解説
喜劇王チャールズ・チャップリンが監督・脚本・製作・作曲・主演を務め、老芸人と若きバレリーナの交流をつづった名作ドラマ。
チャップリンが自身の原点であるロンドンの大衆演劇を舞台に、老境に差し掛かった自らの心境を反映させて描いた集大成的作品。落ちぶれた老芸人カルヴェロは、人生に絶望して自殺を図ったバレエダンサーのテリーを助け、献身的に世話をする。カルヴェロに励まされ再び踊ることができるようになったテリーは、カルヴェロとの幸せな未来を夢見るが……。
無声映画時代のライバルであったチャップリンとバスター・キートンが初共演を果たした。「テリーのテーマ」など音楽も印象を残し、1973年・第45回アカデミー賞で作曲賞を受賞。
『ライムライト』(Limelight)は、1952年のアメリカ合衆国のコメディドラマ映画。チャールズ・チャップリン監督・製作・脚本・主演。上映時間137分。
チャップリンが長編映画で初めて素顔を出した作品で、同時にアメリカでの最後の作品となった。
タイトルのライムライトとは電球が普及する以前に舞台照明に用いられた照明器具で、名声の代名詞でもある。
ちなみにライバルのバスター・キートンとも本作で初めて共演している。これは、当時、キートンが経済的に困窮していることを伝え聞いたチャップリンが、何らかの助けになればと起用したと言われている。
なお、「チャップリンがキートンの出演場面を大幅にカットした」との話があるが、それはまったく事実ではなく、キートンに注目をさせたかった彼の伝記作家が冗談で語ったことである。
日本では1953年に公開。1973年にリバイバル上映された際のキャッチコピーは「美しきバレリーナに よせる心を秘めて 舞台に散った道化の恋… 名優の至芸と 愛の名曲でうたい上げる 感動のチャップリン・シンフォニー」。
Limelight / Terry's theme ライムライト / テリーのテーマ
ストーリー
イギリス一と言われた道化師のカルヴェロ。中年を過ぎてから、お酒を呑む日々を送っていた。
ある日カルヴェロは、テリーという美しいバレエの踊り子を助けた。テリーは姉が娼婦となって自分のレッスン代を払ってくれていたことを知ってから足がマヒしてしまった。すっかり失望して生きる気力を無くしていた彼女をカルヴェロは献身的に介抱し、もう一度バレエを踊らせる。
再び踊りはじめたテリーはダンサーの職を得、作曲家のネヴィルにも気に入られ新作バレエの第一ダンサーに抜擢される。一方のカルヴェロはカムバックに失敗し、逆にテリーに励まされる始末だった。
テリーに惚れ込んだネヴィルは彼女に愛を告白する。しかし彼女の想いはカルヴェロにあった。テリーはカルヴェロに結婚しようと言い出す。カルヴェロは年齢差や自らの境遇とテリーの順風満帆の現在を比べ、結婚話をばかげていると一蹴してしまう。カルヴェロは彼女の元を離れ辻音楽師へと落ちぶれてゆく。
カルヴェロと別れた後のテリーはヨーロッパ各地での興業でも絶賛される。その一方で第一次世界大戦が始まりネヴィルは出征してゆく。ロンドンに帰ったネヴィルはテリーを口説くが、彼女はまだカルヴェロのことが忘れられない。
ある日街角で偶然カルヴェロに再会したテリーは、もう一度彼を舞台に立たせるように手筈を調える。 再起の舞台で熱演するカルヴェロに観客は惜しみない拍手を送る。カルヴェロは熱演のあまり、予定よりも勢いよく舞台から転落。そのまま袖に運ばれる。転落した時に起こした心臓発作で残り僅かな時間を、鮮やかなライムライトの脚光を浴びて踊るテリーの姿を見ながら、カルヴェロは息を引取るのだった。
メインスタッフ[編集]
監督:チャールズ・チャップリン
製作:チャールズ・チャップリン
脚本:チャールズ・チャップリン
撮影:カール・ストラス
音楽:チャールズ・チャップリン
編曲[1]:チャールズ・チャップリン、ラリー・ラッセル(英語版)、レイ・ラッシュ(英語版)
助監督:ロバート・アルドリッチ
キャスト[編集]
カルヴェロ:チャールズ・チャップリン
テレーザ・アンブローズ(テリー):クレア・ブルーム
メリッサ・ヘイデン(英語版) ※劇中バレエのコロンビーヌの舞踊シーンにおいてクレア・ブルームに代わり踊った。
カルヴェロのパートナー:バスター・キートン
ネヴィル:シドニー・チャップリン
ポスタント:ナイジェル・ブルース
ボダリンク:ノーマン・ロイド
オルソップ夫人:マージョリー・ベネット
アルレッキーノを演じるバレエダンサー:アンドレ・エグレフスキー(英語版)
オープニング・シーンの少女:ジェラルディン・チャップリン
オープニング・シーンの少女:ジョセフィン・チャップリン(英語版)
オープニング・シーンの少年:マイケル・チャップリン(英語版)
テレーザの医師:ウィーラー・ドライデン
カルベロの医師:レオナルド・ムディエ(英語版)
ストリート・ミュージシャン:ロイヤル・アンダーウッド
ストリート・ミュージシャン:スナッブ・ポラード(英語版)
エドナ・パーヴァイアンスがバレエシーンの観客役でエキストラ出演しているという説があるが、撮影日誌などを調べたデイヴィッド・ロビンソン、大野裕之らは否定している。