遂にスラム化が始まる!? 逃げ切り世代に牛耳られた“高齢化マンション”の末路

2020年06月16日 19時43分47秒 | 社会・文化・政治・経済

6/16(火) 11:00配信
文春オンライン

©iStock.com

 マンションの管理運営は基本的にはマンションごとに結成される管理組合で行われている。管理会社が行っていると勘違いしている人もいるが、マンション管理会社は組合から業務を委託された存在にすぎない。つまり、管理会社はマンション管理に関わる実務を執り行うだけで、意思決定は組合の判断にゆだねられることになる。

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 その管理組合では、理事会が結成される。通常は理事長と複数の理事から構成される。理事会ではマンションの管理運営に伴う様々な意思決定事項を協議し、決定された内容を管理会社に指示し、その実施状況を管理していく。

 理事会で決定できる内容は日常業務に関わるものであり、その多くが管理規約などで定められた業務内容のものに限られる。

大規模修繕については組合総会で決議
 一方で、組合員である区分所有者による決議を必要とする大規模修繕などの内容については、随時管理組合総会を開催して、合議によって決議するというのが一般的な手法だ。

 さてこの決議だが、一般的には区分所有者それぞれが一住戸一票(マンションによっては区分所有面積比による票)を所持し、多数決で決議されることになる。100戸のマンションであれば51票の賛成があれば議案は可決する。議案の内容により、総会の議決を行うに足るだけの出席者がいれば、委任状の提出者を含む出席者の議決権の過半数で議案は可決される。

 一方で、大規模修繕のうち共用部の大幅な変更を伴うような内容のものは議決権の4分の3以上の賛成が、建替えでは5分の4以上の賛成が必要になる。

マンションは“日本社会の縮図”
 マンションは複数の区分所有者によって構成される、居住のための共同体だ。そのマンション全体の運営に関わる問題について、合議で決定していくことは民主主義の原則として理にかなったものと言える。

 言ってみれば、マンションという共同体は町や国といった仕組みの縮図なのかもしれない。マンション内には様々な価値観を持った人々が暮らしている。その社会の中で平穏に暮らしていくためのルールを定め、全員がそのルールを守って健全な生活を送っていくことが必要だからだ。

 ところがこの仕組み、最近ではいろいろな齟齬が生じている。
高齢者の「終の棲家」に選ばれはじめた
 マンションの老朽化に伴い、区分所有者も高齢化していることで、共同体を今後も維持していくためには不都合な所有者構成となってきているのだ。

 本来はマンションという共同体は区分所有者が徐々に入れ替わり、新陳代謝が行われていくことを前提としてきた。マンションは戸建て住宅を購入するまでの一時的な棲家として認識されていたこともあり、どちらかと言えば若い人たちの一次取得としての住宅という意味合いがあった。

 つまり、最初にマンションを購入した人はやがてそのマンションを売却し、戸建て住宅を購入し移転をする。そのあとには若いファミリーが入り、戸建て住宅が買えるようになるまでそこのマンションで暮らすといった、「住宅すごろく」が成立していたのである。

 しかし、次第にマンションという生活スタイルは、都心部のみならず郊外部あるいは地方でもすっかり定着し、マンションに永住しようとする人が多数を占めるようになってきた。そうした中で、特に老朽化マンションの中にはその区分所有者のほとんどが高齢者によって構成されるマンションが増加してきた。死ぬまでここで暮らそうという「終の棲家」に選ばれ始めたのだ。

「死ぬまで住めればよい」
 一方で、親の住んでいるマンションを相続して住もうという子供もいなくなっている。少子高齢化の影響もあれば、不動産価値の減退によって相続価値を認めない子供が増えたことも原因だ。

 こうした事態になればなるほど、現在の区分所有者である高齢者は「死ぬまで住めればよい」という考えを持つようになる。つまり、マンションという住宅は子供の代に引き継ぐものではなく、自分が「住みつぶせればよい」という存在になっている。

 ここから生まれる発想はどうしても「自分さえ満足であればその他のことはどうでもよい」というわがままな考えにつながる。

とにかくカネのかかることはやりたくない
 具体的には、とにかくカネのかかることはやりたくない。自分が生きている間にどうしても必要な事はやらざるを得ないが、特別なことはしなくてもよい、だからなるべくこのままがよい、こういった発想になりがちなのだ。

 実はこの発想は、マンション管理の現場だけで起こっている事象ではない。日本という国家全体にこの発想が蔓延している。今や日本国内の有権者の半数以上が50歳以上だ。つまり、日本で国会議員になりたければ高齢者層の支持を受けなければならない。彼らが好む政策を打ち出していかない限り、その地位は危ういものとなってしまう。

 この状況をマンション管理に当てはめればどうなるだろうか。高齢化した区分所有者が望む施策しか、理事会は実行しなくなるだろう。それこそがマンションという共同体の運命でもあるからだ。
給排水管の交換も外壁の修繕も必要ない!?
 では、マンションにおける区分所有者の年齢構成が大きく高齢者側に偏ると、他にはどんな事態が生じるだろうか。

 マンションは共同体として、今後も資産価値を維持し続けていく必要のある建物だ。だが、問題となるのは時間軸である。マンションを今後10年という時間軸で見るのか、あるいは30年という時間軸で見るのかで運営管理上必要とする施策は異なったものとなる。

 今後30年という時間軸で見るならば、たとえばマンション内の給排水管の交換、外壁の修繕はもちろんのこと、設備の更新、共用部のリニューアル、全館のバリアフリー化、災害時に備えた防災設備・防災用品の整備は必須となる。マーケットでも競争力を保ち、新たな所有者や賃借者にとっても魅力的な物件であり続けるために必要な修繕は、継続的に行っていく必要がある。

 ところが、多くの区分所有者が「自分の代だけ住めればよい」という発想に立つと、施策のほとんどは「俺たちには関係ない」ということで却下されるようになる。共用部を今の時代に適したデザインや仕様に変更して若い世代に借りてもらう、買ってもらうようにしたくても、高齢者たちの「ありのままでよい」というセリフで掻き消されてしまう。

そしてマンションのスラム化が始まる
 新陳代謝の行われないマンションは商品としての魅力を急速に落としていく。結果として、亡くなったり、高齢者施設に収容された区分所有者の住戸は、「魅力のない」「古臭い」マンションとして、貸すことも売ることもできない状況に陥り、空き住戸のまま放置されていく。

 空き住戸が増えていけば、その先に待っているのはマンションのスラム化だ。スラム化したマンションは相続財産としての価値もなくなり、誰にも引き継がれないまま野ざらし状態になっていく。

 今後大量のマンションが、築40年のステージに入ってくる。日頃の入念で手厚い管理と建物寿命を伸ばすための大規模修繕を施すことで、不動産価値は保たれていく。だが、将来に引き継ぐ施策を実行していかない限り、世の中にスラム化マンションが溢れかえることになるだろう。

今後10年が大きな転機になる
 こうした事態を防ぐには、時間軸を長く持ち、マンションという共同体を継続させようという区分所有者や居住者の意思が必要不可欠だ。日本社会に到来した少子高齢化問題が、マンションに大きな影を投げかけ始めている。日本の問題の縮図として、マンションの今後の存続が問われていると言い換えることもできるかもしれない。

 マンションの区分所有者が自分の都合だけに拘泥せず、不動産価値を全員で維持・向上させていくことは果たして可能だろうか。日本は欧米などと比べて私権の強い国と言われる。一見すると欧米は個人主義で私権が強いように考える人が多いが、欧米は「個」に対する意識の強さと裏腹に、「コミュニティー」に対する従属にも大きなウェートを置いた社会だ。つまり、コミュニティーという社会の中におけるプライバシーが確立された社会なのだ。

 したがって、コミュニティーにとって有害な個人の主義、主張は排除される傾向にある。放置された空き家などは近隣住民が勝手に入り込んで草刈りをしたり、地域社会にとって危害を及ぼすと考えられるような場合には強制的に空き家を撤去することも、日本と比べて比較的容易に実行できる。

 一方の日本では空き家対策特別措置法はできたものの、個人の住宅の敷地内に他の住民が入って草を刈るなどという行為は不法侵入の罪を免れない。

 私権の強い日本でこうした欧米のような発想が浸透するのか、高齢者が中心の社会構造の中でどこまでマンションのスラム化は防げるのか、これからの10年ほどが大きな転機となるだろう。

牧野 知弘

 

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河井案里氏秘書に懲役刑判決 広島地裁 連座制適用対象で案里氏失職の可能性濃厚

2020年06月16日 19時32分40秒 | 事件・事故

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自民党の河井克行前法相(57)=衆院広島3区=の妻案里氏(46)が初当選した昨年7月の参院選広島選挙区で、法定を超える報酬を車上運動員14人に支払ったとして公選法違反(買収)の罪に問われた案里氏の公設第2秘書立道浩被告(54)=広島市安佐南区=の判決公判が16日、広島地裁であり、冨田敦史裁判長は懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
懲役刑は連座制の適用対象のため、案里氏が失職する可能性が濃厚となった。 【動画】河井夫妻買収疑惑ダイジェスト  
冨田裁判長は、陣営が法定上限の2倍の1日3万円を支払った経緯に関し「被告には、最終的な報酬額の決定に影響を及ぼすほどの関与は認められないが、報酬が1日3万円と認識しながら、それを前提とする遊説活動を取り仕切り、支払いを指示する実行行為を担った」と指摘。克行氏の政策秘書だった高谷真介被告(43)=同法違反罪で公判中=らとの共謀を認定し「重要な国政選挙の公正を害した」と批判した。  
執行猶予の理由としては「違法な報酬を支払うことはかねて陣営の方針とされ、被告はその方針に従って関与したにすぎない」などと述べた。  
閉廷後、立道被告の弁護人は報道陣に対し「控訴は検討中」と述べた。  

広島地検は、立道被告が連座制適用対象の「組織的選挙運動管理者」に当たるとして懲役刑を求刑。弁護側は連座制の対象にならない罰金刑を求めていた。懲役刑の有罪判決が確定すれば、広島高検が案里氏の当選無効などを求める行政訴訟を起こし、高検が勝訴すると案里氏は失職する。

 法務省のまとめによると、連座制を強化した1994年の公選法改正から2005年5月までに、検察側が連座制による当選無効などを求めて提起した行政訴訟は117件あり、うち116件で検察側の勝訴が確定している。  

判決によると、立道被告は昨年7月19~23日、高谷被告らと共謀し、車上運動員14人に公選法の上限を超える報酬計204万円を渡した。  

立道被告は3月24日に起訴され、「百日裁判」として迅速な日程で審理された。検察側は、違法な報酬額の決定の一部にも関与したと主張する一方、弁護側は報酬額の決定には関与していないなどとして、従属的な立場の「ほう助犯」にすぎないと訴えていた。

 案里氏の陣営を巡っては、克行氏が参院選前に広島選挙区内の地方議員や首長らに現金を配ったとして、検察当局が17日の国会閉会後に公選法違反(買収)容疑で立件する方向で最終調整している。案里氏も一部の議員らに現金を配ったとの見方を強め、同法違反容疑で立件する方針を固めているもようだ。

中国新聞社

 

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捨てられたくない一心で」交際中の少女に客あてがいみだらな行為させた疑い 40歳男を逮捕

2020年06月16日 19時04分48秒 | 事件・事故

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交際中の少女に客あてがいみだらな行為させた疑い 40歳男を逮捕

 交際していた当時16歳の少女を東京・新宿区のホテルなどで客と引き合わせみだらな行為をさせたとして、無職の40歳の男が逮捕された。

【映像】40歳男を逮捕  無職の熊本清昭容疑者は去年、交際していた都内の高校に通う女子生徒に新宿区のホテルなどで30代の男とみだらな行為をさせた疑いがもたれている。警視庁によると、熊本容疑者と女子生徒はSNSで知り合って交際を始めました。

 熊本容疑者がアプリで客を募り、女子生徒が客から得た金を全額、受け取っていた。女子生徒は「捨てられたくない一心で断れなかった」と話しているということだ。 (ANNニュース)

 

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生活保護申請の男が激高、市役所で机ひっくり返す…女性職員は指骨折

2020年06月16日 18時59分31秒 | 事件・事故

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熊本県警は15日、玉名市岱明町、食品販売員の男(44)を公務執行妨害と傷害の疑いで逮捕した。  

発表によると、男は10日午前11時頃、玉名市役所で、生活保護の申請に応対した女性職員(26)に対し、机をひっくり返してぶつけ、左手の小指を骨折する全治4週間の重傷を負わせた疑い。

 県警の調べに対し、「(職員の)説明が理解できず、カッとなった」と供述しているという。

 

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抗議デモ参加の黒人女性、遺体で発見 米フロリダ州

2020年06月16日 18時45分13秒 | 事件・事故

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遺体で発見されたオルワトイン・サラウさん

(CNN) 米フロリダ州で黒人への暴力に抗議するデモに参加していた活動家の黒人女性ら2人が行方不明となり、1週間後に遺体で発見された。警察は殺人事件として捜査している。

同州タラハシーの警察は13日にオルワトイン・サラウさん(19)とビクトリア・シムズさん(75)の遺体を発見。これまでに容疑者の男(49)を逮捕した。

サラウさんは今月6日から行方が分からなくなった。同日のツイートで、滞在先の教会に忘れ物を取りに行こうとした際、車に乗せてくれた男から性的虐待を受けたと訴えていた。逮捕された容疑者がこの男と同一人物かどうかは明らかでない。

シムズさんは長年、高齢者団体でボランティア活動に取り組んでいた。 サラウさんは「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」と訴える抗議運動を熱心に支持していた。

タラハシーで先月、トランスジェンダーの黒人が警官に射殺された事件に抗議するデモに参加し、「私は自分の肌の色を変えられない。その肌のせいで死ぬことになるなんて」と声を上げる場面の映像が、ネット上で拡散している。 長年の友人らによると、サラウさんは独学で裁縫や自分が着る服のデザインなどを手掛け、写真家に依頼されてモデルも務めていた。

 

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大麻経験、推計160万人 年間使用者は9万人超か

2020年06月16日 18時41分15秒 | 事件・事故

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押収された大麻草など=1月、横浜・山手署

 国立精神・神経医療研究センターは2019年に大麻使用などに関する全国調査を実施し16日までに結果をまとめた。過去に1度でも経験したことがある15~64歳は推計値で160万6638人(17年調査比約27万人増)に上り過去最多を更新。

18年秋から1年間の使用者は推計9万2381人で、警察による19年の大麻事件摘発者数(4321人)と比較すると約21倍に当たるという。

 調査を担当した嶋根卓也研究室長は「米国の一部などが使用を認めたことやインターネットにあふれる肯定的な情報が若者を中心に影響を与えている可能性がある」と分析。年々身近になる実態も浮き彫りになった。

 

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中印両軍衝突、3人死亡 国境対立激化の恐れ

2020年06月16日 18時39分30秒 | 社会・文化・政治・経済

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 インド軍は16日、北部ラダックの国境地帯で15日、同軍部隊と中国人民解放軍の部隊が衝突し、インド軍の将校と兵士計3人が死亡したと発表した。  
中印両国は4000キロ以上に及ぶ未画定の国境線を抱え、年に数回は小競り合いを起こすが、死者が出るのは極めて異例。衝突をきっかけに、国境をめぐる中印両国の対立が激化する恐れがある。  
中印両軍は先月もラダックなどで複数回衝突したものの、今月6日に現場指揮官同士が会談するなどし、緊張緩和を目指していた。インド軍は16日の声明で「事態の深刻化を回避するプロセスの途上で暴力的対立が起きた」と中国側を非難。中国外務省報道官も、中国政府としてインド側に「強い抗議」を申し入れたと明らかにした。 
 

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南北連絡所 北「完全に破壊」 6/16(火) 17:54

2020年06月16日 18時27分18秒 | 事件・事故
日本時間16日午後5時ごろ、北朝鮮の朝鮮中央テレビは、この南北連絡事務所について「完全に破壊された」と報じた。

さらに、映像では、北朝鮮の開城(ケソン)にある南北連絡事務所から煙が上がる様子を撮影したもので、黒い煙が確認できる。

韓国の統一省によると、16日午後2時49分、開城工業団地にある南北連絡事務所を北朝鮮が爆破した。

朝鮮半島筋によると、4階建ての建物の3、4階は失われ、1、2階は鉄骨だけが残っているという。

南北共同連絡事務所は、2018月年9月に開設され、韓国と北朝鮮の当局者の協議の場になっていたが、韓国の脱北者団体が、金正恩キム・ジョンウン)委員長を批判するビラを撒いたことへの報復措置として、北朝鮮側が閉鎖し、破壊を予告する談話も出していた。

最終更新:6/16(火) 17:30
フジテレビ系(FNN)


なぜ人は自粛要請でもパチンコに通うのか?依存症の恐怖を専門家に聞いた

2020年06月16日 11時53分54秒 | 社会・文化・政治・経済

6/16(火) 8:47配信
bizSPA!フレッシュ

4月に発令された緊急事態宣言では新型コロナウイルス感染拡大の恐れがあるパチンコ・パチスロ店も休業要請の対象となりました。大半が休業するなか、一部のパチンコ・パチスロ店が営業を継続し、大阪府では吉村洋文府知事が名前の公表に踏み切ったことも記憶に新しいです。

 なぜ人は自粛要請にもかかわらず感染リスクを冒してでもパチンコにいくのか? そんな疑問をソーシャルワーカーとして、長年さまざま依存症問題に取り組んできた、大船榎本クリニック精神保健福祉部長(精神保健福祉士・社会福祉士)の斉藤章佳氏にぶつけてみました。

 前回は、著書『しくじらない飲み方 酒に逃げずに生きるには』(集英社)のテーマでもある、アルコール依存症について聞きました。今回は若者にも多く見られるギャンブル依存症についてお話をうかがいました。

なぜギャンブル依存症に陥るのか
――パチンコ、パチスロを好む若者も少なくないと思いますが、ギャンブル依存症に陥るのにはどのようなメカニズムがあるのでしょうか。

斉藤章佳(以下、斉藤):若い人でパチンコ、パチスロにハマる人は多いですよね。ギャンブルもアルコールと同様にストレスへの対処行動という側面がありますけど、始めて間もない頃に成功体験をしてしまうことが陥りやすいひとつの要因といえるでしょう。
依存症を自覚させるには

精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さん

――斉藤さんの著書で、依存症は“否認の病”とおっしゃっていましたが、当事者に依存症であることを自覚させる有効な手段はあるのでしょうか。

斉藤:難しいところですね。それは「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」という言葉通り、あくまで本人次第というところで、他人の力だけでどうこうできるものではありません。

 依存症は、放っておけば放っておくほどコントロールを喪失して悪くなるもの。状況が悪くなると平行して本人自身も痛みを感じ、習慣や行動を見直さざるを得なくなります。持続的な関わりの中で、再発を繰り返しながら、時間とともにようやく本人に自覚が芽生える。ここまででも、相当な時間がかかります。援助者側には、回復を焦ることなくこのプロセスに根気よく付き合える人が向いていると思います。

治療を始めるまでじっくり向き合う
――当事者本人に自覚(病識)が芽生えて、ようやくクリニックに訪れるということでしょうか。

斉藤:実際は、家族などの身近な人に無理矢理治療に連れてこられたというケースもあります。本人も「こいつに言われたから来たんだ」みたいな口ぶりで、「これだけの問題が起きているでしょ!」と正論を言っても、まったく本人には響きません。正論や説教は、時に依存症治療を後退させる要因になります。本人の抵抗とともに転がるというイメージで、まずはつながりをつくります。

 初診の際は本人の否認や抵抗、反発を受け止めた上で、「今後も(ギャンブル、アルコールなどを)続けていると、恐らく〇〇のような問題が起きるでしょう」と、将来起こりうる問題を予測して伝えます。そして何か起きたときにまた来てくださいねと次の外来受診の約束します。

 それから、実際に再び問題が起きてから本人が認めざる得ない状況になり、ようやく治療が開始されるのです。とにかく治療につながることが第一優先で、援助・支援関係のなかで動機づけを高めていく。このように、本人の動機づけをどのように高めていけばいいかに注目してアプローチしています。

 わたしはギャンブルこそ、仕組まれたアディクション(嗜癖行動)だと捉えています。ギャンブリング行動で刺激を受けた脳内では、神経伝達物質であるドーパミンが最初は過剰に放出されます。しかし、ギャンブルが習慣化していくと今までと同様の刺激ではドーパミンの放出量が弱くなり、人間の報酬系と呼ばれる部分はより強い刺激を求めるようになります。これをドーパミンの耐性といい、この状態になるといわゆる「条件反射としてのギャンブリング行動」となり意志の力でギャンブルに関連する行動や衝動の制御が困難になります。

 私は学生時代パチンコ店で1年半ほどアルバイトしていましたが、パチンコの原理原則として、絶対に店(運営)側が儲かる仕組みになっています。当時は釘の調整を店長自らやっていました。それを見て、なぜ勝てないのにみんなパチンコやるんだろうと考えていました。もちろん最初からずっと負けて続けていたら人はハマらないですが、一方で、ずっと勝ち続けるということはまずない。ハマるメカニズムとして「運」と「努力」の両者のバランスが絶妙なのがパチンコやパチスロなのです。運だけでは勝てないし、一方で努力だけでも勝てないのがギャンブルです。
「20代後半で借金900万円抱えた男性」

bizSPA!フレッシュ

――これまでの臨床の現場で、特に印象に残っているケースはありますか。

斉藤:20代後半の男性の方で、両親に付き添われてきました。パチンコやスロットをやり続けていて、初診時は借金が900万円ほどありました。本人だけではどうにもならず、親に泣きつくしかない。親からしたら、これが息子の初めての泣きつきではなく今まで何度となく借金の尻拭いをしてきました。今回は、公務員だった仕事を早期退職して、その退職金で返済するしかない状態だったようです。

 ところが治療を開始して1か月くらいしたら突然外来に来なくなりました。こちらとしてはスリップしたか、失踪したか、仮病を使って親が巻き込まれているかだと思うわけですよね。数日しても現れないため、両親に連絡することにしました。

 両親の話によると、息子に土下座して泣きつかれたので、これがラストチャンスということで退職金をあてにして返済してしまったそうです。しかし返済後に当の本人は失踪してしまいました。

依存症を自覚し、通院するように
――本人は戻ってきたのですか。

斉藤:失踪から2か月後に戻ってきました。話を聞くところ、ネットカフェに泊まりながらギャンブル漬けの生活を送っていたようです。結局、実家からくすめたお金もすっからかんになって、また両親に泣きついたようです。今度はクリニックの近くでアパートを借りて1人暮らしを始めて、通院するようになりました。両親も、今後一切ギャンブルで作った借金の尻拭いはしないという約束を息子の前で固く誓いました。

――ようやく本人が依存症を自覚したということですね。

斉藤:ちょうど治療開始して半年後には自助グループにも行き始めて、ギャンブルのない生活を始めるんですけど、それから間もなくお父さんが亡くなるんですよね。過度なストレスが大きな原因で、くも膜下出血でした。そして、原因は明らかに息子のギャンブルの借金問題でした。彼は、親せきからも嘘をついて借金をしていたためお父さんも肩身の狭い思いをずっとしていたのでしょう。

 本人も「親父が亡くなったのは自分の責任です。ずっと迷惑をかけて自分が殺したようなものです」と反省し、「1泊だけ田舎に帰って葬儀に出席させてください」と懇願しました。出席したら、親戚にも借金していたため、針のむしろでぼろくそ言われるのは想像できます。でも、それも覚悟の上だと思ったので、本人の意思を尊重して主治医は特別に許可しました。
人はそう簡単に変われないのか…

※画像はイメージです(以下同じ)

――本人の反省の意思や、依存症からの回復の兆しが見られた、と。

斉藤:本人は率先して告別式の受付を担当。辛辣な言葉をかけられながらも立派にやり遂げたようです。葬儀告別式を終えて、お母さんも彼の回復ぶりを間近で感じていたようです。

 これで元通りの暮らしに戻れると思いきや……。息子の名前をお母さんが呼んだのですが返事がありません。また、いなくなってしまいました。香典を持ち逃げしたんですよ。結局発見されたのが実家から数キロ離れたパチンコ屋でした。後日、私もその話をお母さんに聞いたとき「狂っている」と思ったと同時に、完全に脳がギャンブルにハイジャックされているなと感じました。

ギャンブル依存症の人の嘘が1番上手い
――依存症から完全に回復できたわけではなかった。 

斉藤:あらゆる依存症のなかでギャンブル依存症の人の嘘が1番上手いと思います。あらゆる嘘をついてお金を借りてきたから、嘘が洗練されていますよね。もしかしたら、お父さんに詫びたいというのは本当の気持ちだったのかも知れない。けれども、どこかで強迫的ギャンブラーのスイッチが入ってしまったんでしょうね。

 その後、結局治療も中断してしまいました。私自身も、自らの治療プログラムやかかわりによってここまで回復してくれたんだと、その関係性に酔ってる部分がありました。依存症という病は、関わる人に対しても共依存という「酔い」を与えてくれる不可解で巧妙で強力なものなんです。今振り返ってみると見事に騙されたなと思います。

今後も患者とさんと伴走したい

bizSPA!フレッシュ

――これからアフターコロナということで、社会は急激な変化を迎えようとしています。新たな依存症が顕在化することも考えられますが、ソーシャルワーカーとしてどのようにお考えでしょうか。

斉藤:ソーシャルワーカーの仕事というのは、単に病気を治すということに重きを置くのではなくて、「関係モデル」や「社会モデル」で患者さんを見ていきます。つまり、依存症という病を治療により治せば解決するんだという「疾病モデル」ではなくて、社会や環境、人との関係性のなかでその個人に病理が現れているという捉え方をする。

 アルコールであれ、薬物であれ、ギャンブルであれ、人は1人では依存症になりません。依存症とは人間関係のなかで病んでいき、そして、人間関係のなかでしか回復していかない病気です。今後も今までにない依存症問題が外来に持ち込まれたとしても、人と人のかかわりを通して患者さんと伴走できる専門家でありたいと思います。

<TEXT/目黒川みより>

bizSPA!フレッシュ 編集部

 

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芥川、直木賞候補決まる 太宰の孫の石原さんら

2020年06月16日 07時57分26秒 | 社会・文化・政治・経済

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第163回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の候補作が16日付で発表された。芥川賞には2016年に死去した作家津島佑子さんの娘で太宰治の孫にあたる劇作家、石原燃さん(48)らの5作品が、直木賞には7回目の候補となる馳星周さん(55)らの5作品がノミネートされた。選考会は7月15日午後、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれる。

【写真】第162回芥川賞、直木賞の贈呈式

 芥川賞の候補作は次の通り。(敬称略)  石原燃「赤い砂を蹴る」▽岡本学「アウア・エイジ(Our Age)」▽高山羽根子「首里の馬」▽遠野遥「破局」▽三木三奈「アキちゃん」

 

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新型コロナ抗体保有率、東京0・10%、大阪0・17% 厚労省調査

2020年06月16日 07時57分26秒 | 社会・文化・政治・経済

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厚生労働省は16日、東京都約2千人の抗体保有率を調査した結果、0・10%に陽性反応が確認されたと発表した。約3千人を調査した大阪府では0・17%、宮城県では0・03%で陽性反応があった。
【図】「抗体検査」のイメージ  調査は感染者の多い地域として東京、大阪を、少ない地域として宮城を選定。
今月1~7日、無作為で抽出し、同意を得た一般住民を対象に行われた。
 加藤勝信厚労相は同日の閣議後会見で「抗体が実際に新型コロナに対してどの程度の防御機能を持つのかなどについて、国立感染症研究所でさらに精査する」と説明。さらなる抗体保有率調査についても、検討していく方針を示した。  
 
抗体検査は感染した後、体内にできる抗体を少量の血液から検出する方法。過去に感染した人がどれだけいるかを把握でき、ワクチン接種が必要な人数や、次の流行で感染する可能性がある人数の推計につながると期待されている。
 

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搾取される研究者たち 産学共同研究の失敗学

2020年06月16日 07時57分26秒 | 社会・文化・政治・経済

山田剛志 (著)

企業からの無理難題、研究者を守らない大学、心を病む助教、院生、学生…

著者が解決に奔走した事件をベースに、搾取の実態を白日の下に!

研究室が企業の下請け業者にさせられている。
産学共同が抱える課題-公平性が欠ける。

大学の研究者は無償で民間企業に役立つことが「社会貢献」だと思っている。
搾取される助教や若手研究者、大学院生たち。
彼らの研究には関係ないが、教授の指示で作業をやらされる。
毎晩徹夜で作業させられ、ふらふらだ。



【内容紹介1】
政府が推進する政策である「産学連携」または「産学共同研究」。一見、
順調に見えるが、残念ながら様々な課題がある。企業側はともかく、大学
側や研究者にとって、その労力に見合う効果が生まれたとは言い難い。
本書は、研究者と弁護士の二足の草鞋を履く著者が、実際に解決に奔走し
た事件をベースにその実態を暴く。取り上げるのは次の3つの事例だ。
1共同研究における、企業と研究者の間の特許をめぐるトラブル
2共同研究における、若手研究者に対するハラスメント
3大学発ベンチャー企業の内実と、そこに勤めるポストドクターの待遇問

――研究者(特に若手)を搾取すべきではない。企業にも研究者にもメリ
ットのある共同研究のみが推進されることを願って止まない。

【内容紹介2】
「現状では、大学教員(研究者)にも、特に院生等の若手研究者にも、
企業にも、メリットがある公平な産学共同研究は、難しいのではないか」。
例えば、大学が、中小企業に無償で設備を使われたり、試作品の製作を
させられたり、一方的にヒト・モノ・カネを負担している事例を、共同
研究と称していることが多いのではないか。大企業との共同研究でも、
大学教員が対価に見合わない負担をさせられる事例も多い。

【著者プロフィール】
山田剛志(やまだつよし)
成城大学教授・弁護士・博士(法学)。新潟大学法学部卒業後、銀行員を
経て、一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得。アメリカ・
コロンビア大学ロースクール客員研究員(Visiting Scholar)。博士論文
『金融自由化と顧客保護法制』(中央経済社)。専攻・会社法・金融法
(企業買収など)。専門業績多数。新潟大学准教授を経て、2010年成城
大学法学部教授。上場会社社外監査役。敵対的買収やヘッジファンド対応
なども経験豊富。一般書としては、『法科大学院』(平凡社新書)、『暮らし
のトラブル法律相談』(中公新書ラクレ)等がある。2004年新潟弁護士会、
2010年東京弁護士会に登録。本書のテーマに取り組み、研究者の権利を
守るため、2020年3月より、弁護士法人日新法律事務所設立。

 

筆者は『はじめに』で、本書は、政府が推進する産学共同研究について、この政策が本当に大学のため、研究者(特に若手研究者)のためになっているのかその問題点を指摘したものだとしている。ただ、私は、筆者が「私が弁護士として関与した事案を中心に」としているのはまだしも、「私個人の経験をベースに書かれたものだ。全国の大学の現場で、どのような問題や不満があるか、本音ベースで回答されたデータや統計に基づく書籍ではない」とし、続く序章では、「これから紹介する三つの事例は、概ね、実話に基づいている」「本書では、以下の三つの事案を、各章に分けて説明していく」として、各章で紹介する筆者に舞い込んだ三つの事案の予告編を実に20ページにわたって長々と掲載しているのを見て、本書は筆者が経験したたった三つの事案だけを中心にして『搾取される研究者たち』を論じているのかと、ちょっと引っ掛かるものを感じてしまった。 

実際に各章の中身を読んでみると、三つの事案はいずれも相談者・筆者・関係者間のやり取りなどをリアルに再現したドキュメンタリー・スタイルの物語として紹介されているのだが、第1章は企業側が根も葉もない怪文書を共同研究者の講師が所属する大学宛てに送りつけるという特殊な事案を中心としながらも、共同研究における特許にまつわる諸問題が端的に明らかにされているし、第3章では、事案の再現以上に大学発ベンチャー企業の実態と、正職員として就職できず、高学歴ワーキングプアの可能性すらあるポスドクの問題などが広く一般的に紹介・提起されていたので、内容的にはこの章が一番中身があったと思う。 

しかし、第2章については、私が冒頭で引っ掛かると危惧していた点が露呈してしまっていたと思う。この第2章の甲教授の物語は前半と後半に分かれていて、前半は、乙会社と共同研究をしている甲教授が乙会社から無理難題を押しつけられ、そのしわ寄せを受けた甲研究室の実働要員が無給・無休で作業させられ、丁助教がうつ病で入院、院生が心身症で休学してしまい、乙会社からはこのままであれば研究費の返還と損害賠償請求をすると脅されているという事案、後半は、丁助教が自分がうつ病になったのは甲教授のパワハラが原因だとして学内のハラスメント委員会に訴えたため、筆者が甲教授の相談に乗るという事案なのだが、筆者によると後半の内容は、一部事実、一部過去の判例等を参考にしたもので、わかりやすくするために便宜上、甲研究室の事案としたものなのだそうだ。 

ここで筆者は、甲教授が訴えられたことを聞いて、「乙会社が原因なので、甲先生が訴えられるのは、おかしいと思いますが」と語り、甲教授に2カ月の停職処分を下すとしたその後の大学のハラスメント委員会の勧告が、甲教授のどの行為がハラスメントにあたるのか具体的に検討されていない明らかに適正を欠いたものだとして、裁判所に停職処分停止の仮処分の申立をするよう甲教授に勧め、最終的に裁判所から「ハラスメントはあったが、甲教授のどの行為がハラスメントか、曖昧なまま処分をした」という判断が出され、停職は重すぎ、戒告相当という和解案で双方が同意し、筆者は「甲教授に有利な判断が下されたので、私もほっとした」というオチなのだが、これを読んで、私は何か釈然としない思いにかられてしまったのだ。 

筆者は、あくまで企業に無理難題を押しつけられた共同研究という特殊な条件下で起こったパワハラという前提で語っているのだろうし、たしかに、本事案の一連の流れを前提とすれば、甲教授も被害者のうちの一人であり、同情の余地はあるとは思うものの、実際には前記のように甲教授の一連の事案ではなく、他の事案を便宜上、甲教授の事案としたものであり(第1章も同様だが)、他の事案にも本当に甲教授と同様の前提があったのだろうかという疑問も感じる。また、筆者は「少し説教しただけのつもりでも、…パワハラになることもある。私も教員なので、気をつけなければならない」と、同じ教員としての立場から、教員は自分ではパワハラをしたつもりは全くなくても訴えられることがあるとも取れるような発言もしているのだが、実際のパワハラ問題には、加害者側が100%悪い場合から本事案のような場合まで、さまざまな段階・レベルの類型があるはずであり、非常にデリケートなパワハラ問題は、本書のような出版物という公器では、本来であれば、客観的かつ公平に、幅広く論じるべきだと思う。本書のように、わずか一つの加害者側の責任が薄い事案だけに矮小化して取り上げて、まるで大学での実際のパワハラは、現実にはこういうものですよと言いたいのだろうかと思ってしまうような論じ方をしたら、読者にパワハラ問題へのいらぬ印象づけ・先入観・誤解を抱かせてしまうのではないだろうか。

 

小生がお付き合いしている若手研究者で、特任准教授や特任研究員という方々が多くなったと感じている。これらの方々は任期付きの研究者で、外部からの資金が得られている間は大学や研究機関で職が得られるが、外部からの資金がなくなるとやめなければならない、不安定なポストである。最近、ノーベル賞を受けられた研究者の多くの方々が基礎研究の重要さを語っておられるが、現状の若手の研究者の実情は基礎研究を行っていくことが難しいことを示している。本書は、著者が実際に体験された事例を活用して、若手研究者に起こっている課題、特に勤務状況における課題を具体的に述べられ、またその解決策も示されており、若手研究員の雇用をめぐる問題点を理解しやすい。我が国は、科学技術などの知的分野で世界に貢献していかなければならない立ち位置にあると思うが、この書籍で提示されている課題は我が国の科学技術政策ともかかわっており、我が国の科学技術の在り方・進め方を考えるためにも重要な提示がされた書であると思う。

 

本書は「産学共同研究の失敗学」との副題がついているが、内容は、産学共同研究に限らず、研究者をとりまくさまざまな問題に切り込む内容。
筆者は法学の研究者で、副業(?)で弁護士業務も行っており、研究者の権利をまもるための弁護士事務所を設立している。弁護士としてかかわった3つの事例を、ドラマ仕立てで紹介しており、一般人にもわかりやすく読みやすい。研究業界ならではのお金の流れや、人間関係が、具体的に描かれている。深刻なトラブルに陥った研究者と弁護士とのやりとりがなまなましい。
特に第1章の、ベンチャー企業との共同研究で、研究者が一方的に利用されてしまうという事例。ベンチャー企業の社長が共同研究の権利(特許)を横取りしたうえ、「それが大学の社会貢献じゃないんですか」と開き直る・・・、というくだりは、私も似たような話が身近に実際にあったため、非常に興味深かった。
どうも研究者たちは「社会貢献」とか持ち出されると弱いようなのだが、本書に登場する社長はそれをわかっていて意図的に利用しているのだろうと思った。
また、本書には研究者個人として自己防衛するためのさまざまな具体策も紹介されている。
これから研究者の道に進もうとしている人に、ぜひとも、本書を読んでほしい。

 

この本の著者は、大学で会社法の研究を行う傍ら、弁護士登録をして実務も行っておられる方だそうで、この本は、実際に著者が対応した事案を紹介したものとのことです。
 「搾取される研究者たち」というタイトルですが、サブタイトルに「産学共同研究の失敗学」とあるように、近年大流行の産学共同研究がいかに大学の研究活動や研究者の生活・人生に負の影響を与えているかを記述した本です。

 

エピソードは3つあり、(a) 研究者と民間企業間での特許権の帰属問題、(b) 民間企業側の理不尽な要求による研究者の疲弊、(c) 大学発ベンチャーの不安定な経営、大学とベンチャーの関係性の難しさ(ポスドク問題もあわせて紹介)、がとりあげられています。
 どのテーマも、実話に基づくだけあってリアルで、興味深く感じながらスラスラ読めます。
 そして、現在の研究活動や研究者の置かれた理不尽な厳しい状況が理解できる本です。

 小泉政権以降の「改革」は、一見すると良さげなのですが、深く内実をみると失敗ばかりというように思います。大学を「改革」しようとした「実学重視」、「産学連携の推進」、「競争的資金による研究資金の重点化」、「ドクター人材の大増産」などなどは、本当に有益だったのかを再考させられる本です。
 説得力のある、とても有益な本と思います。お薦めします。

 

 

 

 


なぜ世界は存在しないのか

2020年06月16日 07時30分12秒 | 社会・文化・政治・経済

マルクス・ガブリエル (著), 清水 一浩 (翻訳)

千葉雅也氏、推薦!!

今、世界中で注目される哲学者マルクス・ガブリエル。その名を一躍有名にしたベストセラー、待望の邦訳!

20世紀後半に一世を風靡した「ポストモダン」と呼ばれる潮流以降、思想界には多くの人の注目を浴びるような動きは長らく不在だったと言わざるをえません。
そんな中、21世紀の哲学として俄然注目されているのが、新たな実在論の潮流です。中でもカンタン・メイヤスーは「思弁的実在論」を主張し、思想界をリードする存在になっています。それは「人間が不在であっても実在する世界」という問いを投げかけ、多くの議論を巻き起こしましたが、その背景にはグローバル化が進んで国家や個人の意味が失われつつある一方で、人工知能の劇的な発展を受けて「人間」の意味そのものが問われつつある状況があるでしょう。
こうした新たな問いを多くの人に知らしめたのが、本書にほかなりません。「新しい実在論」を説く著者ガブリエルは1980年生まれ。2009年に史上最年少でボン大学教授に就任したことも話題になりましたが、2013年に発表された本書がベストセラーになったことで、一躍、世界的スターになりました。
本書のタイトルにもなっている「なぜ世界は存在しないのか」という挑発的な問いを前にしたとき、何を思うでしょうか。世界が存在するのは当たり前? でも、そのとき言われる「世界」とは何を指しているのでしょう? 「構築主義」を標的に据えて展開される本書は、日常的な出来事、テレビ番組や映画の話など、豊富な具体例をまじえながら、一般の人に向けて書かれたものです。先行きが不安な現在だからこそ、少し足を止めて「世界」について考えてみることには、とても大きな意味があることでしょう。
「です、ます」調の親しみやすい日本語になった今注目の書を、ぜひ手にしてみてください!

【目次】
哲学を新たに考える
I これはそもそも何なのか、この世界とは?
II 存在するとはどのようなことか
III なぜ世界は存在しないのか
IV 自然科学の世界像
V 宗教の意味
VI 芸術の意味
VII エンドロール──テレビジョン

訳者あとがき

原註
用語集
作品名索引
人名索引

 

メディア掲載レビューほか

新しい実在論

ポストモダン思想は強力だった。いや、過去形ではなく、現代もわれわれはその影響下にある。典型的なのは、絶対的な価値など存在しないという相対主義だろう。それが俗化すると、安倍政権への支持者も反対者もどっちもどっち、といった冷笑的態度になる。絶対的に正しいことなんてありはしない、と。

だが、ほんとうにそれでいいのか? 漠然とした不安と反発を感じていたところに登場したのがマルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』だ。著者は1980年生まれの哲学者。2009年にボン大学教授となり、ドイツでは最年少の哲学正教授として話題になったという。

キャッチーなタイトルで、映画やテレビドラマを具体例として挙げつつ、平易なことばで難解なテーマについて語る。読んでいるとなんとなくわかったような気持ちになってくる。売れている理由はそのへんにあるのか。

著者は「新しい実在論」なるものを唱える。ぼくらがいようといまいと、ぼくらとは関係なしに世界が存在すると考える形而上学。ぼくらそれぞれに、それぞれの世界があると考える構築主義(ポストモダン)。「新しい実在論」はそのどちらも否定する。まったく新しい異次元の考え方というよりも形而上学と構築主義のいいとこどりというかハイブリッドというべきか。

導入するのが「意味の場」という概念だ。存在する(つまり「ある」)ということは、何らかの意味の場のなかに現れることなのだという。

世界はあるのかないのか。ぼくが世界だと思っているここは、世界ではないのか。本書をもういちど読み直そう。

評者:永江朗

(週刊朝日 掲載)

内容(「BOOK」データベースより)

ポストモダン以後、どんな哲学が求められているのか?現代世界の中で意味のある哲学とは何なのか?―「新しい実在論」が、その答えである。カンタン・メイヤスーらの潮流とも連携しつつ活躍する一九八〇年生まれのドイツ哲学界の新星が読者に向けて「なぜ世界は存在しないのか」という大胆な問いを投げかけ、豊富な具体例とともに解きほぐしていく。世界の最先端を走る若き哲学者のベストセラー、ついに日本語版が登場!
 
 
デカルトは懐疑を徹底した結果、とうとう「今自分は夢見ているのではないか」という疑いを払拭することができなかった。絶対的な基盤がない以上、実在を語るわけにはいかない。西洋哲学は、「考える私」を唯一の足場として観念論を展開するしかなかった。 「世界が存在しない」というのは、存在を語るための絶対的な基盤が存在しないという当たり前のことをセンセーショナルな言葉で表現したに過ぎない。
そのような背景から見ると、ガブリエルの言っていることは、「夢なら夢でもいいではないか、それは夢の中に確実に『存在』する。」と言っているようにも聞こえる。
それほど革命的なものという印象がないのは、私がまだ十分に理解していないからだろうか?
 
この本の内容は、大きく分けると2つに分かれています。第3章までではガブリエルの基本思想が開陳され、第4章以降からは開陳された基本思想を基にして科学や宗教などのあり方が捉え直されています。

序章は「哲学を新たに考える」です。この本の基本思想は、「世界は存在しない」と「新しい実在論」です。新しい実在論は、「形而上学」が認める人間に依存しない現実それ自体と、「構築主義」が認める人間に対して現れているかぎりの事物は両方とも存在すると考える立場です。
第1章は「これはそもそも何なのか、この世界とは?」です。ガブリエルは、特定の種類の諸対象を包摂する領域を「対象領域」と呼びます。例えば銀河という対象領域には、星や惑星などの対象が包摂されています。ガブリエルのいう「世界」とは、「すべての領域の領域、すべての対象領域を包摂する対象領域」です。
第2章は「存在するとはどのようなことか」です。ガブリエルは、何かが現れてくる場を「意味の場」と呼んでいます。何かが何らかの意味の場に現れるとき、その何かは存在します。
第3章は「なぜ世界は存在しないのか」です。ガブリエルは、「世界とは、すべての意味の場の意味の場、それ以外のいっさいの意味の場がそのなかに現象してくる意味の場である」と厳密に定義し直します。世界は世界のなかに現れることができないので、存在しないとガブリエルは考えます。そのため、すべてを包摂する領域である世界は存在せず、無限に増殖していく無数の意味の場だけが存在することになります。

第4章は「自然科学の世界像」です。自然科学によって世界それ自体を認識しようとする科学主義を、ガブリエルは厳しく批判します。ガブリエルは世界それ自体は存在しないと考えているので、どんな科学的世界像も成立しないと言います。また、宇宙はただ単に自然科学によって研究できるものの総体であり、宇宙を考察しているだけでは人間的な意味を取りこぼしてしまうことが指摘されています。
第5章は「宗教の意味」です。ガブリエルは、宇宙・世界・現実全体を俯瞰的な視点から眺める「神の立場」は幻想にすぎないと言います。ガブリエルは世界の存在を否定しているので、すべてを取りまとめて組織化する原理としての「神」の存在も否定します。宗教で本質的に問題になるのは人間の実存であり、私たちは自分とは何者なのかを常に探求し続けているということが書かれています。
第6章は「芸術の意味」です。芸術のなかには私たちが能動的に解釈しないと意味がわからない作品があり、能動的な態度によってはじめて存在を認められる意味があるということが指摘されています。芸術は対象を現象させるだけでなく、その対象が現象している意味も現象させるとガブリエルは言います。世界が存在しないことが全体主義への誘惑を克服し、無数の意味の場が存在することが多様性の肯定につながるということが語られています。
第7章は「エンドロールーテレビジョン」です。私たちの身の回りには意味が溢れており、私たちはただ生きているだけで無数の意味に関わっているという形でこの本は幕を閉じます。
 
 
世界は存在しない、というタイトルで注目を集めて実際には中身のない本だと思いました。

世界がわたしたちの思考のなかに存在するのであれば 、わたしたちの思考が世界のなかに存在することはありえないはずです 。さもなければ 、わたしたちの思考と (その思考内容としての ) 「世界 」からなる世界が 、また別に存在していることになるからです 。

→この論理は矛盾していると思う。鏡と鏡のように、延々と無限に続くループも実際には存在するから。

魔女は 、魔女狩りを行なう者の想像のなかにしかいなかったのです 。この地球上に魔女がいたことなどありません 。魔女は 「地球 (上 ) 」という意味の場には現象しません 。けれども 、たしかに 「初期近代の魔女狩り実行者のもっていた表象体系 」という意味の場には現象しています 。したがって 、初期近代における何らかの表象体系には魔女が存在していたとか 、 『ファウスト 』には魔女が存在しているといった主張は 、完全に正当なものなのです 。

→『だから、何?』『現実的に何か有用なことがわかったの?』と読んでる側としては言いたいところだが、著者はその後は話を変えてしまう。
全般的に、内容は、完全な言葉遊びに終始してしまっている。現実において有用な知見は一切ない…

以上が一個人としての感想です。
 
 
認識論(とか実在論とか)には昔からけっこう興味があったわけなんだけど、まあ、ざっくりと、どんなことを言ってるのかだけはわかっても、どうにもしっくりとこないわけで。
もうずいぶん前にポストモダンみたいなのが「全て相対的だ」みたいなことを(多分)言ってて、「だから何?それを言っちゃったらおしまいじゃないか・・・」的な収まりの悪さがあって、多分、それをどうにかしようと考え抜いているのがこの人の哲学なのだと思う。というところまではわかるけど、やっぱ、あんまりよくわからない。
今となっては「マトリックス」ももう昔の映画だけれども、こんなふうに「この世界はマトリックスなんかじゃねえよ!」っていう方向に頑張る認識論はかっこいいと思う。で、方向性として「そうだよな、ほんとそうだよな!がんばれー!」って読み進めるんだけど、でも、やっぱり、あんまりよくはわかんない。
とにかく、「宇宙物理学だ脳科学だ遺伝子だゲノムだ何だと、そういう科学がもっと進んだら全てのことが解明される」なんていうのは愚の骨頂だと思っているので、こういう本は読んでしまうよな~。
まだ半分くらいしか読んでないけど、たぶん、最後まで読んでもあんまりよくわからないだろうとは思う。それもやっぱり、読み進む気は失せない。
”宇宙はどれほど広大であろうと、世界全体の断片のひとつにすぎません”
”宇宙は、数多くある対象領域のひとつにすぎず、したがって存在論的な限定領域にほかならない”
ほんと!そうだよな!
 
 
冗漫な記述に疲れる。しかし、新実在論の全貌を解明している。世界というものは存在せず、個々の事物とそれを認識する個別の存在者が存在するだけだと説く。しかし、なぜ個々の事物に関する認識が生ずるのか、ガブリエルは認識が存在者に事物の「意味」として生ずる「場」を理論的に要請する。これを個々の「世界」と呼んでも良いし、ハイデガー流に表現すれば、存在の「地平」と呼んでも良いだろう。例えば、静岡県のある場所から富士山を見ている人にとっては、そこ(見ている場所)が認識が生ずる「場」なのであって、富士山をそこから見ているという事実(経験)があることが、認識の根拠である。想像上で富士山を思い浮かべる人がいたとしても、かつて何か(富士山の本を見たとか)の経験があるからこそ富士山を思い浮かべることが出来るのだ。このように考えるとガブリエルのこの壮大な認識論は、認識の「地平(場)」を要請する限りにおいて、ハイデガーの存在論と大して異なるものではない。もう少しガブリエルの認識論に付き合うと、カントが『純粋理性批判』で説いた、時間や空間、質、量、大きさ等の〈先天的悟性概念〉も必要になるのではないか?これらの概念を悟性が備えていなければ、富士山をどこから見ても「富士山」としての知覚が生まれることはないだろう。
このように考えると、ガブリエルの新実在論(新唯物論)は、現在のところは認識論として完成されたものではない。もっと精緻な理論を備えなければならないだろう。
それはともかく、これだけ豊富な事例を挙げて新実在論を説いたマルクス・ガブリエルの哲学的才能は素晴らしい。著作は他にもあり、今後の翻訳の出版も楽しみだ。来日した時ガブリエルは、ドイツの地下鉄には改札口がなく、その理由としてドイツ人にとって切符を買わずに電車に乗る者がいるとは考えられない。なぜなら、ドイツ人にはカントの道徳法則や義務の念が当然備わり、ヘーゲルの『精神現象学』における絶対精神の自己実現などの難解な哲学概念が直観的に理解出来るからだという(新刊のNHK出版新書より)。西洋近代哲学を自家薬籠中のものにして自由自在に論ずるドイツ人とカントやヘーゲルの哲学に難解さと違和感を感ずる日本人との根本的な差異を実感する。やはり日本人にとって西洋近代哲学は難解なのだ。日本独自の哲学を構築しようとして格闘した西田幾多郎でさえ、日本の禅と西洋近代哲学、カントやヘーゲル、ベルクソンの所説を折衷した印象を拭うことは出来ない。本書でガブリエルが厳しく批判する「自然主義」も、私たち日本人には少しも「自然主義」ではない。困ったものだ。
本書は、西洋近代哲学入門としても読める。哲学に関心あるすべての人にお勧めの一冊だ。
 
 
本書は、「新実在論」としての「認識論」の立場から、著者が世界や宗教や芸術等にアプローチを試みている。その際の、本書を理解する決定的なキーワードは、「意味の場(Sinnfeld)」であり、その場で「現象」しているものが「存在」とされている。ただ、このキーワードにある「場」の概念は、高校物理から習う、電磁気学の「場の理論」にある程度精通していなければ、本質的に理解するのが困難と思われる。その他にも、本書の至る箇所で、「ハイゼンベルグの不確定性原理」だの「ド・ブロイの光の二重性質理論(光は波動と光子が同時に現象する)」だのと、物理学からの知見をかなり積極的に、本書に援用している。従って、本書は、「バリバリの文系型哲学愛好家」には、あまり向いておらず、かえって、「理系型頭脳の持ち主」の方が、理解が相対的に容易であるかも知れない。確かに、本書の著者は、西洋哲学史に出て来る、そうそうたる偉大な哲学者を論駁しようと試み、かなりの独創性が窺われるが、「存在するのは、個物か普遍か?」とか「被造物に自由意志があるのか、それとも決定論で宿命付けられているのか?」などといった、中世以来、多くの哲学者を悩ませ、現在に至っても「普遍解」が見つかっていない「アポリア(難問)」を「体系的に説明」する事には、本書の著者は成功していない様に思われる。とはいえ、本書の著者は、まだ若い哲学者であり、西洋哲学史上の難問を悉く解決する様、期待するのは、「無い物ねだり」かも知れない。あくまでも、本書の著者は、「認識論」が専門であり、本書の内容や脚注を見れば、かなりの哲学書を読破した、相当の努力家である事実は否定しようがない。本書の著者の、哲学者としての更なる「知的発展」及び「幅広い分野の探求」を期待したい。
 
 
 
 
 
 

「おたく振り込め詐欺?」電話に割り込んだコンビニ店長

2020年06月16日 07時21分42秒 | 事件・事故

配信

感謝状を贈呈された川口哲也さん(左)と会田雄一署長=2020年6月8日、大宮西署、黒田早織撮影

 コンビニ店内で高齢男性に声をかけて詐欺被害を未然に防いだとして、埼玉県警大宮西署は8日、セブンイレブンさいたま飯田新田店(さいたま市西区)店長の川口哲也さん(40)に感謝状を贈呈した。 【動画】踏切に女性、10秒後に電車が…ドラレコが捉えた救出劇  川口さんによると、1日午前11時ごろ、レジにいた川口さんは60代の男性に「振り込みをしたいがやり方が分からない」と声をかけられた。男性がその場で携帯をスピーカーフォンにして電話をかけると、相手は「アマゾンギフトカードを8万円分購入して」などと指示。不審に思った川口さんは「振り込め詐欺のような感じがしますが、おたくはどういう方ですか」と直接聞いたが明確な返答がなかったため、詐欺だと確信し110番通報した。  署によると、同日午前10時半ごろ、男性の携帯電話に「未払い金がある」などとショートメールが届いた。男性がメールに記載された番号に電話すると「動画サイトの利用料金25万円を本日中に支払わないと訴訟を起こす」と言われたという。

朝日新聞社

 

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駅のホームから飛び降りたか…20代くらいの男性が列車にはねられ死亡 約2時間“運転見合わせ”

2020年06月16日 07時19分28秒 | 事件・事故

配信

愛知県大府市のJR東海道線のホームで、20代くらいの男性が貨物列車にはねられ、死亡しました。この影響でJR東海道線が名古屋-岡崎の間でおよそ2時間にわたり運転を見合わせました。  15日午後2時半過ぎ、大府市のJR東海道線・大府駅の上りのホームで、男性が貨物列車にはねられました。  男性は20代くらいとみられ、その場で死亡が確認されました。貨物列車の運転士らにケガはありませんでした。  消防によりますと男性はホームから飛び降り、運転士が急ブレーキをかけたが間に合わなかったとみられています。  この事故の影響でJR東海道線は、名古屋-岡崎間が上下線でおよそ2時間にわたり運転を見合わせました。  警察は男性の身元の確認を急ぐともに、事故の詳しい原因を調べています。

東海テレビ

 

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