阪神・藤原オーナーが矢野監督に続投要請へ

2019年07月12日 20時51分26秒 | 医科・歯科・介護

球団内には不安の声「この先どうかは…」

 阪神・矢野燿大監督(50)の来季続投が11日、決定的となった。電鉄本社で取材に応じた藤原崇起オーナー(67)は前半戦の戦いぶりを「チームとして、みんなが補い合いながら競争できている。いい形だと感じる」と高評価した上で「当然そういうこと。コーチ含めて一生懸命やって下さっているし、選手たちも一生懸命やっているので期待している」と続投要請する意向を示した。

 3年契約初年度の矢野監督は借金2ながら、2位ターンを決めるなど健闘。若手選手の積極起用や“矢野ガッツ”など明るい野球に徹することで最下位に低迷した昨季の負のイメージを一新することに成功した。この日、セ・リーグから発表された前半戦の観客動員では1試合平均4万3270人で12球団トップをマークしたように虎党からの支持も抜群だ。

 それだけに総帥の続投要請は当然といえば当然。しかし、球団内に安心ムードは漂ってはいない。ある球団関係者は「この時期の意向はあくまで現時点でのものと考えるべき。もちろん球団フロントも本社も続投優先という考えなのだろうが、この先どうかは分からない。現に土壇場でひっくり返ったこともあるわけだから…」と話す。

 昨季まで3年間指揮を執った金本前監督もシーズン終盤まで続投が基本線だったが、夏場以降の失速によって17年ぶりの最下位が決定すると方向転換を余儀なくされた。2008年には13ゲーム差をひっくり返されてV逸した当時の岡田彰布監督(現野球評論家)が球団側の続投意向を押し切って辞任した。事前の意向が簡単に覆った過去があるだけに、楽観はできないのだ。

 後半戦に向けて矢野監督は日本通算100勝にあと2勝に迫りながらも不振が続くメッセンジャーの二軍行きを決断。「どうするか考えるなかの一人に(藤浪)晋太郎も入っている」と二軍調整中の藤浪らを中心に先発ローテを再編して巻き返しを期すつもりだが、14年ぶりのリーグ制覇と来季続投に向けてここからが正念場となりそうだ。


「しきり」の文化論

2019年07月12日 16時30分25秒 | 社会・文化・政治・経済

柏木 博  (著)

商品の説明

内容紹介

人と「しきり」の関係に迫る刺激的論考! 自己と他者・ウチと外・聖と俗・日常と非日常・私と公。

いずれも「しきられた」両方の世界を表す言葉である。「しきり」をキーワードに文化・社会を読み解く。(講談社現代新書)

人と「しきり」の関係に迫る刺激的論考! 自己と他者・ウチと外・聖と俗・日常と非日常・私と公。いずれも「しきられた」両方の世界を表す言葉である。「しきり」をキーワードに文化・社会を読み解く。

内容(「BOOK」データベースより)

人間の意識、思考に大きな影響を与える「しきり」を様々な視点から読み直す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

柏木/博
1946年神戸に生まれる。武蔵野美術大学卒業。現在、武蔵美術大学教授。近代デザイン史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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物事の内と外を分ける「しきり」についてさまざまな角度から論じている。とても興味深い仮説がたくさんありました。

(p.79)「世間」や「そと」に対して「わたし」がある。

「わたし」は「うち」になるのだが、この「うち」は「わたし」よりも拡大する。「家庭」であったり「わたし」が属する特定の集団である。

つまり「うち」の範囲は状況によって変化する。内側の世界は、しきりかたによって自在に変化するのである。ちょうど「屏風」のように、しきりの場所を移動することが可能なのだ。

【ココロの琴線に触れたコトバ】携帯電話の出現は、家を単位としていた電話の概念を根底から変えてしまった。電話の子機の段階では、家の電話とつながりを持っていた。

携帯は家とのつながりをきってしまったのである。

携帯電話の持ち主がはたして住居に住んでいるのかどうかもわからない。

境界を構築することの意味を巡る考察。

都市や国家の成立に伏流する速度。

自己と他者とが同化せず鬩ぎ合うことでしか成立しない対話。

親密逃走攻撃の間合いを決定する社会的な距離感。ホームパーティから垣間見える家庭地域間の鉄条網。衝立や段差により薄らと張り巡らす文化的な壁。

名指しにより初めて発生する私物。

共有の感覚に先行する信仰。対象そのものと取巻く環境とへの様々な眼差しを織り成す行為としてのデザイン。時間における切れ目の消失が齎す富の集中。

等々を通じて物理的もしくは心理的な「接続と断絶との調整弁」の存在を捉え直す

自分と他人を分かつという行動自体が「しきり」をつくっているということなんだな。

そう思うと、本当に数限りないしきりの中で生きているんだと感じた。



山形)日本遺産「北前船」に鶴岡市が追加認定

2019年07月12日 15時39分16秒 | 社会・文化・政治・経済

佐藤孝則 2019年5月21日 朝日新聞

日本遺産への追加認定を祝って、加茂地区に伝わる大黒舞が披露された。寄港地の地名がうたわれるなど北前船との関わりが深いという=2019年5月20日午後、山形県鶴岡市加茂の浄禅寺

 山形県鶴岡市は20日、日本遺産の「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の構成自治体に追加認定されたと発表した。

対象の文化財は、加茂港周辺の町並みや善寳寺五百羅漢堂(同市下川、国の登録有形文化財)、浄禅寺の釣り鐘など5件。
 「北前船」は、江戸時代に日本海などを往来。

コメなどの物資輸送のほか文化面でも寄港地に繁栄をもたらした。鶴岡市の加茂港もその一つで、庄内藩の重要な港だったという。

地区には当時の町並みや船主の家なども残り、浄禅寺に残る釣り鐘や善寳寺五百羅漢堂は、北前船で財をなした商人らの寄進によるものだ。
加茂地区自治振興会の田中正志会長(71)は「海との関わりが深まるようなまちづくりをしたい」と話した。

日本遺産「北前船」追加認定の概要

1 日本遺産「北前船」について
(1)タイトル 
「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~」

 

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 (2)ストーリー

日本海や瀬戸内海沿岸には、山を風景の一部に取り込む港町が点々とみられます。
そこには、港に通じる小路が随所に走り、通りには広大な商家や豪壮な船主屋敷が建っています。
また、社寺には奉納された船の絵馬や模型が残り、京など遠方に起源がある祭礼が行われ、節回しの似た民謡が唄われています。
これらの港町は、荒波を越え、動く総合商社として巨万の富を生み、各地に繁栄をもたらした北前船の寄港地・船主集落で、時を重ねて彩られた異空間として今も人々を惹きつけてやみません。  

(4)追加認定自治体 7市町

鶴岡市は、新潟県出雲崎町、石川県金沢市、兵庫県姫路市、兵庫県たつの市、香川県多度津町、広島県竹原市とともに追加認定

3 鶴岡市の構成文化財について ※(  )は指定等の状況
(1)加茂港周辺の町並み
北前船で栄えた当時の町割りがそのまま残っている

(2)石名坂家住宅主屋・蔵(国登録)
北前船船主の家屋及び蔵

(3)浄禅寺の釣鐘
北前船で財をなした商人たちから寄進された釣鐘。坂越(現在の兵庫県赤穂市)から北前船で運ばれたもの

(4)善寳寺五百羅漢堂(国登録)
北前船で財をなした商人たちの寄進によって建てられたお堂。安置されている531体の仏像も同じく寄進により作られた

(5)致道博物館所蔵の北前船関連資料群
北前船船主により奉納された船舶模型や船絵馬、四爪錨、出船手形、船鑑札、船箪笥等

4 今後の主な取組について
(1)地域の構成文化財関係団体と一体で進める地域活性化の取組
町並みの保全活動、町あるき企画、地域の子どもたちが認定された日本遺産を学び体験する機会づくり、構成文化財の情報発信等について、関係団体と協議・連携し実施

(2)三つの日本遺産を活かした観光誘客
DEGAM鶴岡ツーリズムビューローと連携し、出羽三山「生まれかわりの旅」、「サムライゆかりのシルク」、「北前船寄港地・船主集落」の三つの日本遺産を巡る観光プランの開発や旅行商品化等の実施

(3)北前船寄港地フォーラムin庄内・山形の開催
鶴岡市、酒田市を主会場としたフォーラム、観光商談会、エクスカーションの実施

(4)北前船日本遺産推進協議会での広域連携による観光振興、人材育成等
広域観光周遊商品販売、観光プロモーション、ガイド育成、北前船に縁の物産振興等の実施

加茂港周辺の町並み
日本遺産「北前船」構成文化財

 お問合わせ

鶴岡市役所 観光物産課
〒997-8601 山形県鶴岡市馬場町9番25号
電話:0235-25-2111
FAX:0235-25-7111


日本遺産とは「文化庁が認定する、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリー」のことで、平成28年度から日本各地で認定を受けています。
鶴岡市では、文化庁が認定する日本遺産に3つが認定されており、認定内容については下記のとおりです。

平成28年度認定 
自然と信仰が息づく『生まれかわりの旅』~樹齢300年を超える杉並木につつまれた2,446段の石段から始まる出羽三山~」

平成29年度認定
サムライゆかりのシルク 日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ

令和元年認定
「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主(せんしゅ)集落~」

【関係ホームページ】
文化庁(文化庁公式ホームページ)

山形県(山形県公式ホームページ)

鶴岡市(鶴岡市公式ホームページ)

日本遺産 出羽三山サイト

日本遺産サムライゆかりのシルク 公式サイト

北前船 鶴岡市サイト

北前船 KITAMAE 公式サイト


世界でいちばん素敵な色の教室

2019年07月12日 15時07分28秒 | 社会・文化・政治・経済

橋本実千代 (監修)

商品の説明

 

だれにも、その人しか果たせない使命がある。
たとえば、良い思い出ともに思い浮かぶ色も。
沈んだ気分になった時には、記憶を引き出して、その色を使うことで、気分を変えることもでます。
色は、心のケアに使えるのです。


内容紹介

「世界でいちばん素敵な教室」シリーズ第14弾 

色名の由来から心理的効果まで 
色にまつわるエトセトラ。 

あなたがいちばん好きな色はなに色ですか?

日常生活で視界に入る色は無数にあるのに、知っている色の名前は、それほど多くないかもしれません。

本書では、知っておきたい色を全部で75色紹介しています。色の知識が増えると、人生も楽しくなります。本書をきっかけに、色についてさらに興味を持っていただけたら幸いです。 
(「はじめに」より) 


色の数だけ、不思議があります。 


[本書の主な内容] 

●色名ってどのようにして生まれるの? 
●赤ちゃんの「赤」って色の赤と関係があるの? 
●中華街に朱色が目立つ理由は? 
●ベニバナの花は黄色なのに、どうして赤く染まるの? 
●ハロウィンはどうしてオレンジを使うの? 
●橙色とオレンジって違うの? 
●柿色って日本以外で使われているの? 
●茶色でないお茶も「茶」と言うのはなぜ? 
●「セピア色の思い出」と言うのはなぜ? 
●飲食店の照明が暖色系なのはなぜ? 
●ゴッホの作品に黄色が多いのはなぜ? 
●時代劇に出てくる「山吹色の菓子」ってなに? 
●なぜ緑の葉を「青々とした」と言うの? 
●道路標識にい青が使われているのはなぜ? 
●醤油を「むらさき」と言うのはなぜ? 
●心を落ち着かせる色ってあるの? 
●ピンクの意外な使われ方を教えて。 
●「桜染め」って桜の花びらで染めるの? 
●ウェディングドレスはどうして白いの? 
●「ロマンス・グレー」ってなに? 
●宝飾品の箱に黒が多い理由は? 

[監修者プロフィール] 

■橋本実千代 (はしもと みちよ) 
カラーコンサルタント。色彩検定協会認定色彩講師(UC級講師資格)、東京商工会議所カラーコーディネーター検定認定講師、クリエ・スクール専任講師、跡見学園女子大学兼任講師、日本色彩学会正会員、色彩文化研究会会員、いろどりコミュニケーション副代表。

婦人服地卸売会社勤務を経て、1997年にカラーコンサルタントの第一人者、高坂美紀氏に師事。また色彩心理学を色彩学校(末永蒼生氏主宰)で学ぶ。

色彩文化においては共立女子学園名誉教授、城一夫氏に師事し、共著に『世界のパンチカラ―配色見本帳』『色で読み解く名画の歴史』がある。大学、企業、一般向けに講演を行うほか、メディアへの出演、執筆、監修も行っている。 


[本書で取り上げる主な色] 

■赤 ・朱色 
・紅色 
・茜色 
・ルビーレッド 
・スカーレット 
・ボルドー 
・チェリー 
・ローズ 
■オレンジ 
・橙色 
・柿色 
・ピーチ 
・キャロット 
・黄丹 
・マリーゴールド 
・きつね色 
■茶色 
・ベージュ 
・小麦色 
・セピア 
・駱駝色 
・朽葉色 
・栗色 
・チョコレート 
■黄色 
・芥子色 
・レモンイエロー 
・ブロンド 
・山吹色 
・琥珀色 
・クリームイエロー 
・カナリア色 
・刈安色 
・黄土色 
■緑 
・エメラルドグリーン 
・萌黄色 
・鶯色 
・ミントグリーン 
・青磁色 
・若竹色 
・オリーブグリーン 
■青 
・藍色 
・浅葱色 
・ネービーブルー 
・ターコイズブルー 
・シアン 
・コバルトブルー 
・瑠璃色 
■紫 
・ラベンダー 
・ライラック 
・江戸紫 
・桔梗色 
・茄子紺 
・モーブ 
・ピアニー 
■ピンク 
・桜色 
・ベビーピンク 
・ローズピンク 
・サーモンピンク 
・珊瑚色 
・紅梅色 
・マゼンタ 
■白 
・生成り色 
・アイボリー 
・グレイ 
・鼠色 
・グレージュ 
・チャコールグレイ 
■黒 

内容(「BOOK」データベースより)

色の数だけ、不思議があります。色名の由来から心理的効果まで。



児童虐待、法医学者が見抜く…親が否認しても「生体鑑定」がある

2019年07月12日 14時29分57秒 | 社会・文化・政治・経済

7/12(金) 読売新聞オンライン

児童虐待が深刻化している。札幌市で先月、母親と交際相手の男が女児(2)を衰弱死させたとして、傷害と保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された。警察は生前、体のあざを確認したが「虐待なし」と判断した。虐待の兆候は見つけにくいのか。死傷の原因を究明する専門家である法医学者は「適正に生体鑑定すれば、兆候を読み取り、虐待死をなくすことは可能だ」と話す。「生体鑑定」とはなにか。(編集委員 平石冬樹)

児相や警察などの依頼を受け、法医学者が鑑定
 法医学者は法律に関する医学的問題を扱う。犯罪に巻き込まれた疑いのある遺体を、警察などの嘱託により司法解剖し、原因を追究する仕事で知られる。日本の法医学は元々、遺体から学ぶことを基本にしてきたが、生きている人間を診断し、負傷原因を調べる生体鑑定も行っている。虐待の可能性がある小児の診断も、打撲や骨折の起因を調べることに精通する法医学者が適している。

 生体鑑定は、児童相談所(児相)や検察、警察などの依頼を受け、児童虐待のほか、高齢者虐待や家庭内暴力(DV)、一般の傷害事件などによるけがの法医学的調査も行い、事件捜査や被害の再発防止に役立てられている。国内の法医学者の多くが所属する日本法医学会の認定医は全国に143人いる(2019年4月1日現在)。

 虐待を受けた可能性のある子どもや赤ちゃんの生体鑑定は児相から依頼されるのが一般的だ。負傷した小児が病院に運ばれるケースでは、小児科などの臨床医は、骨折や頭蓋内出血から虐待を疑うと、児相に通報。児相では診断の正確を期すため、必要に応じて法医学者に鑑定を要請する。

直接診察だけでなく…写真でも
 法医学者は小児の身体的虐待やネグレクト(育児放棄)を調べるため直接診察するほか、受傷部分の写真やレントゲン写真を見て所見を示す。児相が親から子どもを保護するために裁判手続きを取る場合は、こうした所見が活用される。

 札幌市の虐待事件では、北海道警は女児が衰弱死する3週間前、母子と面会し、顔や肩、腕にあるあざを確認した。だが「転んだ」と言い張る母親の説明に矛盾はないと判断し、虐待を見逃した。今回のように近隣住民から「泣き声がする」と虐待を疑う通報があっても、警察だけで判断できないケースは少なくない。

 認定NPO法人「児童虐待防止協会」の津崎哲郎理事長は「大阪の児相に35年間勤務したが、子どもに虐待の痕跡が残っていても、大半の親は『なにもしていない』と否定する。客観的な医学的証拠を示せる法医学者が頼りだ」と話す。

法医学者の増員が課題
 保護者の否認に対しては、確かに、法医学者が生体鑑定した医学的証拠を示すことが有効だろう。

 欧州などでは、虐待や家庭内暴力を突き止め、再発防止を図るため高齢者や子ども、女性などを法医学的な立場から診察する「臨床法医学」の分野が確立されている。

 国内でも千葉大病院が2018年、小児科に臨床法医外来を開設、児相や警察の依頼で被虐待児を診察している。このほか臨床法医学を研究の柱のひとつに掲げる法医学教室も各地にある。一方、法医学者の不足から捜査の司法解剖で手いっぱいな地方もあるといい、法医学者の増員と後継者育成、診察施設の整備などは今後の課題だ。

 「しつけ」と称した虐待事件が相次いだことを受け、親による子への体罰禁止を盛り込んだ児童虐待防止法の改正法が先月19日、成立した。小さな命を救う現場では、虐待を見逃さない法医学者による実効性のある取り組みが期待される。

「命の危険」で緊急保護、昨年は過去最多の4571人…警察庁
 警察庁によると、全国の警察が昨年1年間、虐待により生命の危険があるなどの理由で緊急保護した子どもは過去最多の4571人(前年比733人増)に上る。

 また、摘発した児童虐待事件は1380件(242件増)、被害児童は1394人(226人増)で、いずれも過去最多だ。

児童虐待、法医学者が見抜く…親が否認しても「生体鑑定」がある
池田典昭さん
初期に兆候発見、死亡なくせる…日本法医学会前理事長・池田典昭さん
 日本法医学会前理事長で九州大学大学院教授(法医学)の池田典昭さん(62)に聞いた。

 ――子どもの鑑定依頼が増えたのはいつからか。

 「私は30年間に約3000人のご遺体を解剖しているが、児童相談所(児相)の依頼を受け、5、6年前から月に5人前後、年間約50人の生体鑑定を引き受けるようになった。他の法医学者も『児童の鑑定が増えている』と言うだろう」

 ――虐待と鑑定したケースで、親や保護者から否定されることはあるか。

 「それはしょっちゅうだ。首が据わらない赤ちゃんの頭部に損傷があったが、親は『だっこして家事をしたら落とした』と弁解した。診察すると、不注意で落としただけで生じる傷ではなく、頭部の骨折や脳挫傷が見つかった」

 「やけどした小児の親は『カップラーメンをひっくり返した』と言い訳したが、体表面のお湯の流れ方や温度で熱傷のでき方は異なる。たたかれた痕がある小児の親は『上の兄姉がやった』と説明したが、鑑定すると子どもの力でできる傷とは違った。第一、たたくのを放置したらネグレクト(育児放棄)だ」

 ――虐待死を防ぐ対策は。

 「虐待の発生をすべてなくすことは難しいだろう。だが虐待死をなくすことは可能だ。虐待が始まった初期段階の軽微な兆候を読み取り、死亡に至る前に保護者の虐待をストップさせることはできる」

 ――札幌市の事件では、虐待情報が児相や警察に寄せられたが、救えなかった。

 「児童は1回目の虐待ですぐに亡くなるわけではない。近隣から通報があった時点がポイントだ。この段階で法医学者が診察すれば、虐待かどうかわかる」

 ――保護者の対応も難しい。千葉県野田市で1月、小学4年女児(10)が死亡した事件では、父親(傷害致死罪などで起訴)が高圧的な態度を示した。

 「虐待の兆候があれば、私は『親に戻したら死んでしまう』と児相に保護を求める。親は反発するが、毅然(きぜん)とした態度で臨むことが大切。それには医学的なエビデンス(証拠)が必要だが、法医学者は虐待を客観的に証明できる。証拠を親に突きつけて指導したり、子どもを保護したりして、2回目の虐待は絶対にやらせないことが重要だ」

 ――国の制度の問題は。

 「死因究明制度が遅れている。病院で病死した以外、児童のご遺体はすべて解剖するという法律上、制度上の仕組みが必要だ。子どもの自殺も背景に虐待がないか調べる必要がある。学校でのいじめが原因とみられる場合も、家庭内の虐待が潜んでいる可能性がある。解剖はかわいそうだが、それによって次の子どもの虐待死を防げるのであれば、検査すべきだと思う」


戦争を決定するのは、老人の支配者たち

2019年07月12日 14時13分58秒 | 社会・文化・政治・経済

考えてみると、青年ほど、時代の残忍な犠牲にされているものはない。
それは、過去の歴史が、たえまない戦争の連続であったことと表裏をなしている。
戦争を決定するのは、老人の支配者たちである。
戦争の作戦を立て、命令するのも老いた将軍たちである。
泥沼や、山河や、海上で、死を賭して戦いに進むのは、常に若者たちである。
開戦決定や、作戦立案と、何の関係もない―。
青年は、表面では、<国の宝>と、おだてられながら、実は、狡猾な老人たちの、栄誉のために利用され、踏み台にされ、楽しいかるべき青春を、泥と、血にまみれさせられてきたのである。
その意味で、ベトナム戦争は若者たちを目覚めさせたのだと思われる。
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ベトナム戦争(1960‐75年にわたる第2次インドシナ戦争)に対する反戦運動。
それまでの反戦運動に比し,ベトナム反戦運動は、質的にも量的にも,はるかに際だったものであった。
とくに戦争当事国アメリカの中で,自国の戦争政策に反対して行われた運動。

ベトナム反戦運動はアメリカのみでなく、ほとんど世界各国で展開され、日本でも幅広く実施された。それらは国際的な連帯によって強められた。

日本で運動のイニシアティブをとったのはベ平連(ベトナムに平和を!市民連合。1965年4月結成。74年1月解散)で、北爆反対のデモ行進、反戦の公開討論会、『ニューヨーク・タイムズ』への反戦広告の掲載、反戦米兵の脱出援助、反戦国際会議の開催などを行った。この運動は政党団体から独立した自発的市民のグループによって推進されたところに大きな特色があった。

革新政党、労働組合なども持続的な統一行動を行った。
 反戦運動は平和運動である。

戦争は政府により、国権の発動として行われるものであり(日本国憲法の前文、第9条)、したがって平和運動は民主化や言論の自由を求める闘争と連動し、どこでも市民運動の形をとったものが力をもつ。日本の反戦市民運動は日米安保条約への反対、高度経済成長に伴う急激な工業化・都市化・公害の増大に対する批判などによって促進された。


アプリケーションとは

2019年07月12日 11時14分21秒 | 社会・文化・政治・経済

アプリケーションの意味

アプリケーション(Application)とは、OS上にインストールして利用するソフトウェア全般のことを意味する言葉です。 私たちがスマートフォンやパソコン・タブレットを使って何かをする時は、必ず何らかのアプリケーションを起動して作業をしています。


プログラミングとは何か?

2019年07月12日 11時09分51秒 | 社会・文化・政治・経済

最近よくプログラミングという言葉をテレビや新聞やニュースで聞いたりすることはありませんか?

「プログラミング」が話題を集めるのは、大人の世界だけではありません。
小学生も2020年からプログラミングが必修になります。「なんで子どもに学ばせるのだろう?」「学んでなんのメリットがあるのだろう?」と、疑問に思う保護者や先生の方も多いでしょう。
そこで「プログラミングって何だろう」という方のために
プログラミングとは何か
プログラミングで何ができるのか
ITで日本はどう変わるのか
プログラミング言語の種類
おすすめの書籍
などを、プログラミングスクールTECH::CAMP(テックキャンプ)講師がわかりやすく解説します。
1 プログラミングとは
1.1 プログラミングとは「コンピュータにさせる仕事を順に書くこと」
2 プログラミングで何ができるか?
2.1 アプリケーションを作ることができる
2.2 ゲームを作ることができる
2.3 単純作業を自動化できる
2.4 自分でプログラミングを日常で活用する


プログラミングとは何か?

2019年07月12日 11時09分51秒 | 社会・文化・政治・経済

最近よくプログラミングという言葉をテレビや新聞やニュースで聞いたりすることはありませんか?

「プログラミング」が話題を集めるのは、大人の世界だけではありません。
小学生も2020年からプログラミングが必修になります。「なんで子どもに学ばせるのだろう?」「学んでなんのメリットがあるのだろう?」と、疑問に思う保護者や先生の方も多いでしょう。
そこで「プログラミングって何だろう」という方のために
プログラミングとは何か
プログラミングで何ができるのか
ITで日本はどう変わるのか
プログラミング言語の種類
おすすめの書籍
などを、プログラミングスクールTECH::CAMP(テックキャンプ)講師がわかりやすく解説します。
1 プログラミングとは
1.1 プログラミングとは「コンピュータにさせる仕事を順に書くこと」
2 プログラミングで何ができるか?
2.1 アプリケーションを作ることができる
2.2 ゲームを作ることができる
2.3 単純作業を自動化できる
2.4 自分でプログラミングを日常で活用する


入管施設収容の問題 政治家が介入すべきだ

2019年07月12日 08時56分28秒 | 社会・文化・政治・経済

絶望で自殺する人も

ライター・編集者 望月優大さん

追い込まれる長期収容外国人…「帰るに帰れない人々」をどう捉えるか

外国人労働者の受け入れ拡大を目指す政府の入管難民法改定案。今週から国会での審議が始まるとされ、注目度が高まっている。

その一方で、近年法務省・入国管理局の施設に長期間(6ヵ月以上)収容される外国人の数が増えていることをご存知だろうか。

2016年末は313人だったそれが、わずか1年半後の18年7月末には709人へと2倍以上に増加した。収容外国人全体に占める長期収容者の割合も同期間に28%から54%へとほぼ倍増している(朝日新聞)。

日数に上限のない収容、度重なる自殺や自殺未遂、職員による暴行、不十分な医療アクセス、シャワー室への監視カメラの設置、退去強制による家族の分断――これらのショッキングな報道に接し、この問題をどう捉えるべきか困惑している方も多いのではないか。

つい昨日のことだが、6人部屋に17人を監禁し、そのまま24時間以上施錠という報道もなされた。
収容されるのは日本に滞在する正規の資格を持っていない人々だ。

そうであるとはいえ、なぜ自由と民主主義を掲げるこの国でここまでひどい事態が起きているのか。

旅行客や労働者など、より多くの外国人を受け入れていこうという姿勢を見せている政府が同時にこうした締め付けを強めているのは一体なぜなのか。

実際に起きている事象をその背景や構造まで含めて理解するために、この記事では「収容」とは何なのか、日本政府の「収容政策」がどんなものでそこにはどんな問題があるのか、より良い収容政策があり得るとすればどんな視点から論じればよいのか、こうした点に沿って議論の整理を試みたい。

記事を執筆するにあたり、この分野を専門にされている指宿昭一弁護士にお話を伺った。
いつから収容が長期化したのか?

最初に事実の確認から始めよう。収容が目に見えて増加したのはいつ頃からなのか。以下のグラフは、法務省の第7回出入国管理政策懇談会に入管が提出した資料及び今回の報道から、被収容者の人数とそのうち半年以上の被収容者が占める割合を時系列でまとめたものだ。

 


さくら会 | ALS/MDNサポートセンター

2019年07月12日 06時16分58秒 | 医科・歯科・介護

 わたしたちの生の技法

ALS患者の生活方法や、介護方法を、さくら会では「さくらメソッド」と呼んでいます。

多くの人がこのメソッドを学び、そしてALSとして生きていくために、友の会の中でこの輪を広げる活動を行っています。
ALSと診断されたら
さくら会には、同じ苦しさを経験した皆さんの声、ALSを生き抜くための「知恵」と「技術」が集まっています。まずは日常にまつわる疑問から、ひとつひとつ不安を解決していきましょう。
介護が大変だと感じたら

介護が大変だと感じたら 母の命と、私自身の現在、姉や子どもの未来、全部あきらめてはいけない

川口有美子さん
患者さんやそのご家族から「ヘルパーさんに介護を頼むことに抵抗がある。」との相談を受けることがあります。家族で介護したいという気持ちは皆さん同じですが、それが逆に家庭内をギクシャクさせてしまうこともあります。患者さんとご家族がいきいきと暮らすためにも介護サービスの利用をお勧めします。
ALSに直面した者にしかわからない気持ちや迷い。人工呼吸器、胃ろうなど、具体的な選択が迫られることもあります。そんな時、気持ちを分かち合える仲間がいるということがあなたを支える大きな力になるはずです。
さくら会の研究事業
研究成果 さくら会では様々な大学、団体、企業等と連携し、公的資金による調査、事業、研究等を数多く行っております。

こうした活動に積極的にALS患者が参加したり、関わることで、当事者を主体とした貴重な成果を挙げることができます。
理念

人工呼吸器や経管栄養などの医療的ケアを必要とする人とご家族の
「ふつうの暮らし」を応援します。

「あなたが病気になっただけで、病気はあなたではないのです。」

概要

■ 法人の名称
特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンター さくら会
(略称) NPO法人さくら会

■ 所轄庁・・・東京都

■ 法人の目的
難病療養者、障害者とその家族に対して、在宅療養と介護のために必要な事業を行うことで、
福祉の増進を図り、社会全体の利益の増進に寄与することを目的する。

■ 主たる事務所
東京都中野区中央3丁目39番3号

■ お問い合わせ/受付

・事務局
〒164-0011 東京都中野区中央3-39-3
TEL/FAX:03-3383-1337

研修事業に関するお問い合わせは、研修センターへお願いします。

・研修センター
〒164-0011 東京都中野区中央2-31-5 ケヤキビル中野坂上101
TEL:03-5937-1370 FAX:03-5937-1371
E-mail:sakura.nkc@gmail.com

■ 事業内容
難病患者家族の権利擁護にかかる事業
人工呼吸器装着者の在宅療養支援事業
人工呼吸器装着者に対する情報提供事業
人工呼吸療法に関する調査研究事業
重度障がい者のための政策に関する提言事業


「治療を中止したい」

2019年07月12日 05時56分50秒 | 沼田利根の言いたい放題

「治療を中止したい」と患者が言った場合の背景に何があるのか?
1)貧困
2)家族関係の崩壊
3)うつ
4)死にたい願望
多様な要因があるはず。
それを、専門医だけで判断していいのだろうか?
精神医やソーシャルワーカーなどににつなぐべきだ。
「人工呼吸器はつけないでほしい」と言っていた患者が、いざとなって呼吸が苦しくなって「助けて」と救いを求めるケースも。
誰もが苦しみながら、激痛の中で死にたくはない。
「楽に、眠るように死にたい」それが人間の本音であろう。


「人工透析見合わせ死亡」問題は他病院でも発生している可能性がある

2019年07月12日 05時46分32秒 | 医科・歯科・介護

福原麻希:医療ジャーナリスト

「人工透析をやめる」選択肢、医師や患者、患者の家族はどう考えるべきか? 写真:黒部市民病院腎センター(吉本敬一センター長提供)
毎日新聞で公立福生病院(東京都、316床)の人工透析における診療上の考え方やその方法について批判する記事が続いている。報道によると、同院の腎臓病総合診療センターでは、方針としてセンターの医師が終末期と判断する患者には「人工透析治療を始めない、中止する」の選択肢も提示し、21人が亡くなったという。メディアや世間の批判は、福生病院に集中しているが、日本透析医学会で発表されたアンケート調査結果によると、同様の問題は他の病院でも発生している可能性がある。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

全国の病院で
「透析をしない」選択肢を提示

「終末期」と聞くと、医療者以外の人は生命保険のリビングニーズの条件「余命6ヵ月以内」を思い浮かべるかもしれない。だが、医療ではこの時期の病態は個別多様として、明確な定義が定められていない。厚生労働省(以下、厚労省)も日本医師会も「患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームで判断すべき」としている。このため、医師によって「終末期」の判断が異なる可能性がある。

 毎日新聞の報道によると、公立福生病院の医師らも人工透析を受けずに亡くなった44歳女性(糖尿病性腎症)について「終末期だった」と主張しているという(注:「終末期」は昨年、「人生の最終段階」と言葉を言い換えることになったため、以下、人生の最終段階と記述する)。

 医学専門誌に公表されている透析に関する調査結果(*1)では、回答した全国の病院の約半数(47.1%、240施設*2)は透析を始めるとき、および、治療を続ける過程で、患者に「治療を受けるかやめるか」の選択肢を示していた。

 これは、日本透析医学会が診療ガイドラインの中で、人生の最終段階の患者を対象に、透析を始めるとき、および、治療を続ける過程でその継続について話し合うための提言(*3)を出しているからだ。

 だが、同調査では前述の選択肢を示している病院の約4分の1が「日本透析医学会の提言に沿っていなかった」と回答している。その理由について、「本人が受診しなくなった」「悪性腫瘍(がん)終末期や多臓器不全で十分な話し合いができなかった」「認知症等で本人の意思が確認できなかった」のほか、提言に沿っていない内容として「カンファレンス(病院内の会議)を1回しか開かなかった」「多職種チームの決定でなく、主治医の意向だった」「透析見合わせを検討する状態ではなかったが、高齢や状態が悪いなどで本人の強い意思と家族の同意があった」と紹介されていた。

*1 岡田一義、透析差し控え・中止(2)「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」-全国アンケート調査結果を踏まえて、『臨床透析』、vol.34,no.10,2018年
*2 全国1407病院の透析室を対象にした調査で、510病院(回答率36.2%)、病院数は筆者が計算した
*3 日本透析医学会「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」
今月、「公立福生病院の人工透析治療における選択肢の提示は学会の提言に逸脱しているのではないか」と、東京都と同学会が同病院に立ち入り調査をしたと報道されている。が、もしかしたら、他の病院でも同様のことが起こっているのではないか、筆者はそう推測する。

90年代から
議論は繰り返されていた

 1990年代、患者が医療を受けるときは、医師に言われたままなどの強制力を排除し、本人が自分の意思で治療を決定できるよう、「インフォームドコンセント(十分な治療に関する説明を受けた場合の患者の同意)」と呼ばれる手続きをするよう、医療法に書き加えられた。このため、医師による診察の結果、治療を受けることになった場合、患者は治療の選択肢を示される。

 今回の人工透析が必要な患者とは、糖尿病や高血圧等が原因で腎臓の機能がもう治癒しないほど低下し、体内の老廃物や余計な水分を尿として排出できなくなっている人のことで、治療法は腎臓移植か、透析が必要になる。

 透析には機会を用いて血液から老廃物や水分をろ過し、再び体内に血液を戻す方法(人工透析)、あるいは患者の腹部の膜にカテーテル(細い管)を挿入して透析液を注入することで血液をろ過する方法(腹膜透析)がある。それぞれの治療法のメリットとデメリットのほか、治療法が患者に適応できるかどうかも考慮される。

 かつて国内外の医療者間で「人工透析を勧めないほうがいい患者」に関して議論された時期があった。人工透析は根本的な治療ではなく、いわゆる延命治療の1つと考えられているからだ。延命治療といっても、透析を受けることで日常生活が送れるようになることは、すでにインターネットで複数人が体験記を寄せている。

 さらに、その後、国内で「終末期における診療」について議論が起こった。この時期、日本透析医学会では診療ガイドライン作成時に「透析非導入(透析を始めない)と継続中止(透析とやめる)を検討するサブグループ」も作った。2011年から3年間で13回の会議を開催するほか、毎年、シンポジウム等の公開討論も開き、パブリックコメントも実施した。その結果、2014年、同学会からの「提言」としてまとまっている。
この提言を議論した過程で「透析非導入」や「継続中止」という言葉について、「一般の人にとっては厳しい言葉かもしれない」という意見があったため、原則的に「透析治療の中止」とは言わず、「見合わせ」と言い換えている。

 同学会の理事でもある川島病院(徳島県)腎臓内科の岡田一義副院長が「透析を何らかの状況により実施しなくても、その後、状況が変わった場合には、いつでも実施する意味をもたせる」と指摘したからだったという(*1)。

 提言では、この患者への選択肢の提示は、医療経済とは関連させない、患者の年齢の議論はしないを原則とする。また、提言には「透析見合わせを検討するとき(終末期)の患者の病態」「患者と話し合うときの手順や注意」「話し合った結果を書面に残すこと」「見合わせ後の緩和ケアの提供」について、指針が記載されている。

 全体的に、同学会は時間をかけて、丁寧にこの提言を作成してきたことを感じさせる。

 このような経緯から、全国の透析医が患者に「治療を受けるかやめるか」の選択肢を提示する動きが広がったのだろう。医療者の教育では、それが真摯(しんし)な対応と考えられていることもあるように感じる。

 だが、鳥取大学医学部の安藤泰至(やすのり)准教授(生命倫理・死生学等)は、医師から患者に透析の見合わせを選択肢として提示することについて「慎重であるべき」と指摘する。

「医師は単に選択肢をニュートラルに示しているつもりでも、患者と医師の間には明らかな力関係があり、誘導に近い形になることもある。患者や家族との十分な話し合いの末、そのような選択肢が出てくることはあるだろうが、最初から死に至るような選択肢を提示することには反対です」(安藤准教授)

病院医療に
社会が参画するためには

 医師が治療の選択肢を提示したとき、患者が受けたくないと言うことはありうるだろう。

 前述の学会の提言には「患者の尊厳を考慮した結果、透析の見合わせも最善の治療という選択肢になりうる」とも記載されている。その場合は「倫理委員会や外部委員の助言を受けることが望ましい」とされている。「望ましい」と努力義務として書かれているのは、透析治療は医師が1人しかいない診療所で実施されていることも多く、また、そうでない病院でも患者が出るたびに外部委員の出席も必要な倫理委員会を開催することが現実的ではないという声があるからだ。
公立福生病院も、2013年に腎臓病総合医療センターを設置し、院長にセンターの方針を伝えたことで承認を受け、特に倫理委員会を開催してこなかったという。

 この点について、前千葉県立東金病院院長で、現在千葉県循環器病センターで臨床研修アドバイザーを務める平井愛山(あいざん)氏は「公立病院は税金が投入されているため、透明性の確保、および、説明責任の遂行という2つの義務があります。このため、倫理委員会の開催は必要です」と強調する。

 また、黒部市民病院(富山県)腎センターの吉本敬一センター長は「全身状態が悪く、安全に透析治療が実施できないが、終末期とまでは言い難い患者が増えています。小規模の透析施設で倫理委員会が成立しない場合は、地域の病院と合同で検討会を開いたり、倫理審査を委託したりなど、病院と診療所、病院と病院の連携で対応する方法もあります。特に、医学的に透析が著しく困難な症例以外は組織内や透析医療チームのみで抱えるべきではありません」と指摘する。

 同学会は、「倫理委員会を開けないときはチーム医療での合意でもいい」と定めている。その場合、前述の平井氏は「病院ガバナンス(経営における合意形成等のシステム)の基本として、第三者も入る倫理審査委員会でプロセス・ワークフロー(手続き、*4)・ツール(患者への説明時の資料等)を事前に検討・承認を得ておくことが不可欠です」と助言する。

*4 ワークフロー:チームメンバーの構成・開催方法・検討項目と判断基準・決定のプロセス・倫理審査委員会への報告等
患者の治療に対する考えは
変えられる

 さらに報道では、公立福生病院の女性患者が透析治療をやめたことで症状が悪化した時期、前言を撤回したが、医師は苦しさを取る治療をして亡くなったとされている。

 日本透析医学会の提言を読むと、「自己決定の尊重」の項に「患者の判断能力がなくなっているときは、判断能力があった時期に本人が書いた事前指示書が希望の治療とケアの方針として尊重される(*5)」という趣旨が記載されている。このため、公立福生病院の医師は、死期が近づいた患者の意思より、それ以前に署名した意思確認書の内容を重んじた、あるいは縛られたのではないか。

 この意見確認書は「事前指示書(AD=Advance Directive)」と呼ばれる書面で、患者の意識が低下し、コミュニケーションができなくなった場合、人工透析治療の見合わせ、および、人工呼吸器や心臓マッサージ等の医療ケアについて、あらかじめどうしてほしいかの希望を示す。

透析見合わせが社会問題になる可能性について
前述の透析に関する調査では、透析見合わせの経験がある病院で、患者の意思の揺らぎを受けて、透析治療をしたという回答は約7.5%(38施設 *2)だった。7.5%と低い数字になるのは、そもそも透析を見合わせた事例は、主に人生の最終段階とする日本透析医学会の提言に沿っていたからと推測する。あるいは透析見合わせ後、苦しまず、意思表示を撤回する必要がなくなるほど、薬剤等で静かに深い眠りについていたかもしれない。

 だが、実際の医療現場では事前指示書による対応に限界があるといわれるようになり、昨年、厚労省が大々的に発表した通称「人生会議」では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP=Advance Care Planning)という手続きが新たに加わった。

 ACPでは患者がどんな人生を生きてきて、その都度、どのように考えてきたかをよく聞き取り、その人が大切にしている価値観を医療・介護関係者と共有する。患者の考えは心身の状態によって変化することがあるため、何度も繰り返し話し合う。医療者はこの患者の価値観を判断の軸として、医療ケアを実施することになっている。

 今回の騒動では、このACPの実践が医療現場に広がっているとはいえず、特に病院という多忙極める現場では、なかなか難しいことも見せつけた。

 前述の安藤准教授は「ACPは世間話から始まるものです。患者・家族は迷ったり悩んだりする姿を受け止めてほしいのです。病院より、生活について話し合える在宅療養や介護現場での活用のほうが向いています」とも話す。

 日本透析医学会は、提言でこの透析見合わせが社会問題になる可能性について触れ、「国民共通の話題として議論が深まり、国民全体が納得できるコンセンサスを得られることを祈念する」と結んでいる。

 先週の筆者の取材で学会調査の結果は公表しないと聞いた。だが、そうであれば、ぜひ報告していただき、さらなる議論につなげたい。


透析中止事件で問われる「死の在り方」と「報道姿勢」

2019年07月12日 05時39分14秒 | 医科・歯科・介護

浅川澄一:福祉ジャーナリスト(元・日本経済新聞社編集委員)

2019.4.24

福生病院の人工透析中止問題は、マスコミの報道と病院側の主張の間に、いくつもの矛盾がありました(写真はイメージです) Photo:PIXTA
東京都福生市の公立福生病院での人工透析治療をめぐり、様々な疑問が浮上している。透析患者の死亡までの経過にとどまらず、延命治療や終末期医療、腎臓移植、尊厳死、QOL(生活の質)、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)など多くの検討課題が俎上に載ってきた。

「治療の中止」を許さない
マスコミの報道姿勢への疑問

 まず第1の問題といえるのが、報道姿勢が問われているメディアについて、だ。

 3月7日の毎日新聞朝刊の「スクープ」が始まりだった。「医師、『死』の選択肢提示」「透析中止 患者死亡」「指針逸脱 都、立ち入り」という見出しを掲げる。前日に東京都が福生病院に立ち入り検査していた。

 その日の夕刊で、読売新聞が「透析中止提示 患者が死亡」、日本経済新聞が「透析中止提案」とする見出しで追いかけた。翌日の朝刊では、朝日新聞が「人工透析を中止 女性死亡」「医師が選択肢提示」、産経新聞が「透析中止を提示 患者死亡」、東京新聞は「医師が『選択肢』提示」「医師の提案『倫理上問題』」とする見出しで掲載し、全国紙が一斉に取り上げることになった。

 注目は、各新聞の見出しがほとんど同じこと。患者が死亡した原因は、医師が患者に透析の中止を提示したことで、問題だ、と訴えている。東京新聞の「倫理上問題」はその趣旨が最も分かりやすい見出しだ。

 果たして、医師は透析の中止、その結果としての死について患者に説明してはいけないのだろうか、という疑問が真っ先に浮かんだ。医師は診察後に、あらゆる治療法を患者に説明すべきだろう。手術や服薬の種類など想定できる可能性は複数ある。そのうちのどれを選択するかは、患者の判断であろう。

 提案できる選択肢の中に、「とことん治療する」「延命処置を望む」の一方、「治療をしない」あるいは「治療を中止、中断」して自然に任せる、という道が含まれてはいけないのだろうか。

 この時の各紙は、医師から透析中止の提示を受けた患者は、医師に「誘導」されて死に追い込まれた、と読者に受け取らせるような論調であった。

 終末期のがん患者に病名を告知しなかった時代に戻れ、と言わんばかりの論調には違和感がある。治療の拒絶から始まる緩和ケアなどはもってのほかになってしまう。死に方のひとつ、尊厳死を望む国民が少なからずいる時代に、なんと時代錯誤な見出しだろうか。
3月8日の毎日新聞は「本人に判断迫るのは酷」「透析中止問題で患者団体」と、東京腎臓病協議会の事務局長の談話を写真付きで載せ、中止の提示を問題視する。本文では「医師のさじ加減で意思決定を迫るのは、道徳的にも問題ではないか」という声を伝えた。

 同日の東京新聞も同じ事務局長の話を掲載。「医師が患者に生きるか死ぬかを選ばせること自体が明らかに間違っている」「医師は患者を治すのが仕事。最後まで助けてあげようとは思わなかったのか」という内容である。

 当事者の患者の言葉で、紙面造りの根拠を提示しているかのようだ。

 だが、患者に対して医師が話すべきことの中に、治療の限界を含めてはならないのだろうか、と疑問が湧く。毎日新聞は7日の紙面の解説記事で「医療の枠組みの中で『死の選択』が行われていたことは驚きだ。医療機関は治療する場所なのだ」と記す。

 果たして、一方的な治療だけが医療の役割だろうか。これまでの医療は「死」に向かい合わず、「敗北」としかとらえてこなかった。だが今や本人のQOLを尊重し、本人の意思決定が最優先される時代になりつつある。

人生の幕引きを本人と周りで考える
「人生会議」の重要性

 高齢社会の到来で、死や終末期をめぐる議論がこの10年ほどで大きく進展している。2007年に厚労省が打ち出した「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は昨年3月、大幅に書き換えられて、そのタイトルも「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」となった。

 医療だけでなく、ケアの現場スタッフも含めて、本人などとよく話し合うべきだとされ、ケアが加わった。このガイドラインには、海外で「普及しつつあるACPの概念を盛り込み」(ガイドラインの解説編)とある。ACPとは「これからの治療・ケアに関する話し合い(アドバンス・ケア・プランニング)」のことだ。11月30日にACPの愛称として「人生会議」が命名される。

 誰もが迎える人生の幕引きに際して、医療だけに委ねるのではなく、本人を中心に生活を共にする人たちと一緒に考えましょう、というものだ。昨年の診療報酬改定で、終末期の態勢を取ることが要件として組み込まれたこともあり、今や各地で開かれる医療職の研修会などでは、テーマがほぼACP一色になるほど関心を呼んでいる。

 そこで重要なのは、医療やケアの専門職から提案される様々な対応を本人がじっくり考えて、本人が選択すべきだが、本人の心は揺れ動くことを十分斟酌すべきとうたわれていること。本人の意思を尊重するためには、話し合いは早くから繰り返し行うことだという。その通りだろう。
今回の福生病院問題でも、このACPの在り方こそが問われるべきことだろう。医師が提示した透析中止は、透析の継続、あるいは継続方法と並ぶ「人生会議」の際の1つの選択肢である。それは当然の提案だ。むしろ、その選択肢を提示しないのであれば、それは専門職としての責任問題だろう。根幹は、患者本人の思いがどのように人生会議の場で伝わっていたのか、だ。

 話し合いの中で、家族との意識の共有を目指す努力も欠かせない。だが今回、毎日新聞は患者の夫に取材し、3月7日の紙面で「治療を再開しなかった外科医に対する不信感は消えない」と本文で夫の心情を記す。夫の言葉では「医者は人の命を救う存在だ。『治療が嫌だ』と本人が言っても、本当にそうなのか何回も確認すべきだと思う」とある。家族と病院との意思疎通が十分ではなかったようだ。

 今回の患者を含め同病院でこれまで死亡した24人の透析患者について、説明がきちんと記録されていなかったとして、立ち入り検査後の東京都は4月9日に同病院に改善指導した。

「患者が透析拒否」と病院が会見
メディアの報道内容に矛盾

 第2の問題は3月28日に起きた。病院の担当医と院長が初めて共同記者会見に臨み「透析中止は患者の意思です。病院から透析中止の選択肢を示していない」と話し、それまでのメディアの報道を否定してしまったのである。

 その深夜に時事通信と日本テレビが報じ、翌29日の朝刊で朝日新聞、東京新聞、産経新聞が伝えた。

 では、なぜ患者は透析をやめることにしたのか。29日の朝日新聞によると、「外科医は首周辺に管を通す透析治療を提案したが、女性は『シャントがだめだったら透析をやめようと思っていた』と話し拒否した」という。あくまで患者本人から拒否の言葉が出たというのだ。続けて「外科医は透析をやめると2週間ぐらいで死に至ると説明、女性は『よくわかっている』と答えたという」とある。

 さらに、患者とその夫を交えての話し合いの後、「透析からの離脱証明書に女性に署名してもらった」という経緯だと記してある。東京新聞、産経新聞もほぼ同様な記述だ。
 共同会見だから同じ内容になるが、日本テレビでは以下のように伝えた。

「透析を継続するため、鎖骨付近からカテーテルを入れる新たな治療方法の提案を行ったものの、女性患者は『透析はやらない』などとして、同意が得られなかったと説明した。女性患者は、透析治療を中止する文書にも署名したという」

 注目したいのは、会見の際の外科医の言葉だ。
「外科医は、『透析が可能な状況でこちらから中止を提示することはない』と説明。女性は中止の意志が固く『衝撃を受けた』と振り返った」

 これは産経新聞の記事である。朝日新聞でも、外科医は「拒否したために透析ができなくなった特異なケース」と話しているとしている。

 両紙から、患者の相当に強い意志がうかがえる。

 読者は、これを読んで疑問に思わずにいられないだろう。3月7日、8日の時点では「病院が透析中止の選択肢を示した」と報じていたはず。違うではないか。どちらが事実なのか。

 その内情を明かしたのは朝日新聞だけだった。同紙は「東京都は当初、外科医が透析をやめる選択肢を示した、と説明している」と言い訳を記した。つまり、東京都からの取材で、「透析中止を提示」と断定したことが分かる。当事者の医師の確認が取れていなかったのである。

 一方、朝日新聞を除いたほかのメディアは、過去の記事との矛盾を説明しないままだ。その日の共同会見を病院から拒否された毎日新聞だが、翌日に「担当医『女性が手術拒否』」との見出しで報じた。患者が透析を断った経緯だけを記し、「病院は透析中止の選択肢を提示していない」という肝心な点には触れていない。

患者が臨終に至るまでが
「医師」と「夫」で食い違う

 次に、第3の問題点は患者が亡くなった昨年8月16日の動きだ。

 3月29日の朝日新聞は「未明に、女性は呼吸の苦しさや体の痛みを訴え、看護師に『こんなに苦しいなら透析した方がいい。撤回する』と発言したことが記録に残っている。しかし、16日昼前に女性の症状が落ち着き、外科医が呼吸の苦しさや体の痛みが軽減されればよいか、それとも透析の再開を望むかと尋ねると、『苦しさがとれればいい』と答えたという。外科医は女性の息子2人にも説明して理解を得たうえで鎮静剤を増やし、女性は同夕に亡くなった」と記す。

 この記述は、3月7日の毎日新聞の記事とほとんど変わらない。同じ外科医への取材だからであろう。ところが、臨終の場面の内容は大きく違っている。

 3月29日の東京新聞は、共同会見した外科医の話として「鎮静剤を増し、別の病気で入院していた夫と息子2人が見守る中、落ち着いた状態で同日午後5時11分に亡くなったとしている」と書く。これは上記の朝日新聞と同じだ。

 一方、3月7日の毎日新聞では、患者の夫の話として「(昨年8月)16日、麻酔からさめると女性は既に冷たくなっていた」とあり、妻を見守る状態ではなかったと記す。事実は1つ、どちらかが間違えているのだろう。
人工透析だけではない対処法
「腎移植」という選択肢も

 ここまで、新聞を中心に経緯を追ったが、腎臓病、腎不全への医療の対応法にも課題がありそうだ。これが第4の課題である。

 日本の透析患者は、日本透析学会によると2017年末で33万4505人。平均年齢は68歳。1990年には10万3296人だったから年々増えている。

 血液にたまる老廃物や余分な水分を除去するために受ける血液透析は、1回に4~5時間ベッドにじっと横たわりながら受ける。週3回必要で、やめてしまうと苦しみ、数週間内に亡くなるという。このため一生受け続けなければならない。

 福生病院の女性患者は別の医療機関で長く透析を続けてきた。昨年8月9日の来院時に透析の「離脱証明書」に署名したが、16日の未明に呼吸が苦しくなり体の痛みを訴えたという。

 血液透析の費用は月約40万円と高額だが、高額療養費制度があるため、患者の負担は月1万円強といわれる。医療機関にとって人工透析患者は、長期にわたる安定した「収入源」ともなっている。1人年間約500万円の医療費は、国全体では約1兆6000万円に及ぶ。

 人口透析には、患者自身の腹膜を使って行う腹膜透析もある。透析液を自分で入れ替えられるので自宅でできる。だが、長期間は難しく、実行者は1万人に達しない。

 実はもう1つの対応法がある。透析ではなく、腎臓そのものを取り換えてしまう根本的な治療法である。腎移植だ。 

 移植された腎臓による拒否反応が問題視された時代があった。だが、現在は移植された腎臓がきちんと機能する確率は極めて高い。移植手術は医療保険の対象なので自己負担はあまりない。

 人工透析よりはるかに優れた理想的な治療法だが、残念ながら2017年には年間1742件しか実施されておらず、極めて少ない。欧米では、移植と人工透析の比率は大して変わらない。腎移植を待っている間だけ人工透析を、という考え方も強い。

 ところが日本では、腎臓の提供者が少ないため、腎移植という発想がはじめからほとんどない。腎移植の9割近くは家族などからの生体腎。死後の臓器を活用する献腎は極めて少ない。そもそも臓器を提供する文化が日本では定着していないからだ。

 健康保険証や運転免許証、それにマイナンバーカードには「臓器提供の意思表示」の欄があり、提供したい臓器を選ぶことができる。心臓や肺などと並んで腎臓も表記されている。2010年の臓器移植法改正で表記が始まった。臓器移植への関心を高めるにはいい手法だろう。「遺体にメスを入れたくない」ではなく、世のため人のための心意気の広がりに期待したい。
「治す」だけではなく
人々の生活を「支える」医療の重要性

 そして最後、第5の課題は、医療の果たす役割である。

 高齢者の自宅や施設での看取りが増えてきている。2013年8月に社会保障制度改革国民会議(座長清家敦・慶應義塾大学塾長)がまとめた報告書で、新しい医療概念が打ち出された。

「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の維持・向上を目指す医療」「治し・支える医療」「人間の尊厳ある死を視野に入れたQOD(クオリティ・オブ・デス)を高める医療」とうたわれた。

 医療は「治す」だけでなく、人々の日々の生活を「支える」ことが重要と訴え、誰もが迎える死にもQOLの概念を取り入れ、QODを高める医療を新たに提言した。QODが、政府関連の正式な文書に登場したのは初めて、画期的なことだった。

 死は生活の延長線上にある。本人のQOL第一という発想から死を視野に入れた考え方である。森鴎外の孫で、埼玉県新座市で訪問診療を続けている小堀鴎一郎医師は、「日本は『生かす医療』はトップクラスであるが、『死なせる医療』は大きく立ち遅れている」(著書『死を生きた人々』から)と喝破している。「死なせる医療」とは名言だろう。

 苦痛を免れない延命治療から、自然の摂理に委ねる自然死、尊厳死への転換が進んでいる。人口動態統計による死亡原因で、この数年「老衰死」の急増がその転換ぶりをよく示している。

「治療」だけが医療の役割という考え方は、過去のオールド・カルチャーになりつつある。福生病院の医師たちも、こうした社会の流れに合わせた対応を取ったと理解したい。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)

 


がん治療薬 オプジーボで小腸炎、死亡 重大な副作用に追加

2019年07月12日 04時51分17秒 | 医科・歯科・介護

重大な副作用に追加

2019/7/9 日本経済新聞

 厚生労働省は9日、免疫の働きを利用したがん治療薬「オプジーボ」を使用した患者が副作用とみられる小腸炎を発症して死亡したと公表。重大な副作用として薬の添付文書に追記するよう、製造元の小野薬品工業(大阪)に指示した。

似た仕組みを用いる「キイトルーダ」の製造元であるMSD(東京)にも、同様に指示した。

腸炎から、腸に穴が開く「せん孔」や、腸がふさがる「イレウス」となる例があることも添付文書に追記する。下痢や腹痛、血便が続く場合は投与の中止などを求める。

厚労省によると、キイトルーダでは死亡例はない。〔共同〕