能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

経営学は役に立つのか?「仕事に役立つ経営学」で知るニッポンの経営学最新研究テーマ 日経文庫

2014年12月13日 | 本と雑誌

経営学を学ぶと儲かりますか?という問い。


う~ん。経営学者や経済学者にあまり大金持ちはいないし、大学教授としてコンサルタントや社外取締役でパートタイムジョブをしても、さほど儲からないし・・・。

なかなか難しい命題です。

個人的な意見としては、学ばないより学んだ方が良い・・・という、とても情けない結論です(笑)。

経営という激務の中で、精神衛生上、安定、安心を保つためのサプリといったところでしょうか?

 

経営学というカテゴリーが登場して約100年。

19世紀、英国の産業革命により、組織的、技術革新的な産業が勃興したことが、その起点と言えます。

アメリカのF.T.テイラーの科学的管理法やフランスのファヨールの管理論がその始まりとされています。


よくよく考えてみると、古代エジプトのピラミッドや中国の万里の長城などのビッグプロジェクトにも経営理論やマネジメント理論があったはずです。

何万人という労働者、天井知らずの建築費用などを誰かが計画を立て、そのプロジェクトを進めていたはずです。


が、経営学ということになると、やはりテーラーやファヨールからの文脈が、ヨーロッパ大陸、特にドイツでの研究の中で「経営学」に帰結したと言われています。

もともとは、経済学の枝分かれ・・・経営経済学としてスタートします。

経済学は数学的、定量的な証明が可能と言われる学問で、特定のモデルの中での実証が可能と言われています。


「学」とは、サイエンス。

特定の手順を踏めば、特定の結果が導き出せるのがサイエンス。

インプットとアウトプットの因果関係が一定の手順で紐づけられるのが科学なのです。


「STAP細胞はあります!」と断言しても、手順を踏んで常に再生可能な状態にならなければ、それは科学ではないのです。


そして、経営学。

だれがやっても、特定の手順を踏めば、一定の結果が導き出される・・・。

それは、経営学の世界では、とても難しいことだと思います。

この手順で経営戦略を踏めば大きな成果が上がる、こういった組織、システムを作れば、能率的・機能的な会社組織になる・・・ということが、常に言えないからです。

雑誌で、ある経営者が「社会科学」という言葉に疑義を述べられていました。

経済学、法律学、商学、経営学などがサイエンスなのか?というわけです。

その文脈からすると、人文科学、リベラルアーツも???です。


経営学の世界でも、ある手順を踏めば、確実に一定の成果が再生できる・・・とは言えないことが多々あります。

なぜか?

それは、経営の世界では、変数が多すぎるのです。

外部環境、顧客の意思決定、社員の意識や感情、時代のトレンド、競合他社の出方などなど、それらを定量的、数学的に把握するのは、現時点ではビッグデータの時代とはいえ、それは無理といえます。


天才と言われるマイケル・ポーター博士が打ち出した5Fや競争戦略・・・一世を風靡しましたが、その理論さえ複雑な市場や環境の中で万能とは言えませんでした。

今のところ、経営学は役に立たなくはない・・・というのが精いっぱいのところだと思います。

偉い学者先生が、経営に関する事象をモデル化して、フィールドワークやケーススタディを繰り返していますが、人間をバラバラにして再び組みなおしても、そこに生命がないように、かなり難解なパズルを解くことに努力されています。

それでも、ある単純化された特定のモデルの中では成立するものの、決して万能とは、言えないのです。


それでも、シンプルなビジネスフレームワークや人間の心理面、組織文化やヴィジョン分析などを通じて、自論や持論を展開する経営コンサルタントや学者がたくさん存在しています。

ある大企業が、ある大学の先生を入れて社内改革をしたところ業績が急降下した・・・有名な経営コンサルタントがコンサルしたところ立派なチャート図やスライドは完成したものの何も変わらなかった・・・という話を聞くたびに寂しい気持ちになります。

変数が無数にあるため、何でもありの世界の弊害が出ているのです。


でも、経営学を学ぶことは、仕事を面白くさせます。

世の中の仕組みの一部分を垣間見ることが出来るからです。

そんな中、現在のニッポンの経営学の概要を概観できるコンパクトな一冊が出版されました。

 

日経文庫 仕事に役立つ経営学

日本経済新聞社編 日経文庫 860円+税

 

日経文庫の新刊である同書は、日経朝刊に掲載された「経営学はいま」を再編集したもの。

日本の経営学の世界で、それぞれの分野の第一人者である大学教授が最新の研究分野のテーマを初心者でも分かりやすいように解説した一冊。

経営学の初心者、経営学部の学生、社会人の自己啓発に最適な本です。


特に、経営学の各分野で、どんな研究が行われているかが把握できるのが、大きなメリット。

しかも、それぞれの先生が、初心者でも分かりやすいよう丁寧な解説、そして、推薦本を明示(ブックガイド)されています。

 

目次

1.企業の経済学 経営を経済学から読み取る 浅羽早大教授

キーワード・・・企業価値・範囲の経済・ネットワーク外部性・企業統治・社外取締役・同族企業

 

2.事業の立地戦略 誰に何を売るのかを問う 三品神戸大学教授

キーワード・・・事業の変数・ポーター5F・M&A・傍流人材

 

3.戦略イノベーション 間違いと違いは紙一重 楠木一橋大教授

キーワード・・・独自のストーリー・賢者の盲点・非合理の理・経営者のセンス・非連続性

 

4.不確実性 シナリオ分析と多様性で危機を乗り越える 岡田慶大教授

キーワード・・・逆張り投資・先制的破壊・創発的戦略・オプション的発想・みんなの意見

 

5.組織開発 変わり続けることに対応できる人と職場をつくる 金井神戸大教授

キーワード・・・参加型経営・人事部4つの役割・プロセスデザイン・サーベイ・謙虚な質問

6.ダイバーシティ 多様性と一体感の両立を目指して 鈴木神戸大教授

キーワード・・・コラボ・空間距離・職場のレイアウト・理念経営・関わり合い・心理的契約

 

7.起業 ベンチャー精神を育む「場」をつくる 東出早大教授

キーワード・・・できる理由・時間価値・余裕がアイデアをうむ・リーダー経験

 

8.企業倫理 コンプライアンスを超えて 梅津慶大准教授

キーワード・・・8割がブラック企業・長寿企業・賢い企業行動・社会的責任・経営教育

 

9.企業会計 企業の実態を「見える化」する 加賀谷一橋大准教授

キーワード・・・基準統合・情報開示・のれん処理・短期志向化・価値創造力・指標

 

10.財務戦略 企業財務とリスク 中野一橋大教授

キーワード・・・生産性・無借金・利益率のバラツキ・利益のパイ

 

11.技術経営 革新的な技術を経営の成果につなげる 武石京大教授

キーワード・・・理・文協働・勝てる力と有利な立場・先行と後発・不確実性・外部の革新

 

マーケティングやICT戦略、グローバル戦略は、特に章をとって取り上げられていません。

分野の第一線の研究者の掲げるテーマは、日本の経営学のホットコーナー。

一冊の新書版でこれらに触れられるというのは、とても「役に立ち」ます。

経営学に関心のある方は、必読の一冊だと思います。


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社長が選ぶ今年の社長2014 業界を熟知しながら幽体離脱して高い所から俯瞰できる能力が社長力の基本 

2014年12月13日 | マネジメント

今の時代、社長業というのは、本当に大変な仕事。

次々に変わる環境、市場、技術革新、グローバル化・・・。

その中での舵取り、外への働きかけ、内部の統制・マネジメント・・・。

その仕事たるや全ての持てる力を全開にした命がけの職業です。


友人の経営者は、

夢の中にも数字が駆け回っている、

遊んでいても資金繰りの計算をしている、

飲んでフラッシュアイデアが出て歓喜、翌朝起きて冷静に考えると全く使い物にならない愚案だった・・・

などのグチを笑い話風に語ります。

まあ、これだけポジィティブで明るければ大丈夫だよと助言しているのですが・・・。

 

産業能率大学から、「第7回 社長が選ぶ今年の社長2014」が発表されました。

従業員10名以上の会社の社長559名にインターネット調査。

471名から有効回答を得たとのことです。


第1位 孫ソフトバンク社長 171票

第2位 豊田トヨタ社長 124票

第3位 柳井ユニクロ社長 30票

第4位 ティム・クックアップル社長 15票

第5位 永守日本電産社長

    新浪サントリー社長

    グレン・ガンベルUSJ社長

第8位 森川LINE社長

第9位 小飼マツダ社長

    古森富士フイルム社長

    ジャック・マーアリハバCEO


得票数からすると、孫社長と豊田社長がぶっちぎりの1位、2位。

孫社長は、2年連続4回目のトップとのことです。

同大学の解説では、「先見性と新規分野への挑戦」が評価されたとあります。

孫社長の打ち出す壮大なヴィジョン、経営計画、スピーディな意思決定がソフトバンク社の快進撃を源になっているということが、現職の社長の支持を得ているのだと思います。


同時期に行われた日経ビジネス誌の「日本の社長ランキング」もほぼ同様な並びでした。


第1位 永守日本電産社長

第2位 孫ソフトバンク社長

第3位 豊田トヨタ社長

第4位 鈴木セブン&i会長

第5位 古森富士フイルム社長

第6位 柳井ユニクロ社長


ランキングされた社長は、いずれもカリスマ。

強力なリーダーシップに裏打ちされた先見性、構想力、そして実行力のランキングということも出来ると思います。

そして、それぞれの業界を知り尽くしている専門職であるということが重要であるように思えます。

米国のように、異なる業界を飛び歩くCEOが数多くいる世界とは異なるように思います。

そういった意味では、サントリーの新社長は注目されるところです。

 

業界を熟知しながら、幽体離脱して高いところから俯瞰できる・・・そして想いと信念に基づき強力な執行力、実行力を発揮する・・・そんな社長が今、業績を上げ、支持を得ているのだと思います。


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山崎製パン本社のクリスマス飾り・・・これは人事労務対策?オリジナルでエコなディスプレイに感心しました

2014年12月12日 | マネジメント

東京・岩本町にある山崎製パン本社。

その本社前に、クリスマスのディスプレイがあります。

通常では、クリスマスツリーやサンタクロースというのが定番なのですが、同社の本社の前に飾ってあるのは、木製の手作りトナカイ。

しかも三頭も。

サンタクロースの乗るソリは付いていません。


その光景に、ちょっと感心した次第です。

第一に、環境に優しいというエコロジー対応であるということ。

LEDピカピカのディスプレイも素敵ですが、電力を消費する光害を起こすなどの欠点もあります。

その点、小学生が作ったようなシンプルな天然木のトナカイ・・・地味ながらも、いろいろと感じさせるところがあります。


第二に、全国10万店舗に配送するヤマザキパンのトラックドライバーを元気づける意図があるのではと思ったことです。

サンタクロースと世界の子供たちにたくさんのプレゼントを載せて運ぶトナカイがひくソリ。

なかなかの心配りだと思います。労務対策だけではなく、こうした社員のことを思う会社はエクセレントだと思います。

きっと社内でも、ドライバーを大切にされているのだと思います。


そういえば、今年の大雪で走行できなくなった国道で、同社のドライバーがパンを無償配布、ネットで流され大きな称賛を浴びたことがありました。

株価も上がったとか・・・。


年商ももうすぐ一兆円。

社員数も連結で1万7000名。

昭和23年に千葉県市川市で創業したパン屋さんが全国区、そして、シンガポールや中国などのアジア進出も果たしているとのことです。

地味ながらも真面目な山崎製パン。

今、ペヤング(まるか食品)の焼きそば事件や日清食品のスパ王事件など、食品会社は一つの事故やクレームが組織の存続を危うくします。

ネット社会の進展により、初期対応のミスが一瞬にして拡大してしまうのです。

でも、山崎製パンの真摯な経営姿勢は、今回のトナカイを見ても安心かなと思います。


今後も美味しいパンを作り続けていただきたいものです。


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横丁で街に「にぎわい」を 中心市街地を活性化する切り札 コンパクトシティを感じさせた「おしゃれ横丁」

2014年12月11日 | まち歩き

「中心市街地」という言葉も、最近ではあまりスポットライトを浴びなくなってきました。


少し前までは、経済産業省、都道府県の産業局などが中心となって中心市街地活性化や商店街の振興などの施策を展開してきましたが、ほとんど効果がなかったというのが本当のところです。

中心市街地活性化法や大店法など、地元商店主を保護し、かつ街を再生しようという動きが、ほとんど空振りに終わったということだと思います。


少子高齢化、車社会にともなうロードサイドの発展、全国チェーン店の出店など、地場の個性は次第に希薄になり、にぎわいや活力がどんどんなくなってきています。

どこの街に行っても、駅前はほとんど同じ光景が展開されることになります。


そんな中、ある町の駅前で面白い光景に出合いました。

「おしゃれ横丁」

素敵なネーミングです。

オードリー・ヘップバーンが歩いていそう・・・(笑)。

 

そのアーケードの向こうには、小さな小売店、飲食店や飲み屋さん、風俗が続いていました。

ちょっと昭和レトロな感じです。

独特なデザインの時計塔。シュールな感じを与えてくれます。

3メートルぐらいの狭い路地にお店が並んでいます。

なんとモニュメントも・・・。

平成元年と表記されています。

これもなかなか素敵なデザインです。

夜になると、ターミナル駅から流れる勤め帰りのサラリーマンが、ネオン輝く、この横丁を通って帰路につくのだと思います。

 

高齢社会となった日本。

これからは、中心市街地を中心として、歩いて動ける範囲で生活する・・・そんな「コンパクトシティ」が必要というのは定説になっています。

おじいちゃん、おばあちゃんが、徒歩で買い物、通院、コミュニティ参加が出来る・・・そんな都市機能を圧縮化したタウンマネジメントが求められていると言えるのです。


とすれば、鉄道やバスのターミナル駅を中心にした街づくりが必須と言えそうです。

駅を中心として1キロメートル以内圏で、ほぼ全ての都市機能を集中させる・・・しかも防災も視野に入れた街づくり。


そんな中、注目したのが、「横丁」。

そのほとんどがターミナル駅のそばに立地し、賑わい、盛り上がりを見せています。

吉祥寺のハモニカ横丁、日本橋の甘酒横丁、札幌のラーメン横丁など、「横丁」は、まだまだ健在。


横丁に出店している経営者の努力や、自然発生的に形成された立地の優位性などに起因していると思うのですが、そこを通るときのワクワク感やドキドキ感は、なかなか楽しいものです。

西新宿の「しょんべん横丁」、同じく新宿の「ゴールデン街」も横丁の代表格。

そのネーミングの切り口、いかがわしさ(笑)も、その横丁の魅力を引き出す源泉になっているように思います。


一方で、人工的に作られた横丁は、イマイチ。

二子玉川の「柳小路」や東京駅のレストラン街「黒壁横丁」・・・どうも人工的、画一的で人の雑談や体温が感じられない空間なのです。

もちろん、あと20年経ち、年輪を重ねれば味が出てくると思うのですが・・・。


「横丁」「路地」を大切にして、コンパクトシティ化を進めていく。

これからのタウンマネジメントの切札だと思います。


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東京・原宿で「天使のラブソング」のようなコーラスが身も心を温めてくれました クリスマスも間近ですね!

2014年12月10日 | まち歩き

友人のアーティストの個展を見に行くため、原宿へ。

人の多い表参道、竹下通を避けて、路地を通っていると美しいコーラスが・・・。

ボーカルの女性一人と男性5名が、素敵なアンサンブルでハモっていました。

東京中央教会のイベントです。

もう少しでクリスマス。

心温まる路上のパフォーマンスでした。


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銭湯検定3級に合格しました!週末の銭湯巡り、銭湯お遍路がいっそう楽しくなりそうです 東京の銭湯巡り

2014年12月09日 | 資格・転職・就職

先月末の11月29日に受検した第6回銭湯検定3級(日本銭湯文化協会)に、無事合格しました。

何だか嬉しいものです。

この検定試験に合格しても何のメリットもない(たぶん!?)のですが、物好きというか、オタクというか・・・それほどに日本の銭湯というのは世界に比類のないローカルながら素敵な文化なのです。

古代ローマ人が公衆浴場につかったに、ファーイーストのジパングにも「銭湯」という日本独自の文化があるのです。


自己採点では75点前後だったのですが、結果は85点。

エンピツ転がし(古~い)が功を奏したのだと思います(笑)。

発表は、12月19日ということだったのですが、本日合否の案内をいただきました。

受験者総数は32名。うち24名が合格したとのことです。

試験の分析概要が丁寧にまとめられていて、検定試験事務局の真摯な姿勢が感じられました。


点数分布

100点・・・なし

90点台・・・2名

80点台・・・9名

70点台・・・9名

60点台・・・4名

また、問1から問9までの各設問の平均点までが一覧として表示されていました。


第6回銭湯検定の平均点・・・71.3点


合格点・・・60点


検定試験も、なかなかの良問。

採点結果の分析も、なかなかの丁寧さ。

この検定試験は、大学や大学院などで教育や研究に携わっていた方が絡んでおられると推測しました。

ありがとうございました。

 

銭湯検定3級合格法

公式テキストである「銭湯検定 公式テキストⅠ」を3回読み、各章のポイントを押さえれば大丈夫だと思います。

特に、歴史部分をしっかりと押さえ、掲載されている写真とその解説を覚えることが効果的です。

公式テキストに掲載されている歴史的な書物名、著者名などは、意外な盲点になりがちですので、公式テキストにラインマーカーなどで印を付けながら読んでいくことをお勧めいたします。

ちなみに、

今回の検定試験の出題形式は、次のようなものでした。

問1 択一式 2点×5問 10点

問2 ○×式 1点×20問 20点

問3 択一式 2点×5問 10点

問4 選択式 1点×10問 10点

問5 択一式 1点×10問 10点

問6 択一式 2点×5問 10点

問7 ○×式 1点×10問 10点

問8 択一式 2点×5問 10点

問9 記述式・カタカナで銭湯名を解答 2点×5問 10点 計100点満点

 

銭湯検定 公式テキストⅠ

社団法人日本銭湯文化協会編

町田忍・米山勇監修  草隆社刊  1600円+税


目次

1.銭湯のルーツをたどる 銭湯前史

2.江戸銭湯事始め

3.銭湯文化の発展

4.湯屋の風景

5.湯屋で働く人々

6.明治以降の銭湯

建築編

1.銭湯建築の特徴

2.富士山の背景画

3.進化する銭湯建築

雑学編

資料編

 

特に江戸の文化、歴史を下敷きとした銭湯文化の理解は、湯に浸かる歓びを倍増させてくれます。

ぜひ、手に取っていただきたい一冊です。

 

日本人の文化でもある入浴文化、銭湯文化・・・。

健康増進施設であるとともに、庶民のコミュニティ。

今風に言うと、まさに「ソーシャル」な世界です。

古事記、日本書紀の施浴の風習を経て、江戸時代に大きく開花した銭湯の文化。

その概略を学ぶことは、とても楽しいひと時でした。

都内での銭湯お遍路は、まだ始まったばかりですが、銭湯文化を伝承していくためにも、その歴史や伝統を語り継いでいこうと考えています。


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キュレーション・マーケティング 圧倒的利益を生み出すためには、「売る力」強化が不可欠!

2014年12月09日 | 本と雑誌

最近、流行っているキーワード「キュレーション」。

キュレーターやキュレーション、もともとは博物館や美術館の学芸員・・・知の案内人といった意味になるのでしょうか?

見方、切り口の違いによって、同じものでも違った風景が見えてきます。

広告業界でも「スライス オブ ライフ」という言葉があり、コンセプトの策定やアイデア出しの時に重要視されます。


今回取り上げる一冊は、この「キュレーション」という言葉が引っかかり、購入した一冊。

著者は、キュレーションを「価値の構築」「視点の切り替え」と定義されています。

 

「新版 圧倒的利益を生み出す キュレーション・マーケティング」

 水上浩一著  ごま書房新社 1550円+税

 

著者の水上さんは、マーケティングのコンサルタント。

現場での様々な経験、苦労の積み重ねから、キュレーション・マーケティング論をまとめあげています。

同書のカバーの裏には、経営に失敗し高速道路の通行料も払えず子供の財布に手を出しそうになったという著者の悔しい思いがモニュメントのように挿入されています。

同書は、横文字や理屈で固めた「美しいマーケティング」ではなく、実戦の中から得られた「泥臭いマーケティング」ということが出来ると思います。


4Pや3C、5Fといったマーケティング理論だけでは、現場での成功は難しい・・・実弾が飛び交う鉄火場である「現場」で機能させるためには、工夫や創意、熱意が必要であると説きます。

キュレーション・マーケティングは、差異化のためのマーケティング。

10の方法論から構成されています。


キュレーションマーケティングの10メソッド

1.プラスワン・・・おまけ、緊急性対応

2.情報商材化・・・情報やノウハウで商品を差別化

3.サポート、不安要素の解消

4.カスタマイズ・・・コンサルティング販売、名入れ、手書きのメッセージ、感謝状

5.個人ブランディング・・・この人から買いたい、本人の失敗・挫折・経験、共感プロフィール

6.信頼感の演出・・・社長への客観的評価(数字、過去の実績)、ビジネス実績、メディア掲載

7.専門化・・・用途やジャンルを限定する

8.時間軸・・・新しいモノ、鮮度、行列感・・・。

9.お値打ち感による価値の演出・・・訳あり、ドッサリ感、猛烈なおまけ、

10.アングル逆張り・・・視点を変える、ボトルネックをメリットに


キュレーション・マーケティングというコンセプトからすると、10のアングル逆張りあたりが、最も近いのかもしれません。

また、これらの方法論、メソッドを組み合わせることにより、さらなるシナジ効果の発揮が期待できそうです。

 

著者は、キュレーション・マーケティングのステップとして、5つの段階を解説しています。

ステップ1・・・競合選定ステップ(相対的)

ステップ2・・・競合対策ステップ(自社との違い)

ステップ3・・・キュレーションステップ 10のメソッドの検討

ステップ4・・・KPI(重要業績評価指標) 目的と手段のチェック

ステップ5・・・キュレーション・マーケティングの展開 集客のためのプロファイリング メディアミックス

経営の土台となる「売る力」。

理屈、理論だけでは、なかなか成果、業績に結びつかない今のご時世。

同書では、そのギャップを埋めるための努力の方向性が、著者の経験、失敗、挫折に裏打ちされたメソッドとして打ち出されています。

売上が伸びない、経営が厳しい、いいもの(と思っているのに)なのに売れない・・・そんな経営者の方々に読んでいただきたい一冊です。


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グロービスMBA集中講義・実践マネジメント教室 「マネジメントは正解ではなく、妥当解である???」

2014年12月08日 | 本と雑誌

はじめてマネジャーになったころ、

マネジメントは正解ではなく、妥当解である」ということを、

アタマでは理解しつつ、現実的には正解の追及を行い、ずいぶん苦労したことがありました。


人のマネジメント・・・感情や好き嫌い、主義主張、日々の習慣、様々な価値観などを持つ部下、メンバーをマネジメントしていくことは、本当に大変。

マネジメントは、サイエンスではなく、アートやクラフトなのです。

今回とりあげる一冊は、社会人向けのビジネススクールを展開しているグロービスのマネジメント本。

まずは、とても装丁、デザイン、レイアウトが優れた本。最近出ている書籍の中でも秀逸です。しかも価格も安い。

社会人大学院へといざなうための戦術としては、うまく機能していると思います。

 

「グロービスMBA集中講義 実践マネジメント教室」

 グロービス著 佐藤剛(経営大学院教授)

 PHP研究所刊  1400円+税

 

目次

1.なぜ組織で働くのか

2.多様な組織のあり方

3.組織で働く

4.部下を持つとはどういうことか

5.マネジャーの苦労

6.組織構造を理解して組織を動かす

7.ゼネラルマネジャー

8.新しい流れ

 

同書は、組織とマネジメントの基本中の基本を分かりやす講義調で解説した一冊。

新任の係長やリーダークラスが読むと体系的な理解が進むと思います。

マネジメントには、様々なとらえ方がありますが、同書におけるマネジメントの定義は「人をその気にさせること」、そして、「組織のメンバーの行動変容を促すこと」。実にシンプルです。


そして、その方法として2つの手段をあげています。

 1.対人コミュニケーション

 2.制度設計と運営・・・人事制度、組織構造、組織文化


さらに、ここからの発展形として、リーダーシップの解説が入ります。


・リーダーシップ・・・新しいルールを作ること make a rulu

・マネジメント・・・決められたルールを守ること keep a rulu

まさに、そのとおりだと思います。


同書では、サイモンの「限定された合理性」、シュンペーターの「新結合」、レヴィンの変革モデルなどの経営の基礎理論も取り上げ、組織の持つ特に日本の組織の持つ課題、論点、問題点へのアプローチも射程に入れています。


最終章では、ワークライフバランス、ダイバーシティマネジメント、ネットワーク組織等のマネジメントの最新事情についても言及しています。


・日本の労働時間は1700時間。労働生産性は、米国60ドル、日本40ドル。

・ワークライフバランスは、マネジメントの原点。

・ダイバーシティの出発点は、採用。

・ネットワーク組織・・・心理的契約の見直し、自律的キャリアが求められる、自己充実感の追及 ・・・


いわば、新しい時代の新しいマネジメントの必要性についても易しく解説されています。

マネジメントを基礎から学んでみたい人、昭和の時代のマネジメントで石頭になっているベテラン管理職の方々にぜひ一読いただきたい一冊です。


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ラーメン博物館 ラー博が開館20周年 祝!新横浜ラーメン博物館 一風堂のブイヨンヌードル最高でした!

2014年12月07日 | 食・レシピ

1994年に開館した新横浜ラーメン博物館が20周年を迎えました。

ここまで続いたということは、根強いラーメンファンが日本中にたくさんいるということ。

2015年のミシュランガイド東京版にも、ラーメン「青葉」が入ったらしいのですが、ラーメン自体日本を代表する食文化となったのではないかと思います。

今回は、20周年企画の一つとして、「NARUMI-IPPUDO」のラーメンを食べるのが目的です。

フランスのブイヨンと日本の和の出汁がどう融合するのか?・・・お楽しみ。

朝食を抜き、お腹をペコペコにして、ラー博に到着。

入場料310円を払って、地下2階の一風堂へ・・・。

待つこと5分・・・出てきました。

黄金にきらめくスープ、ブイヨンの香り、ローストビーフ、たまねぎのスライス、きのこ・・・ちょっとフランス料理風のテイストのラーメンです。コ

ンソメヌードルは、あっさり系スープにこしのある細麺・・・とても上品な味でした。

量も少な目で、女性にもちょうどよいボリュームだと思います。

腹ごなしに・・・地下1階、地下2階を散歩・・・。

何となくタイムマシーンで昔にワープした錯覚に陥ります。

さて、あっさり系の次は、こってり系。

まよわず、「こむらさき」へ。

熊本とんこつラーメンの代表選手です。

コクのあるとんこつスープ。ニンニクチップが食欲をそそります。

完食。ごちそうさまでした。

新横浜ラーメン博物館は、昭和33年/1958年の街並みを再現したレトロな装飾のディスプレイ。

ちょうど、「三丁目の夕日」の時代・・・日本が高度経済成長期にあった頃の町の雰囲気を蘇らせています。

明日はより良くなると感じて働いて働いた日本人のパワーが感じられます。

食べて、飲んで、働く・・・その地道な努力が今のニッポンのインフラを築きあげたのです。

館内には、多くの外国人の方もいましたが、彼彼女もそのあたりのニュアンスを感じたのではないかと思います。

ラー博、次は2020年を目指しての、さらなる経営努力を続けていただければと思います。

ご馳走さまでした。


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やばい日本経済 常識を疑え!金融・経済、本当の話・・・ビジネスと茶道

2014年12月06日 | 本と雑誌

来週の日曜日は、衆議院選挙。

株価面で言えば、自民党が議席を積み増せば株価22000円、議席を減らせば16000円という風にエコノミストは予測しています。新聞社、通信社の予測では自民党にかなりのアドバンテージありとの報道もあります。

はたしてミニバブルは、起こるのでしょうか???

アベノミクスの第3の矢である成長戦略、女性活躍推進、観光インバウンド拡大等が進んでいけば、新しいジャパンモデルが出来上がるような感じもしています。

 

「やばい日本経済 常識を疑え!金融・経済、本当の話」

山口正洋・山崎元・吉崎達彦著  東洋経済新報社 1500円+税

 

同書は、3人の投資のスペシャリストによる本音トークを取り上げた一冊。

「やばい」という言葉は若者が使う「すごい」といった意味です。

「やまげん」さんこと山崎さんは経済評論家で楽天証券客員研究員、「ぐっちーさん」こと山口さんは投資銀行家、「かんべえ」こと吉崎さんは双日総合研究所副所長。なかなか面白い対談ではあります。

1時間くらいで読める同書・・・投資家は、こんな見方をしているんだという「気づき」を得ることが出来ます。最新の情報を集める・・・現状をさまざまな角度から見る・・・その事象の意味を読み取る・・・行動について決定する・・・そんなステップを踏んでいるようです。

目次

第1章 日本経済編 アベノミクスは首尾よくバブルを作れるか?

第2章 アメリカ経済編 オバマがこけてもアメリカ経済は世界最強になる

第3章 潮目が変わった中国経済、そのとき日本はどうするか?

第4章 新興国経済編 BRICSブームは完全に終わった

第5章 マネー編 自宅を持っている人はインフレヘッジの必要なし

 

世界や日本、米国、中国などの国際情勢の分析は、日頃読む経済新聞とは、かなり異なる切り口・・・。

同書のこの本音トークは、本当に勉強になります。

見出しからいくつかを紹介させていただきます。


「公的年金による株価対策は愚策」

「庶民がバブルを実感できるのは地価が上がったとき」

「金持ち中国人に日本国籍をあげよう」

「国内でのモノづくりはシンドイ、が日本企業の本音」

「観光産業という筋肉を使っていない日本経済」


「日本のギャンブル市場は世界有数」

「2014年のアメリカ経済はいい年になる」

「アーネテージレポートの政策をなぞる安倍政権」

「アメリカ国民から見放されたオバマ」

「ヒラリー次期大統領の敵はケネディ駐日大使」


「ウォールストリートの時代はもうこない」

「シェールガスの登場で原油価格も徐々に下がってくる?」

「貧乏だった時の記憶が残っている中国人」

「中国の企業会計は問題が多い」

「世界の金融市場は中国の不動産バブルの影響をうけない」


「中国人経営者の能力は日本人経営者を上回る」

「中国は独立国家共同体に向かう」

「中国共産党員になれるのは選ばれし者だ」

「あと10年あれば間違いなく日中の立場はひっくり返る」

「中国語をもっと勉強しょう」


「パクる中国人と、パクらないロシア人」

「親日的なインド人」

「インドネシア経済が崩れたらアジアの一大事」


マネーについて、ほとんど素人のわたしにとっては、マネー編がとても勉強になりました。

日本人の大好きな保険の話などは、ちょっとタブーな部分もあります(笑)が、そのとおりだと思います。

「長期金利が2%を超えてきたら資産運用を見直す」

「貯蓄から投資へ 真に受けると幸せにならない」

「家を買う場合、投資として買うに値するか、冷静に考えよう」

「不動産屋というのは、自分たちが欲しくないものしか売らない」

「日本の保険に入ってはいけない」

「医療保険はいらない金融商品の代表」

「地方経済をけん引するヤンキー世ど帯」

「日本が向かう緩やかな階級社会」

本当に面白い指摘です。


吉崎さんは、「マジックナンパー200」を指摘されており、なるほどと思った次第です。

200万円貯めるまでは大変だけど、それを超えると投資が活きてくる・・・年賀状も200通を超えるとそこから減らなくなる・・・なかなか面白いですね。


高齢社会がどんどん進展してなか、投資や株、私的年金や医療保険などリスクヘッジの方法が取りざたされていますが、

やはり素人が安易に手を出すのはすごいリスク。

精神衛生的にもタフさが求められます。

元気でいつまでも働けること・・・その期間を先に先に延ばすことが最大の対応策であるようにも思います。

日本経済、世界経済をちょっと違った視点から見てみたい方には、お勧めの一冊です。


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