・・・」という有名なフレーズです。

その上で著者は、オッサンを再定義します。

年をとっただけで「老いる」ということはありません。

つまり「オッサン」というのは、

好奇心を失い、

謙虚さも失い、

驚きながら学び続けるという姿勢を失ってしまった人たちのことを言うのです。

「脱」オッサンのためにも、生涯、学び続けなければなりません。

若い人たちから、「老害」とか「シーラカンス」と言われないように・・・。

実に、たいへんな時代になったものです。


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