この薬剤は「デキサメタゾン」。免疫疾患やアレルギー疾患などに長年広く用いられてきた薬で、比較的安価で入手しやすい。同大の発表によると、1日6ミリグラムのデキサメタゾンを経口または注射で10日間投与された2104人と、通常の治療のみを受けた4321人を比較した。

 その結果、通常の治療のみを受けた場合、28日後の死亡率は、人工呼吸器をつけた患者で41%、酸素吸入を必要とする患者で25%だったが、デキサメタゾンの投与を受けると、死亡率を、人工呼吸器をつけた患者で3分の1、酸素吸入器をつけた患者で5分の1、それぞれ減らすことが出来たという。呼吸の補助を必要としない患者では効果が確認されなかった。

 調査結果はまだ査読のある雑誌に掲載されていないが、チームは「公衆衛生上の重要性を考慮し、詳細をできるだけ早く公開するべく取り組んでいる」としている。主任研究者の一人、ピーター・ホービー教授(新興感染症)は「酸素治療を必要とする患者の生存率を改善する効果は明らかで、デキサメタゾンはこうした患者の標準治療になるはずだ。デキサメタゾンは安価ですぐに使用でき、世界中で命を救えるだろう」と話している。

 ホービー教授とともに記者会見…

 

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