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東海テレビ
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UHB 北海道文化放送
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再逮捕容疑は5月31日午前7時30分ごろ、郡山市で駐車中の知人のトラックを盗んだ疑い。このトラックは、事故を起こしたトラックと同じ車両とみられ、盗んだとみられる時刻は事故の約30分前だったという。同署は認否を明らかにしていない。
捜査関係者によると、容疑者は、トラックで事故現場をいったん通り過ぎた後、Uターンして2人をはねた可能性があるという。
韓国政府が6月2日、日本による半導体素材3品目の輸出規制強化について世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを再開すると発表した。昨年11月に日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄とともに「停止」していたもので、日本側は強く反発した。
日本が2019年7月に実施したこの措置をめぐる展開は、韓国側に一本取られたという感が強い。韓国は貿易管理制度についての日本の要求をすべて受け入れたけれど、日本側の本当の狙いだった徴用工問題は好転していない。そのために日本は「制度を改善しただけでは駄目だ。運用を見てからでないと判断できない」という苦しい主張をせざるをえなくなった。それを受けて韓国は、WTO提訴再開という揺さぶりをかけてきたという構図だ。
日韓請求権協定を無視するような徴用工問題での文在寅政権の対応には大きな問題がある。だから、外交的圧力をかける必要があるという考えまで否定するわけではない。ただ、圧力をかけたつもりが空振りどころか、相手にうまく立ち回られて自分が苦しくなっただけというのでは困る。やっぱり「愚策」だったのである。
日本の措置は名目上、徴用工問題とは関係ないものだ。菅義偉官房長官は発表直後の記者会見で「徴用工問題への対抗措置か」と聞かれた時には、「安全保障を目的に輸出管理を適切に行う観点から見直すものであり対抗措置ではない」と強調した。
ところが「なぜ今なのか」という追加質問に対しては、輸出管理制度は各国間の信頼関係に基づくものだという一般論を述べた後、6月末に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20)までに「(徴用工問題の)満足する解決策が示されなかったことから信頼関係が著しく損なわれたと言わざるをえない」と指摘。「このような状況下で韓国との信頼関係の下で輸出管理に取り組むことが困難になったために今回の制度運用の見直しを行うことになった」と語った。
正面から「対抗措置か」と聞かれた時には「違う」と断言したが、別の質問では本音が出てしまったということだろう。要するに、G20までに徴用工問題の解決策を示さなかったからということだ。日本政府は他の閣僚の個人的発信を含め、当初は徴用工問題とのつながりを否定しなかったが、批判の高まりを受けてか1週間ほど後からは「元徴用工とは無関係だ」という発信を強めるようになった。
ただ、政府高官に実名を出さない条件で取材すれば、「無関係なんてことがあるわけない」という人しかいなかった。
◇苦戦を強いられる日本企業
当時の取材メモを見れば、政府高官は当初から「本当に輸出が止まったりすることはない」と語っていた。実際に日本政府は19年末までに3品目すべてで個別の輸出許可を出した。しかし韓国側としては、そんな不透明な楽観的予測をすることなどできなかった。日本からの輸入に依存することはリスク要因となり、日本依存からの脱却が急がれることになった。日本以外の国からの調達や国産素材への切り替え、外資の素材メーカー誘致といった対策が行われた。
20年5月20日の日経新聞(電子版)によると、規制強化の対象となったフッ化水素について、液晶世界最大手のLGディスプレイは日本製の超高純度品を韓国製の低純度品に置き換え始めた。日本からの輸入が止まるリスクを勘案し、もともと日本製を100倍に希釈していたのだから問題ないと判断したそうだ。サムスン電子も国産低純度品の使用を始めており、日本企業は苦戦を強いられているという。
その他にも、日本の半導体部材メーカーが韓国での現地生産を始める動きも日韓のメディアで報じられている。20年1月には総合化学メーカーの米デュポンが3品目の一つである「EUV用レジスト」の工場を韓国に建設すると発表した。
そもそも対象製品を使っていた韓国企業は世界有数の大手メーカーであり、こんな展開は最初から予想できたことだった。韓国政府も対象品目調達には「まったく支障が出ていない」と説明しており、WTO提訴再開に関する韓国政府の記者会見では韓国メディアから「打撃を受けた韓国企業があるのか?」「新型コロナで日本が大変な時期になぜ?」という戸惑い気味の質問まで出ていた。
◇日本の要求を丸のみした韓国
日本政府の高官には「徴用工問題さえなんとかなれば、輸出管理の問題なんか技術的なものなんだから粛々と解除していけばいいんだ」という人もいた。韓国政府の対応は結果的に、この点を突いた形となった。徴用工問題は放置する一方で、貿易管理に関する日本側の要求を丸のみしたのだ。
日本が問題視していたのは、(1)両国間の政策対話の断絶(2)通常兵器に転用可能な物資の輸出制限(キャッチオール規制)(3)輸出管理のための組織体制が不十分――という3点だった。(1)は対話を始めればクリアされたことにできる。そして(2)のキャッチオールについては、対外貿易法を3月に改正し、6月19日に施行する。(3)の組織体制は、5月6日付で担当課を局に格上げし、人員拡充を図った。
韓国側は日本との政策対話でこうした動きを説明した。日本側の発表資料によると、3月の政策対話では「韓国側における最近の進展を含めた、両国の法的基盤や体制の改善計画を歓迎する」考えが両国から示された。
韓国側によるとこの際、「規制撤回がすぐ無理なら、実現に向けた道筋を示してほしい」と求めたが、日本側から明確な返答は得られなかったという。
あらためて経済産業省に「韓国側の対応は不十分なのか。さらに取ってもらうべき措置があるのか」と聞いたところ、追加の要求があるわけではないという。ただ「実効性の問題を見ないといけない」そうだ。
一方で韓国側の言う「提訴再開」もブラフに近い。WTOの紛争処理小委員会はコロナ感染拡大を受けて休止中で、いつ再開されるか分からない状況だ。再開されたら1審に当たるパネル設置を要請することになるが、上訴審に当たる上級委員会は米国が欠員補充に反対を続けたことで機能停止状態にある。提訴したところで、結果までたどりつかないのが現状なのだ。
それだけに、なぜ今だったのかという疑問は残る。日本メディアの中には「日本の措置から1年となる7月1日まで待つと韓国内で批判されると恐れたのではないか」と書いている記事もあるが、本当にそうだろうか。韓国人記者から記者会見で「日本がコロナで大変な時期なのになぜ?」という疑問が出るように、今は「コロナ対応で大変な時だから」と言えば、批判もされないはずだ。青瓦台(大統領府)が「早く対応を」とせかしたようだが、その理由は分からないのである。【論説委員・澤田克己】
6/20(土) 19:30配信
クーリエ・ジャポン
突然の“手のひら返し”
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領。北朝鮮による南北共同連絡事務所の爆破後の対応が注目されるPhoto: Chung Sung-Jun / Getty Images
「南北融和ムード」に包まれていたはずの朝鮮半島が揺れている。
きっかけは、6月16日に北朝鮮が南北の軍事境界線に近い開城(ケソン)工業団地内にある南北共同連絡事務所を爆破したことだった。同事務所は2018年に4月におこなわれた南北首脳会談の後、両国の当局者が利用するために設立された。
「南北和解の象徴」と言われていたこの施設を爆破した理由を、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長は韓国の脱北者団体が体制批判をするビラを散布したからだと説明。
さらに与正は爆破後「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はアメリカにごまをすり、甘言で我々を不快にする厚かましい男だ。我々はこれ以上、卑劣で筋金入りの事大主義で、自滅に向かって突き進んでいるようなパートナーと北南協力について議論する気はない」と述べ、問題解解決のために使者を送るという韓国側の提案を「思慮浅く不吉な提案」としてはねのけた。
この突然の手のひら返しに対し、文大統領は「(金与正の対応は)的外れで、せっかくの会談の提案を無礼な言葉で台無しにした」と反論。
2018年から北朝鮮と非核化交渉を進める頼みの綱のアメリカは、国務省当局者が爆破同日に「これ以上の非生産的な行動を慎むよう、北朝鮮に求める」と述べたぐらいで、無関心を決め込んでいる。
なぜ、南北融和は失敗したのか?
2019年6月に板門店でおこなわれた南北米三者会合。左からトランプ米大統領、金正恩・朝鮮労働党委員長、文在寅・韓国大統領。「歴史的な会談」と言われたが、後に非核化交渉も南北の協力関係も膠着状態に陥ったPhoto: Handout / Dong-A Ilb…
両親が北朝鮮の生まれという出自もあり、文大統領は2017年に政権に就いてから南北融和を積極的に推進してきた。就任演説では「朝鮮半島の平和のためなら、どんなことでもする」と語ったほどだ。
北朝鮮側も当初はこの姿勢を歓迎。2018年9月に文大統領が北朝鮮を訪問した際には、大観衆で埋め尽くされた首都ピョンヤンの街をオープンカーでパレードさせるというVIP待遇でもてなした。
さらに文は韓国の指導者として初めて、北朝鮮市民に向けて朝鮮半島統一を訴えるスピーチを披露。大勢の市民がスタンディングオベーションで傾聴した。
では、こうした南北の蜜月はなぜ、一触即発の状態に転じたのだろう? 2018年6月にシンガポールでおこなわれた米朝初の首脳会談後に、その兆しはすでに見えていた。
2018年10月、韓国の外相・康京和(カン・ギョンファ)が南北融和のために北朝鮮に対する経済制裁を見直すつもりだと述べると、トランプはすぐさま「韓国政府が我々の許可なしに制裁の見直しをすることはない。彼らは我々の許可なしには何もできない」と発言。不快感をあらわにしたのだ。
ソウルにある国民大学校の北朝鮮研究者アンドレイ・ランコフ氏は、米紙「ワシントン・ポスト」の取材に対し、現在の南北米関係を次のように説明する。
「文大統領は米朝の板挟みになっているんです。彼は、トランプをイラつかせてたことで生じる損失なんて、北朝鮮との関係改善によって得られる利益と比べればたいしたことはないと考えているようですが、もっとうまくバランスをとる必要があります」
経済制裁の緩和をアメリカに止められた韓国は、代わりに人的・文化的交流をおこなうことを北朝鮮に提案した。だが、ランコフ氏によれば、それは北朝鮮が真に求めていたものではなかった。
「北朝鮮がほっしているのは財政支援です。しかしながら、文大統領はそれを彼らに与えることができませんでした」
文在寅はまだあきらめていない
翌2019年2月にハノイでおこなわれた米朝首脳会談で、3国の溝はさらに深まったと「ワシントン・ポスト」は指摘する。
この会談で米朝は北朝鮮の非核化の条件に関して合意できなかった。距離が縮まるどころか、両者の目指すところがいかにかけ離れているかが露呈する結果となり、トランプと金正恩の心に「仲介者」である文在寅への不信感が芽生えたという。
事務所の爆破後、北朝鮮は韓国との軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)を占領すると警告。これに対して韓国の国防省は「実際に行動に移せば、確実にその代償を払うことになる」と応じた。
一見、南北融和には強い逆風が吹いているように見えるが、前出の「ワシントン・ポスト」は、4月の総選挙で大勝して波に乗る文大統領はまだ当分、朝鮮半島統一の夢をあきらめないだろうと予測する。米朝という2つの難物に文が今後どう対峙するのか、その手腕が注目される。
Courrier Japon
【香港=藤本欣也】20日に閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会で、香港に導入する「香港国家安全維持法」案の初の審議が行われた。香港では市民の基本的人権に制限を加える同法への反発が強く、一部の労働組合や中高校生の団体は同日、ストライキや授業ボイコットに向けた投票を実施した。 【写真】香港で出回る“指名手配”写真入りトランプ 中国国営新華社通信によると、同法案は(1)国家分裂行為(2)政権転覆行為(3)テロ活動(4)海外勢力と結託して国家の安全に危害を加える行為-を禁止している。
香港で関心を集めているのが、5月28日の全人代で採択された「香港の国家安全法制」に関する決定との違いだ。同決定で(4)は「外国と海外勢力が香港の事務に干渉する活動」が禁止されていた。
香港メディアは、取り締まり対象から「外国と海外勢力」が外れた点に注目。香港政府に近い星島日報などは、米日欧など国際社会の反発を和らげるための方策との見方を伝えている。
これに対し同法案では、摘発の矛先が、海外勢力と結託する香港内の個人・組織に向けられた形で、市民の不安感をさらに増す結果となっている。
公務員を含む約30の新興労組の連合組織と、一部の中高校生の団体は20日、香港国家安全維持法に反対するためスト・授業ボイコットを実施するかの賛否を問う投票を行った。それぞれ賛成票が投票数の6割以上を占めるなどの条件を満たせば、ストやボイコットに向けた準備に着手する。
一方で9月の立法会(議会)選挙を前に、親中派からは、「国家安全法制の香港導入に反対する候補者は立候補資格を取り消すべきだ」(香港選出の譚耀宗・全人代常務委員)との声が上がっている。香港国家安全維持法をめぐり、立法会選で“踏み絵”を迫る動きが広がる可能性もある。
6/20(土) 6:01配信
ダイヤモンド・オンライン
Photo: Adobe Stock
単なる「優秀な部下」にとどまるか、「参謀」として認められるかーー。
これは、ビジネスパーソンのキャリアを大きく分けるポイントです。
では、トップが「参謀」として評価する基準は何なのか?
それを、世界No.1企業であるブリヂストン元CEOの荒川詔四氏にまとめていただいたのが、『参謀の思考法』(ダイヤモンド社)。
ご自身が40代で社長の「参謀役」を務め、アメリカ名門企業「ファイアストン」の買収という一大事業に深く関わったほか、タイ法人、ヨーロッパ法人、そして本社CEOとして参謀を求めた経験を踏まえた、超実践的な「参謀論」です。
本連載では、本書から抜粋しながら、「参謀」として認められ、キャリアを切り開くうえで、欠かすことのできない「考え方」「スタンス」をお伝えしてまいります。
【この記事の画像を見る】
● 「カバン持ち」は雑用ではない
「社長直属のスタッフになって、社長の“カバン持ち”なんて雑用をやっているのか。平社員と変わらないな」
かつて、秘書課長だった頃、口の悪い同僚からこんなふうにからかわれたことがあります。「カバン持ち」とは比喩ではありません。当時、私は、世界中を飛び回っている社長に常時随伴していましたが、実際に、社長のカバンをすべて背負っていましたから、文字通り「カバン持ち」だったのです。
ただし、私はそれを「雑用」だとは考えていませんでした。
社長は、「自分で持つ」と言いますが、「いや、ダメです。私が持ちます」となかば強引に「カバン持ち」をしていました。というのは、当時、ブリヂストンはアメリカの超名門企業「ファイアストン」を買収完了した直後で、PMI(経営統合)に向けて社長は日々、世界中に点在するファイアストンの事業所を視察しつつ、多数の重大な意思決定をする必要があったからです。
ファイアストンの買収金額は約3300億円。それは、当時、日本企業として最高額の外資系企業の買収でしたから、ブリヂストン社内はもとより、そのような巨額買収を経験した人物は国内にいません。すべて自らの頭で考えながら、手探りで一歩ずつ進んでいくほかない状態でした。
しかも、買収手続きは完了したとは言え、ここからが本当の勝負どころ。ファイアストンの買収とPMI(経営統合)に20年にわたって関わってきた経験から言っても、M&Aは、買収完了までが「2」とすると、そのあとのPMIが「8」。買収時の決断、作業もたいへんなものでしたが、買収後に、それをはるかに上回る、ものすごい量のきわめて困難な課題が次々に出て来るわけです。
● 社長が重要案件について、 「深い思考」を続ける環境をつくる
さらに、当時は、日本を不公正貿易国とする「スーパー301条」適用国にするなど、日米貿易摩擦の真っ只中。タイヤ業界は摩擦対象分野ではありませんでしたが、それでも、日本企業が、GEやフォードと並ぶアメリカの超名門企業だったファイアストンを買収することに、アメリカ国内では強い感情的な反発がありました。
実際、あるアメリカ企業のCEOから、「日本企業がアメリカの名門企業を買収したからといって、すぐに俺の会社と取引できると思うな」と暴言を吐かれたこともあります。それほど、社長の一挙手一投足に、細心の注意が求められる状況に置かれていたのです。
そのような状況のなか、万一、社長の意思決定にわずかでも誤りが生じれば影響は甚大。だから、社長には、日常のオフィスでも出張中でも、それこそ24時間365日、常時、些事に惑わされることなく、正しい意思決定に向けて深い思考を続けていただく必要があると、私は考えました。だからこそ、「カバン持ち」を買って出たのです。
出張の移動中も、社長には思考に全勢力を投入してほしい。しかし、大きな荷物を抱えていれば、それがストレスになって思考力は鈍ります。しかも、もしも出張先で、社長自ら重いカバンを持ったばかりに転んでケガをして、現地で2~3日入院……などということになったら一大事です。
また、飛行機の貨物室に預けると、荷物の待ち時間という「無駄」が生じます。そこで、当時は、まだ機内への荷物持ち込みの規制が緩かったこともあり、私が、社長の荷物と自分の荷物を機内に持ち込んでいました。二人分の荷物ですから、「カバン持ち」というよりも、「カバン背負い」のような格好だったと思います。
● 秀吉はなぜ、 信長の「草履」を温めたのか?
「カバン持ち」とは、蔑視を含んだ表現です。
実用日本語表現辞典にも、「上司の鞄を持って随伴する人、転じて上役にいつも付き従っている人を指す蔑視を含んだ表現」と書かれています。しかし、単に「上役に付き従っている」だけの人であるかどうかは、その人の内面にあるモチベーションによって判断すべきことであり、私は、上役を「機能」させるためには、「カバン持ち」も厭わない人でなければ、参謀にはなれないと考えています。
あの豊臣秀吉もそうです。
豊臣秀吉の出世にまつわるエピソードに、「織田信長の草履を懐で温めていた」という話があります。
秀吉は十代の頃、雑用係として信長に仕えていましたが、その主な仕事は草履取り(主人の草履を常に持ち歩き、外出の際、主人の足元にさっと出す役割)だったそうです。ある寒い日のこと、外出しようとする信長の足元にさっと出てきた草履が生温かい。怪訝に思った信長が「さては草履を尻に敷いておったな」と秀吉を問い詰めると、秀吉は答えます。「殿のお足が冷えぬようにと、懐で温めておりました」。
この秀吉の行動に信長は感激し、以後、秀吉は信長の信頼を得るようになったという話です。
真偽はさておき、この話は、「人たらしの秀吉」が、「信長のご機嫌を取り、出世への足がかりをつかんだエピソード」として語られますが、私の見方は少し違います。
数々の歴史書を私なりに読み解けば、信長はかなり合理的な人物。そんな信長が、単なる「ご機嫌取り」にほだされたとは考えにくい。また、のちに天下人となる秀吉も、単なる「ご機嫌取り」に終始するような人物であろうはずもなく、外の寒さによって信長の思考が鈍ったり、行動のスピードが落ちるリスクを回避するために、草履を温めていたと考えるほうが自然ではないかと思うのです。
つまり、秀吉は、信長を「殿」として最大限に機能させようとしていた。周囲の人間は、秀吉の行動を「ご機嫌取り」として見たかもしれませんが、合理的な信長は、彼らとは違って、秀吉の「知性」を見抜き、参謀として重用するようになっていったのではないでしょうか?
● 社長に「無駄なエネルギー」を使わせない
私は、そういう考えでいましたから、物理的にもかなり重い「カバン持ち」は、肉体的には少々つらかったですが、精神的にはまったく苦ではありませんでした。
上司という「機関」を最大限に機能させることが、自分の任務だと考えていたからです。むしろ、秘書課長としてのあらゆる仕事は、一貫して「カバン持ち」と同じモチベーションに基づいて行ったと自負しています。
当時、会社の命運を分ける一大プロジェクトの渦中にありましたから、社長の意思決定のスピードと精度を最大限に高める必要がありました。そのためには、社長が些事に頭を使うことを最小限にとどめ、重大事項にのみ集中してもらわなければなりません。
だからこそ、私は、日々、社内から上がってくる起案書のすべてに目を通し、通常の案件については、社長が即座に意思決定できるように、情報の不備を補うほか、私なりに対応策とその根拠を伝えるように徹底しました。その提案に説得力があれば、社長は「それでいい」と即座に意思決定ができます。できるだけ、通常の案件で、社長のエネルギーを使わせないようにしたわけです。
あるいは、重要な案件について、社長がなんらかの意思決定をしたときには、その先に起こることを「先読み」して、取締役会の開催、関係役員とのミーティング、社内への告知文の作成などを社長に提案。こうした環境整備を私が率先して提案することで、社長には、その意思決定の、さらに「その先」の意思決定に向けて思考を集中してもらうことができます。
● 格好いい仕事をする前に、 一流の「カバン持ち」になれ
さらに、重要な意思決定は、ときに社内に軋轢をもたらすことがありますが、その軋轢を最小化できるように、私が、関係各所を駆け回って、丁寧にコミュニケーションをとることで理解をとりつけていくことも重要です。
もしも、反発が表面化すれば、社長自らが多大なエネルギーを使って対処する必要がありますが、それは、社長の対外的な意思決定に向ける思考力を大幅に削ぐ結果を招くからです。
逆に、私に任せておけば、社内の反発を最小限に抑えることができると、社長に安心してもらうことが重要。その安心感があれば、社長はいったん下した意思決定について思い煩うことなく、次のテーマに集中しやすくなるからです。
このように、秘書課長だった私は、社長が重要な意思決定に全精力を投入できるようにすることで、社長という「機関」が最大限に機能することをめざしました。そのためにやったことはさまざまですが、どれも、根本にあるのは、出張時に社長の「カバン持ち」をしたのと同じモチベーションなのです。
参謀は、上司に対して戦略的なアドバイスをするようなイメージを持つ人が多いと思いますが、それは、参謀に求められる仕事の一部に過ぎないと言えます。それ以前に、上司を「機関」として機能させるために、「カバン持ち」の精神で仕事に向き合うスタンスを徹底しなければ、参謀としての信頼を得ることは難しいでしょう。格好いい仕事をしようとする前に、「カバン持ち」ができるようにならなければ、参謀として認めてはもらえないのです。
ただ、私が、「カバン持ち」で思わぬ失敗をしたことも、正直に白状しておかなければなりません。
あれは、社長に随伴したシカゴ出張でのことです。空港に到着すると、私は例によって、社長の荷物をすべて持ちました。ところが、社長が、税関で煩わしいチェックを受ける手間が省けるはずだったのですが、これが完全に裏目に出てしまいました。手ぶらで入国しようとする社長を「かえって怪しい」と睨んだ税関の職員は、社長を別室に連行して、執拗に尋問をしたのです。
社長に無駄な時間を使わせたうえに、尋問というストレスまで与えてしまったわけで、参謀としては大失敗。別室から出てきた社長に、詫びを伝えようと近づくと、こう言われました。
「まいったよ。ビジネス・ミーティングでシカゴに来たと言ったんだけど、『なんでお前は着替えも持っていないんだ? おかしいだろう』とさんざん責められた。これからは手荷物のひとつくらいは持っていないとダメだな」
そして、愉快そうにカラカラと笑いました。その社長の笑顔を、今もよく覚えています。実に懐かしい笑い話です。
【連載バックナンバー】
第1回 https://diamond.jp/articles/-/238450
第2回 https://diamond.jp/articles/-/238449
第3回 https://diamond.jp/articles/-/238448
第4回 https://diamond.jp/articles/-/238447
第5回 https://diamond.jp/articles/-/238446
荒川詔四
6/20(土) 20:07配信
AERA dot.
逮捕された河井案里容疑者(C)朝日新聞社
前法相が妻の選挙で勝つために現ナマを配り歩いたという前代未聞の容疑での逮捕劇だった。
【写真】検察が捜査で利用したスマホアプリとは?
昨年7月の参院選で広島県議、市議、地元の首長、後援者らにカネをばらまき、公職選挙法違反(買収)容疑で東京地検に逮捕された前法相で衆院議員の河井克行容疑者と参院議員の河井案里容疑者。
「河井容疑者夫妻から押収したリストから、現金のばらまき先を丹念の捜査。その裏付けがとれたところで、大半のカネのばらまきについて、被疑事実とした。克行容疑者は案里容疑者が当選後にお礼、成功報酬だと、カネをばらまいた、事後買収の疑いがあることもわかった」(捜査関係者)
両容疑者は合計94人、計2700万円を121回にわけてばらまいたという。
克行容疑者が法相に就任したのは去年9月11日。その1か月前まで論功行賞とばかりに、カネをばらまき、事後買収をしていたというから驚きだ。
今回、検察がカネのばらまきの裏取りに大きな役割を果たしたのがスマートフォンのアプリGoogleマップだった。検察側は、アプリの履歴情報に着目した。
今年3月に河井容疑者夫妻から事情聴取した際に、2人のスマートフォンをも任意提出させた。そこからアプリの履歴情報を抽出。2人の行動が明らかになった。事情聴取された自民党の広島市議はこう証言する。
「3月下旬に広島地検だと連絡があって、事情聴取された。スマートフォンの提出も求められて、検察に渡した。聴取された時、『去年の5月〇日の何時何分に広島市内のどこどこにいて克行容疑者にあってないか』と検事に聞かれた。手帳を見たら、確かに克行容疑者と一緒になったことがある日だった。『よくわかりますね』と言うと、検事はアプリの履歴から、2人の位置情報が一致したと説明した。アプリで克行容疑者から『もらっても困らないでしょう』などと言われて、カネを押し付けられた日が特定された。履歴を辿ると一緒にいたのは5分間もなかった。そこまで検察はよう調べとった。びっくりした」
その一方でGoogleマップで潔白が証明された人もいた。ある広島県議は検察から事情聴取され、「克行容疑者から30万円もらっとるはずだ」「克行容疑者と案里容疑者はリストを作ってカネをばらまいた。そこに名前がある」と何度も詰め寄られた。県議も事情聴取の時、スマートフォンを任意提出した。
検察はGoogleマップのアプリの履歴から、克行容疑者と県議が接触しているか、否かを調べていたという。
「県議は広島市内に向かい、克行容疑者は広島市内から田舎の方に向いて走っているような履歴になっていた。履歴が重なったのは、道路上でお互いが逆方向ですれ違っているだけ。スパイ映画じゃあるまいし、さすがにこれでは金銭の授受はできないとなった」(前出の広島県議)
今まで検察ではあまり利用されなかったスマートフォンの位置履歴を利用した画期的な捜査が行われた結果、前法相逮捕という前代未聞の事件の突破口が開かれたのだ。元東京地検特捜部出身の弁護士がこう解説する。
「近年スマートフォンが非常に便利になったことで得られるデータが捜査にも使えると判断したのでしょう。Googleマップの位置情報は正確性が高いことで知られていますからね。位置情報に河井容疑者夫妻のばらまきリストを重ね合わせると、より客観性が増したということでしょう。ただ、スマートフォンを持っていない人には使えない弱点がある。スマホ頼みの捜査だけでは難しい」
案里容疑者は週刊文春のインタビューで3月3日に東京のホテルにいるところを家宅捜索された際に<スマホが持っていかれていましたけどね>と語っている。
「河井容疑者夫妻のスマートフォンを任意提出してもらったとき、SNSの一部など履歴を削除していた。だが、Googleマップの履歴は残ったままで捜査には影響しなかった。削除されていれば、捜査はもっと難航したかもしれません」(前出の捜査関係者)
スマホが大きな明暗を分けたのだ。自民党のベテラン議員はこう苦笑する。
「ワシはガラケーしか使えんから大丈夫だ。河井容疑者夫妻のスマホの話を聞いて、急にガラケーに変えようとして携帯電話ショップに行った議員もいるよ。身に覚えがある連中がいるのかな。やはり、前法相が夫婦で逮捕というのは重い。世論調査で支持率も急落だろう。1億5千万円の捜査次第では、安倍政権は終了するかもしれない」
(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事
発表によると、男は住居不定、無職青島知紀容疑者(45)。同署3階の取調室で昼食を食べていた午後1時頃、逃走した。県警は周辺を捜索し、同署近くの甲府市役所1階の男子トイレで、青島容疑者を発見した。
同署の岩柳治人署長は「ご迷惑をおかけして、誠に申し訳ない。再発防止を徹底する」とのコメントを出した。
2年3カ月ぶり2度目の師弟対決で、確かな成長ぶりを注目の舞台で師匠に直接見せた。前回対戦時は六段だった藤井七段だが、この間にトップクラスの棋士との対局も数多く経験。今月、ヒューリック杯棋聖戦で史上最年少でのタイトル挑戦記録も樹立した実力を、ここでも発揮した。
気合の和服姿で登場した杉本八段との一局は、先手の藤井七段が居飛車、後手の杉本八段が四間飛車の対抗形になったが、対局開始から11時間が経過した午後9時に入っても本格的な戦いが始まらない、非常にじっくりした展開に。それでも小さなリードを維持しながら中盤に入ると、一気にギアを入れて持ち前の鋭い手を連発。あっという間に引き離す快勝で、2度目となる“恩返し”を果たした。
竜王戦と言えば、藤井七段にとっても思い出の場。加藤一二三九段(77)とのデビュー戦、史上最多の29連勝、最年少での七段昇段など、節目となる機会が多い場所でもある。今年は新記録の樹立とともに、竜王への挑戦にも例年以上に期待がかかる。
対局後は師弟対決について「大きな舞台で対戦できるのを楽しみしていました」と語ると、杉本八段も和服について「竜王戦ランキング戦決勝ということと、相手が藤井七段ということで、私にとってはタイトル戦に近い感覚で指していました」と思いを打ち明けていた。
8つあるタイトル戦のうち、最高額を誇る竜王のタイトル。例年と同様であれば、3組優勝者は本戦で3連勝すれば挑戦者決定三番勝負にたどり着く。既にタイトルホルダーにふさわしい実力、成績を残している藤井七段が、最高峰の竜王位に向けてまた一歩、力強く前進した。
藤井七段の今後のスケジュールは、23日に王位戦挑戦者決定戦で永瀬拓矢二冠(27)、28日には棋聖戦五番勝負第2局で渡辺明棋聖(棋王、王将、36)と、重要な対局が続々と控えている。