魔の2回生とは第46回衆議院議員総選挙で初当選した自由民主党所属の衆議院議員を指す俗称である。
第46回で自民党が大勝した際に初当選した多数の議員が第47回衆議院議員総選挙にも当選し「2回生」となった後、第3次安倍内閣において不祥事で離党や議員辞職に追い込まれる議員が続出したことから使われるようになった語である。
この言葉を考案したのは産経新聞編集局整理部記者の森山志乃芙で、2017年4月20日の産経新聞朝刊において初めて使われた。
その後、2017年の新語・流行語大賞のトップテンに選ばれた。
概要[編集]
「2回生」議員のうち、未公開株取引での金銭トラブルを報道された武藤貴也が2015年8月18日に離党。不倫を報じられた宮崎謙介が2016年2月16日に議員辞職。
秘書への暴言や暴行を報道された豊田真由子が2017年8月10日に、女性問題を報道された中川俊直が2017年8月21日にそれぞれ離党。離党した議員のうち武藤と中川俊直は第48回衆議院議員総選挙に立候補せず、豊田は無所属で立候補したが落選した。
その他、中川郁子、門博文、務台俊介、橋本英教、大西英男らの失言や不祥事が報道された。このうち中川郁子と橋本は第48回で落選した。その他、同じく第48回で落選した金子恵美に対する党内からの批判が報道された。
また、文化芸術懇話会が問題となった際、出席者の多くが2回生であった。
不祥事が相次いだ原因として、第46回、第47回と自民が圧勝した選挙しか立候補しておらず、第45回衆議院議員総選挙のような逆風下での選挙を経験していないことが指摘されている[注 1][4][5]。
このように不祥事が続出する中、3回目の選挙となった第48回で再選した議員は81人であり、初当選時の116人から7割ほどに減少した。
3回生となった議員には党も厳しく指導しており、内閣総理大臣で自由民主党総裁の安倍晋三も豊田を念頭に秘書を敵に回さず大事にするようにと指南している。
しかし、改選後も池田佳隆、加藤寛治、國場幸之助、穴見陽一、工藤彰三、菅家一郎、田畑毅、石崎徹らの失言や不祥事が報じられ、魔の3期生と問題視されている[8]。このうち、田畑は任期途中で議員辞職した。
一方で2018年10月2日、山下貴司が第4次安倍改造内閣において法務大臣に就任[9]し、この世代からは初めての入閣となった。
現職議員
現職議員[編集]
第46回で初当選し第47回、第48回でも当選した自民党議員の一覧。
「※」は参議院経験者。「●」は第45回で落選。「▲」は第22回参議院選挙で落選。「☆」は3回連続小選挙区当選。「★」は3回連続比例当選。
中村裕之(文部科学政務官)☆
堀井学(元外務政務官)☆
武部新(元環境政務官兼内閣府政務官)☆
渡辺孝一★
津島淳●(元国土交通政務官兼内閣府政務官)☆
冨樫博之(元総務政務官)☆
鈴木憲和(外務政務官)☆
菅家一郎(内閣府政務官兼環境政務官)
高橋比奈子●(元環境政務官)★
藤原崇★
田所嘉徳(元法務政務官兼内閣府政務官)☆
井野俊郎(元法務政務官兼内閣府政務官)☆
笹川博義(元環境政務官)☆
福田達夫(元防衛政務官兼内閣府政務官)☆
村井英樹(元内閣府政務官)☆
黄川田仁志(元外務政務官)☆
神山佐市☆
野中厚(元農林水産政務官)☆
三ッ林裕巳(元厚生労働政務官)☆
石川昭政(復興政務官兼内閣府政務官兼経済産業政務官)
簗和生(元国土交通政務官兼内閣府政務官)
新谷正義(厚生労働政務官)
小林鷹之(元防衛政務官)☆
秋本真利(元国土交通政務官)☆
白須賀貴樹(復興政務官兼内閣府政務官兼文部科学政務官)☆
星野剛士(元経済産業政務官兼内閣府政務官兼復興政務官)
義家弘介※(元文部科学副大臣)
牧島かれん●(元内閣府政務官)☆
宮川典子▲(元文部科学政務官)
中谷真一★
門山宏哲(法務政務官)
堀内詔子(元厚生労働政務官)
中山展宏★
山田美樹(元外務政務官)
辻清人(外務政務官)☆
大西英男(総務政務官)☆
小倉將信(元総務政務官)☆
小田原潔▲(元外務政務官)
秋元司※(内閣府副大臣兼環境副大臣)
石崎徹
細田健一(元農林水産政務官)
斎藤洋明
田畑裕明(厚生労働政務官)☆
佐々木紀☆
務台俊介●(元復興政務官兼内閣府政務官)
井林辰憲(元環境政務官兼内閣府政務官)☆
宮沢博行(元防衛政務官兼内閣府政務官)☆
熊田裕通(元防衛政務官)☆
池田佳隆
工藤彰三(国土交通政務官)☆
神田憲次
長坂康正(元内閣府政務官兼復興政務官)☆
今枝宗一郎(元財務政務官)☆
根本幸典(元国土交通政務官兼内閣府政務官)☆
勝俣孝明(環境政務官)★
八木哲也★
大岡敏孝(元財務政務官)☆
武村展英(元内閣府政務官)☆
田中英之(国土交通政務官)☆
藤井比早之(元国土交通政務官)☆
大串正樹(元経済産業政務官)☆
山田賢司(外務政務官)☆
田野瀬太道(元文部科学政務官兼内閣府政務官兼復興政務官)☆
門博文★
安藤裕(復興政務官兼内閣府政務官)
山下貴司(第101代法務大臣)☆
小林史明(元総務政務官兼内閣府政務官)☆
岸信夫※(元外務副大臣)☆
小島敏文●★
池田道孝★
福山守(元内閣府政務官兼環境政務官)
大野敬太郎(元防衛政務官)☆
井上貴博☆
鬼木誠(元環境政務官)☆
古賀篤(元総務政務官兼内閣府政務官)☆
宮内秀樹(元国土交通政務官)☆
藤丸敏(元内閣府政務官兼防衛政務官)☆
岩田和親
加藤寛治(元農林水産政務官)☆
穴見陽一
武井俊輔(元外務政務官)☆
國場幸之助●
第48回選挙後辞職した自民党議員
大見正
第46回、第47回と連続当選したが、第48回で不出馬、落選、あるいは選挙前に辞職、死去した自民党議員。 「●」は第45回で落選。「▽」は48回選挙後繰り上げ当選。「▲」は第25回参議院選挙で落選。「†」は物故者。
高木宏壽(元内閣府政務官兼復興政務官)
中川郁子(元農林水産政務官)
前田一男
勝沼栄明
橋本英教†
金子恵美(元総務政務官)
小松裕▲
木内均
助田重義
青山周平▽
島田佳和
瀬戸隆一
白石徹●†(元環境政務官兼内閣府政務官)
宮崎政久▽
比嘉奈津美(元環境政務官)▲
赤枝恒雄
武藤貴也
中川俊直(元経済産業政務官)
今野智博
宮崎謙介
第47回は落選したが、第48回で返り咲いた自民党議員。「※」は参議院経験者。「◎」は初当選時点で自民党以外の政党に所属。「△」は47回選挙後繰り上げ当選。
小林茂樹
船橋利実
田畑毅△(第48回選挙後に辞職)
三谷英弘◎
上野宏史※◎(厚生労働政務官)
杉田水脈◎
第47回、第48回で連続落選したが、48回選挙後に繰り上げ当選した自民党議員。
吉川赳
「お前死んだほうがいいぞ、お前。おい」「ふざけんじゃねえよ、お前。俺の大事な時間どう思ってんの」「正式に謝罪しろ」
強い口調で秘書を恫喝しているのは財務省キャリア官僚から政界に転身した自民党の石崎徹衆議院議員(35)。
自民党が大勝した2012年の選挙で当時最年少の28歳で新潟1区から当選した。
自民党が大勝したこの選挙では、大量の初当選者が出たが、その中には2017年4月に女性問題が報じられた中川俊直元議員、同年6月に秘書への暴行が報じられた豊田真由子元議員...と問題を起こす議員が多く「魔の三回生」と呼ばれている。
石崎議員の暴行が明らかになったのは先週17日(2019年7月)。週刊新潮のウェブサイトに暴言の音声が掲載されるとともに、殴る蹴るの暴行を受けた30代の元秘書男性が先月(2019年6月)、新潟県警に被害届を提出した。
元財務官僚が呆れる札付きの暴力常習者
石崎議員について地元の後援会関係者は「元秘書のミスをあげつらって、バカ、死ねの連続」「車の運転にケチをつけ、肩を何度も殴り、二の腕がアザで真っ青になった」「FAXの送信ミスに激昂した議員が、元秘書の足を思い切り蹴っ飛ばした」「ミスをすると罰金1万円」など、その荒っぽい言動を証言する。
病気による高熱で休んだ秘書には、親に電話をかけ「なんで病気になるんだ、どういう教育をしているんだ」と恫喝する。無茶な待遇と言動に、これまで辞職した秘書は約20人に上るという。
暴言は秘書相手だけにとどまらない。深夜、酔って乗車したタクシーが赤信号で停車した際には「俺が行けといったらいいんだよ」と信号無視を強要した。
石崎議員は今年に入ってから子供への暴力根絶を訴え、児童虐待問題に取り組んでいた。しかし、その裏で秘書には暴力を振るっていたことになる。
音声公開後、石崎議員は姿を消したが、モーニングショーが送った質問状に「音声を冷静に聞いてみて、大変恥ずかしい気持ちでいっぱい。秘書に暴力を振るったことはない。事実関係を整理し真摯に対応したい」と回答している。
青木理(ジャーナリスト)「選挙で風が吹くと『チルドレン』という人が大量に当選してくる。派閥も悪いところがあるが、派閥の教育がないとこういう議員が発生する。今の選挙制度の小選挙区比例代表制を見直す必要があるのではないか」
菅野朋子(弁護士)「『音声を聞いてみて恥ずかしい』というのは、今までは(暴言を)認識していなかったととれるコメントだが、普通は秘書が20人も辞めた時点で気付くはず」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「(17年に秘書に暴行した)豊田さんは元厚生労働省官僚だった。今回の石崎さんは元財務省官僚。自分が優秀だと思うと秘書さんを下に見る。エリート意識が間違った形で出るとこうなるのか」
文・みっちゃん