アメリカの逆襲―宿命の対決に日本は勝てるか

2023年01月30日 23時41分06秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力
 
小室 直樹  (著)
 
小室 直樹は、日本の社会学者、評論家。
学位は法学博士。東京工業大学世界文明センター特任教授、現代政治研究所所長などを歴任。
 

内容(「BOOK」データベースより)

宿命のライバル、日米のたまさかの蜜月が過ぎようとしている。
安保条文の落とし穴、国連憲章にある“敵国条項”に気付いている日本人がどれだけいるだろうか。
資本主義化の道をたどる、中国、ソ連の広大な市場を制するのは日本だ、とアメリカが悟ったならば…。
巨大な人造国家アメリカの本質を徹底的に探る、気鋭の渾身作。
 
 
 
わたしは中学1年の時、この本を非常に面白く感じ一気に読破した記憶があるので、あの時の喜びを今一度と思いネットで注文し、約45年ぶりに再読しましたが、少々拍子抜けしたように感じたことが率直な感想です。 
何故かというと、大人になってから小室氏の著作をいくつか読んでいたのですが、それぞれの著書の主要な部分がこの本の中にすでに語られていたからです。
 ですから、各著書を再読しているような感じでやや退屈であったことわ意外なことでした。   
だからと言って小室氏の著書我つまらないと言うわけではりません。 氏の著書は面白く、刺激的で、意外性な論述がちりばめられ、わたしはこれからも氏の本を読み続けていくでしょう。 
 
 
 
この本が書かれた約30年前にソ連崩壊と衛星国の独立を言い当てている事、支那の近代化には日本の資本が無くては不可能である事、また、外国人労働者の受け入れについて言及している件はさすがと思わされる。
また日支の接近はアメリカの脅威となる(支那人の手による日本製品が世界を席巻)は予言の書を思わせる…
また、日本の外交音痴は平安朝に常備軍を無くし、遣唐使を廃止して外交を放棄、法律すら無いという世界にも例を見ない『平和国家』を作り上げ、その伝統が今も本質的には残っている。
これが日本人が外国人と大きく違うという喝破される点には大きくうなずかされる。
最終章だが「大東亜戦争はこうすれば勝てた」との件(くだり)の本質は国運を託して大和、武蔵を建造する事で他国戦艦を圧倒する性能を見せつけ「抜かずの政治カード」として外交の切り札とする『ヒトラー』的な発想のできる人材がいなかった事に尽きるのだと思う(日本の自存自衛の為の戦争であり、アメリカとの交戦になるのでは山本五十六あたりでは荷が重かったか)。
日本の自存自衛の戦争であるのに『戦争目的の不徹底』こそが敗因だった事、南京陥落を政治的利用できない外交音痴ぶりが敗因に油を注ぐ事になった事を著者は言いたいのだと思うが…
 
 
 

日米関係とは日中関係である。

この恐るべき言葉を理解しさえすれば、戦後日本とアメリカ、そして極東アジアの関係と

そこで惹起する諸事態に、すべて明確に説明がつく。

このことを理解したとき、私は戦慄した。小室直樹の恐るべき慧眼に。

まだそれは私の中で続いており、これからその衝撃に明確な言葉を当てはめてゆく。

みなさんもはやくその衝撃に撃たれんことをのぞむ。
 
 

発想方法が特異であることは確かである。
たとえが 実にやさしく 明解な時がある。
アメリカの生活が長いようだが、日本のマスコミについて、よく知っている。
中国の発展方向についての見方。近代化の推進。基礎投資を必要とする。
マルクスのいう 原始蓄積。中国における労働力は 豊富で安価
日本に対する見方。
単純労働が高く、技術労働と等価に近い。氷の上の乱舞に近い。
日本は一貫性がないことが 特徴だ。
奇跡を実証しようとするアメリカ的発想と
奇跡を信じるか信じないかと考える日本の発想。
さだめ。運命。掟に縛られる日本。
日本は 労働生産性が 意外と低い。それは、ねまわしと真面目さが障害なんでしょうね。
アメリカが つねに 前進し 労働生産性が上がっていくのが不思議なくらいだ。
   
 
 

小室直樹のことをまったく知らずに今日まで来たのだが、ついに気になる人物になった。
副島隆彦が気になりだしてその繋がりで。
研究社の英和辞典を貶めて、大修館の辞典を高からしめた人物としか知らなかったのだが、小室の教え子らしい。まずは小室からと手近なところで、古いが本書を手にして見た。
伝統的な識者の流れを汲むかのような漢語を多用した流麗な文体で読みやすかった。
「日本たたき」があった時代だったのか、アメリカと日本の文化を比較していて読み物として楽しめた。
75ページ「英国古典経済学の吹く笛におどらされて自由貿易にふみきった国ぐには、みんな国民経済の根底を破壊されて、英国の経済的植民地になってしまった。
たとえば、アイルランドやポルトガルがそのいい例だ。」
なんだかTPPの行く末を予言しているようだ。
とはいえ、アメリカの圧力の前に日本は従わざるを得ないのだ。それなら次はどうすればいいのか、これは副島さんたちから提言してもらうことになるのだろう。
105ページ「日韓関係における韓国人側の根本的民族感情とは何か。それは、文化に関しては、両者は師弟関係にあるという認識である。誤解してはならない。ここで師とは韓国人であり、弟子は日本人の側である。」
「明治にいたるまでは、日本人も韓国人も、かたくこのように思いこんでいたのである。」
文鮮明が「日本は韓国の妹であるから兄である韓国を支えなければならない(お金を貢がねばならない)」というようなことを語った文を読んだことがあるが、なるほどここからきていたのだ。
韓国は中国に歴史的にどんなに虐げられてきていても、それは厳父とみなしているために尊敬の念をいだいて忍耐できる。しかし格下である日本の、兄韓国への思い上がりや追越はけっして許してはおけない、という感情が働くというわけだ。
「信仰」の日米のあり方の違いは底なしに深いようだ。ちなみに日本が無宗教なのは、小室先生は指摘していなかったが、日本の文化の形成の基礎となった中国の合理主義、無宗教が影響しているのではないだろうか。
最後に「太平洋戦争はこうすれば勝てた」という章が付け加えられているが、ここにいたるまでの論調からすれば、本章は「日本が勝てなかった理由」ということだろう。
アメリカと日本はゾウとアリくらい違うのだから負けて当然、挑んだのは愚かなことだ、という一般常識を覆す論拠として、それならベトナムも北朝鮮も即刻降伏するはずなのにそうでないのはなぜかと、日本の戦略思考のお粗末さを指摘している。
ベトナムはすでにアメリカに勝利しているし、北朝鮮も何度もアメリカを翻弄している。
それなのに日本はアメリカのポチだ、属州と化している、とかいわれることがある。
その言動の底意には、それでいいのだ、といってような感じがある。従属するようになったのは、日本がアメリカに敗戦し平和憲法を押し付けられたからではなく、アメリカの巧妙な策略によって戦争をしなければならないように追い詰められた挙げ句に粉みじんに打ち砕かれ、わが身を思い知らされたからであるようだ。
小国は勁草たるべし。
米ロ中の狭間に生きる日本は、北朝鮮を反面教師としつつも等距離外交によって米ロ中への平和的逆襲も隠しカードとして模索しておいてもいいのではないだろうか。
 
 
 
ソ連崩壊をソ連全盛期に予測し原因から結果までほぼ完ぺきに予測した氏。その彼が日本のバブル期にも「このままだと日本崩壊の恐れ極めて高い。本書かねばならぬかも※ソ連崩壊と同系」と言っていた。
正に今、その通りに※当時はそうなるとは夢にも思わず。彼の著作は一通り読むべし。
 

 

 
 
 
 
 
 
 

大衆明治史(国民版): 再校正 GHQ焚書

2023年01月30日 22時51分38秒 | 社会・文化・政治・経済
大衆明治史(国民版): 再校正 GHQ焚書 (いざなみ文庫) by [菊池寛, いざなみ文庫]
 
菊池寛  (著), いざなみ文庫 (編集) 
 
【GHQ焚書第1巻】廃藩置県から明治の終焉までを、小説風にテンポよく楽しめる大衆のための明治史。
昭和17年出版。
戦後、GHQによって焚書されたことでも有名な書。

  目 次

廃藩置県
征韓論決裂
マリア・ルーズ号事件
西南戦争
十四年の政変
自由党と改進党
国軍の建設
憲法発布
大隈と条約改正
日清戦争前記
陸奥外交の功罪
三国干渉
川上操六と師団増設
北清事変
対露強硬論と七博士
日露開戦
児玉総参謀長
奉天会戦
日本海海戦
ポーツマス会議
明治の終焉
明治史年表
 
 
 
日英同盟は明治35年、1月30日(2002年)に締結されますが、当時の日本とイギリスの格を比べれば、同盟は日本にとって望外の事であったようです。
そして、伊藤博文は日露共商を目指しており、これを知ったイギリスが日本を是非イギリス側に取り込みたい、との思惑から日英同盟が成立しました。
その2年後に日露戦争です。この戦争で、日英同盟は日本に有利に働きました。
日露戦争に勝利したために日本は一躍世界の強国として認められるようになったのです。
この戦争は多大なる陸軍兵の死傷者、明石元二郎らの働き、日本海海戦の勝利、高橋是清の外債発行への獅子奮迅の働き、etc数々の偉人達と国民の努力の上に辛くも勝ち取った勝利でした。
そして、講和の仲介にあたった米国大統領セオドア・ルーズヴェルトは日本側に「図に乗って色々やると全世界の反感を買うことになるから、講和などに際してもなるべく謙虚にふるまうように、と注意を促したそうです。

日露戦争の勝利は世界の国々を驚愕させますが、同時に、以後日本は周囲各国から警戒の目で見られることになります。
 
米国では早くもこの数年後から日本を仮想敵国とする戦略が企画され、それが大東亜戦争につながるのですが、日露戦争後の日本は大東亜戦争までいささか気が緩んでいたのではないか、と(後出しじゃんけんではありますが)考えます。本書は全日本人の必読書です。
 
 

 
 
 
 

実は共働き家庭のほうが産んでいる統計データが語る「女性の社会進出こそが少子化の元凶」はなぜ真っ赤なウソか

2023年01月30日 22時40分14秒 | 社会・文化・政治・経済
 
天野 馨南子

ニッセイ基礎研究所 生活研究部 人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの・かなこ)

年間の出生数が80万人台に突入したというニュースは衝撃をもって受け止められました。
それでも、「出生数の問題については誤解が多い」とニッセイ基礎研究所で少子化問題を研究する天野馨南子さんは指摘。統計データをエビデンスに、今日本に必要な本当の少子化対策について考えます。

“少子化問題”には誤解が多い

出生数の減少、と聞くと「また女の責任話? 産む機械じゃないわよ!」と腹立たしく感じる女性、「ああ、女性が高学歴化して晩婚晩産しているからなあ」とつぶやく男性、はては「ダイバーシティの時代、LGBTも増えたし、結婚したくない人も激増したからね!」との声にうんうんと頷く人々が少なからず見受けられます。

しかし、これらはすべて、統計的なエビデンスを丁寧に読み解くならば「そうである」ということができない誤解の数々です。

98歳で亡くなった大正生まれ・戦争経験者である私の祖母がいつも言っていた口癖があります。

「日本はな、アメリカがB29で原爆落とせた時代に、私たち女に『竹やり部隊』で戦えだの、日本を敵に回したらアメリカのご婦人が憤慨するぞ、絹の美しい服が着れなくなるからな、だの言っていた。その頃、アメリカでは化繊が開発されとったのにな。敗戦して当たり前の国なんや」

エビデンスに基づかない、気合い・期待や思い込みでは事実は動きません。

今の日本人消滅へ一直線の出生数大激減の元凶も、祖母のいう「日本の敗戦理由」と全く同じと感じています。

「少子化は働く女性の問題」の思い込みはどこから来るか

私は出生率が1.5を恒常的に下回るという「超低出生率国」に日本が突入した元年(1995年)に新卒就職しています。25年前の当時の出生数対策といえば、「女性の両立支援=子育て支援」一本でした。

通称「育児休業法」が制定されたのが1991年ですので、女性が子どもをもちつつ働くことにようやく法整備が追い付いてきたばかりの頃でした。

91年から93年のバブル崩壊の前までは、金融機関ではお正月に一般職女性が振袖を着て出社し、総合職男性との結婚による事務女性の結婚退職は「寿退社」といって、女性の憧れのライフコースでもあった時代の最後の頃です。

実際、総合職で入社した同期女性も次々と結婚や妊娠を機に辞めていきました。

両立したい女性が、社内に自らのロールモデルとなる「子を持ち働き続ける先輩」を探すことは(専門職や教職を除き)サラリーマンでは困難でした。

当然、印象論で「少子化は働く女性の問題でしょう」という風潮が社会にあり、働くママの育児支援が謳われていました。しかし、国際的にみると、その国の女性の労働力率と出生率は1970年こそマイナス相関で「女性が働くから少子化」だったものの、1990年にはこの相関がなくなっていました。

女性が働く、働かない、ということが国同士で比較した場合の出生率上下の決定要因ではなくなっていたのです。

統計的には「女性が働くほど子どもが減るという関係性はない」ため、女性労働力率と出生率はむしろその国ごとのなんらかの事情が絡んで上下してくる、ということになります。

専業主婦世帯のほうが子なし家庭の割合が高い

では、日本は両者の関係にどのような傾向がみられるのでしょうか。

2015年の国勢調査結果を用いた分析結果をご紹介します。

まず、女性の労働と子どもの有無について比較します。専業主婦世帯と共働き世帯、それぞれ子どもがいない世帯割合についての分析結果が図表1になります。

意外に思われる人も多い結果かもしれませんが、専業主婦世帯の方が子どものいない世帯、子なし家庭の割合が高くなっています。

2ポイント差のこの図だけをもって「共働き世帯の方が子どもをもつんだ!」と断言まではしてはいけませんが、統計的にみて確実に言えることは、「専業主婦のご家庭の方が、子もち世帯が多いはず」
「共働き夫婦って、専業主婦家庭より子なしカップルが多そうだ」

などというのは全くの思い込み、統計的には立証できない事実誤認である、ということです。

 筆者にとっては予想通りに出生数が80万人台に突入し、メディアでも80万人台ショックが流布されている今、思い込みによる「出生数上昇したらいいな策」「上昇するんじゃないかな策」ではなく、出生数激減解消の壁となっている思い込みたちを打破する、「これをやらなければ出生数はあがらない策」をデータエビデンスとともにお伝えしていきたいと思い

「専業主婦より共働き主婦の方が産んでいる」という事実

次に、子どもがいるご家庭にしぼって、専業主婦世帯と共働き世帯それぞれ子どもの数を見てみましょう。

これも意外、と思う人が非常に多いデータの1つですが、専業主婦世帯で最も多いのは一人っ子家庭で、半数の2世帯に1世帯を占めています。一方、共働き世帯では2人きょうだい家庭が最も多くなります。
また、子ども3人以上の多子世帯も共働き世帯の方が高い割合となります。

つまり、以上の2データを総合して判断すると、専業主婦よりも共働き女性の方が子どもを多く持つ、という結論になります。

伝統的大企業では未だ専業主婦世帯が多いが……

上のようなデータを見ると「どうしてなんですか!?」とまるで専業主婦の方が子をもつには適しているはずなのに、といったご質問が出ます。特にエリートと呼ばれるような大企業の管理職の方たちからは驚きの声があがります。

研究所の実態調査では、伝統的大企業ではいまだに専業主婦世帯が多数派を占める企業が多いこともあり、これらの質問は「サンプル僕・私の会社」「サンプル自分の周囲では」を根拠として一般論を語る人が多いことから出てくる質問ではないかと思われます。

確かに、長時間労働体制や全国転勤制度を当然とするような企業では、外で働く夫のために家のことのほとんどを引き受ける専業主婦による家庭形成は、社員の現行労働体制存続・維持の大前提とさえなっています。

しかし、日本の夫婦のあり方としては、もはや専業主婦世帯はマイノリティとなっていることが次のデータからはわかります。

経営層、管理職は自らの時代感覚を捨てるべき

すでにいまから25年前の1995年には、非農林業世帯(いわゆる普通のサラリーマン世帯のイメージ)において専業主婦世帯と共働き世帯が半々になっていました。その後も共働き世帯が着実に割合を伸ばし、2018年には専業主婦世帯33%、共働き世帯67%となっています。

しかし、40年前の1980年でみると、いまとは全く逆の世帯構造だったことがわかります。

そのために80年から90年ごろに結婚した夫婦(子どもが30歳から40歳程度の50代半ばから70代の夫婦)は当時の時代感から子どもを持つには「専業主婦の家庭が当たり前」という感覚がぬぐい切れないのかもしれません。

日本の現状を考えるならば、自らの時代感覚は捨て去り、「夫婦そろって働きつつ子どもを持つ家庭が統計的には当たり前の社会となった」ということを、まずは企業の経営者、管理職層は、出生数減少を食い止めたいのであれば、経営課題の柱として理解しなければならないといえます。

“少子化促進企業”を可能な限り減らす

今回ご紹介したデータからは、企業における女性活躍や子育て支援という言葉さえももはや古臭い、ともに育てながら働き続けるという当たり前のことを前提に企業経営を行うだけの時代になっていることがわかると思います。

専業主婦世帯が主流だったころこそ、女性が社会で働くことや共働き家庭があることへの配慮は

「社会に出る女性も応援してあげなくては」
「専業主婦世帯はいいけれど、奥さんが働いているところは奥さんを楽にしてあげなければ」

という感覚で、マイノリティへの思いやりであるかのようにとらえられていたかもしれません。

しかし、今や「統計的には当たり前のことをしないなら、子どもは増えない、それだけだ」ということがわかります。

今回ご紹介したデータをエビデンスとして「これをやらなければ出生数はあがらない策」を導くとするならば、まずは「専業主婦に男性社員の家族形成を頼らねば存続ままならない」、そんな男性の働かせ方が残っている企業は“少子化促進企業”であるため、可能な限り減らさなければならない、ということになります。たとえば前述したような未だに専業主婦世帯が多数派という伝統的な労働体制の企業がこれにあたります。長時間労働や全国転勤制度が当たり前になっていることを見直し、専業主婦による社員の家族形成支援に依存しない経営への転換が必要でしょう。

少子化は働く女性の問題でもなく、女性の高学歴化の問題でもない。

「少子化促進企業」を減らすこと、つまり男性のライフデザイン改革こそ、日本が今すぐに手をつけるべき課題なのです。

 


少子化の原因の背景 内閣府

2023年01月30日 22時34分18秒 | 社会・文化・政治・経済

1 仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや高学歴化

(働く女性の増大)

 晩婚化や未婚化の背景として論じられることが多い女性の社会進出、すなわち働く女性の増大について考えてみよう。
 日本では女性の年齢別労働力率(人口に対する労働力人口の割合)がいわゆるM字型カーブを描くことが特徴的である。
1960年代から70年代まで、女性の平均初婚年齢は24歳前後で安定していた。20代前半に就業後、25~34歳の年齢層になると、結婚や出産、子育て等のために離職し、40代からまた働く人たちが増加するという行動が顕著にみられた。
これを年齢階級別の労働力率でみると、20代前半に70%前後になった後、20代後半から30代前半にかけて40~50%台にまで低下し、40代には60%程度に回復するというM字型のカーブを形作っていた。
 しかし、80年代以降、20代後半から30代の女性の労働力率は徐々に上昇していった。
また、サービス経済化の進展や女性の職業意識の高まり等により女性雇用者が増加したことや、国際婦人年以来の男女平等を求める国際的な流れ等を背景に、女性の就労環境の整備の機運が高まり、1985(昭和60)年には男女雇用機会均等法が制定された。
 年齢階級別に女性の労働力率をみると、1990(平成2)年頃から25~29歳の年齢層の労働力率の上昇が大きくなり、2002(平成14)年では、20代前半と20代後半が逆転し、20代後半の労働力率が20代前半を上回った。
 M字型カーブの一番の谷間も、25~29歳層から30~34歳層に移行するとともに、労働力率は上昇している。
育児は女性が主として担っている現状において、働く女性が増大する一方で、仕事と育児の両立を支える環境が整わないことや、機会費用(結婚や子育てにより失うことになる利益)の上昇等から、女性の結婚年齢や出産年齢が高くなる現象(晩婚化や晩産化)が生じ、出生率に影響を与えてきたと推測できる。
 このように、1980年代から働く女性の増大、特に若い世代の女性の労働力率が上昇する一方で、20代の女性の未婚率の上昇や出生率の低下が続いてきたことについては、様々な理由が考えられる。
90年代前半では、家庭よりも職場を優先させることを求める固定的な雇用慣行や、それを支える企業風土の存在、固定的な男女の役割分業意識あるいは保育サービスの整備の不十分さなどが、大きな要因であると考えられた。
そこで、第5章で説明するとおり、90年代半ばにエンゼルプランの策定等により、保育サービスの拡充や育児休業制度の充実など、仕事と育児の両立を図るための施策が推進されて、現在に至っている。
 今日、女性の就業と出生率との関係をみると、上述した状況に加え、育児休業制度はできても現実には取得しづらい職場環境、住居や職場近くの保育施設の整備状況、育児や家事に対する夫の協力の状況、親との同居の有無、職場への通勤距離など、様々な要因が影響しているものと考えられる。
 
第1‐2‐11図 年齢階級別女性の労働力率の推移
 

 

(出産・育児と仕事の両立)

 育児は女性が主として担うことが多い現状において、働く女性にとって、出産・育児と仕事との両立は大きな課題である。
厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」3の調査結果によると、初めて子どもを出産した母親の場合、出産1年前に仕事を持っていた人(有職者)のうち67%が、出産半年後は無職となっている(2001(平成13)年度結果)。
また、常勤であった人が、離職して出産1年半後に有職となった場合でも、約6割はパート、アルバイトとなっており(2002(平成14)年度結果)、育児と仕事の両立の困難性を表わしている。

3 厚生労働省が、全国の2001(平成13)年に出生した約5万人の子を対象とし、その親に対して、2002(平成14)年から毎年継続的に調査を実施しているもの。
第1‐2‐12図 初めて子どもを出産した母の出産前後の就業状況の変化
 

 結婚前就業していた妻について、現在の就業状態と子どもの有無との関係を調べた国立社会保障・人口問題研究所「第12回出生動向基本調査」(2002年)によれば、結婚0~4年では就業している妻が43.5%、いわゆる専業主婦が56.5%いるが、子を持ちながら就業する妻は全体の16.8%である。
また、就業者に占める子を持つ割合は38.7%であり、専業主婦の子を持つ割合の74.2%に比べて低く、出産に際して就業を継続せず専業主婦となる就業者が多いことをうかがわせる。
 こうした「出産・育児」か「仕事」かという二者択一の状況が、女性の自立やキャリア形成の障害、子育て世帯の収入低下、ひいては結婚に対する消極的な姿勢の原因となっていることは否めない。
働く女性の増大を踏まえ、「出産・育児」と「仕事」の両立が可能となるように、子育て期において育児や仕事の負担の軽減を図るため、保育所や放課後児童クラブの拡充等の保育支援、育児休業の取得促進、勤務時間の短縮、出産等を理由とした退職後の再就職の促進等の雇用のシステムをつくりあげていく必要がある。
 なお、「第12回出生動向基本調査」によれば、結婚持続期間が長くなると、再就業する妻の割合が増加し、結婚後10~14年では子を持つ就業者が全体の54.4%と、子を持つ専業主婦の40.2%を上回る。
また、1歳以上の子どもを持つ夫婦について、平均子ども出生数をみると、結婚後15~19年の夫婦では、「就業継続型」(結婚前に就業し、子どもを出産後も就業を継続)の場合には2.33人、「再就職型」(結婚前に就業し、第1子出産後は無職となったがその後就職)の場合には2.34人、「専業主婦型」(結婚前は就業していたが、子どもを出産後は無職)の場合には2.28人と、ほとんど差がない。
 また、北海道、東北等の地方ブロック別に、25~34歳の既婚女性の労働力率と、その地域の合計特殊出生率との関係をみると、労働力率の高い地域ほど、出生率が高いという関係がみられる。
職業構成の相違の比較などさらに分析が必要であるが、働く女性の増大が直ちに出生力の低下をもたらすわけではない。
第1‐2‐13図 結婚持続期間別にみた、妻の就業状態及び子どもの有無の構成
 

 

(高学歴化)

 女性における大学等高等教育機関への進学率についてみると、最近では横ばい状態であるが、1960年代から90年代にかけては一貫して上昇してきた。とりわけ4年制大学への進学率の上昇が著しく、90年代後半には短期大学の進学率を上回った。
2003(平成15)年度では、4年制大学への進学率が34.4%、短期大学への進学率は13.9%となっている。
 男性の場合には、女性よりも早く高学歴化が進み、既に1980(昭和55)年度において4年制大学への進学率が39.3%となっていた。その後、幾分増減があったが、2003年度には47.8%となった。
 女性の最終学歴別未婚率を年齢階級別に比較すると、いずれの年齢階級でも、高学歴の女性ほどおおむね未婚率は高くなっている。
とりわけ、20代でその差が顕著であり、国勢調査(2000(平成12)年)によると、25~29歳層では、高等学校卒の女性の未婚率が45.1%であるのに対して、短大・高専卒では56.5%、大学・大学院卒では69.3%となっている。
ただし、生涯未婚率(50歳時点での未婚率)についてみると、50~54歳層では、高等学校卒の女性の未婚率が4.5%であるのに対して、短大・高専卒では6.3%、大学・大学院卒では8.7%となっている。
 こうしたことから、男女双方の高学歴化の進展が晩婚化、すなわち結婚年齢を高める方向で作用したと考えられる。
 なお、最終学歴からみた完結出生児数(結婚持続期間が15~19年の夫婦の子ども数)について、国立社会保障・人口問題研究所「第12回出生動向基本調査」(2002(平成14)年)によれば、妻が高等学校卒の場合では2.29人、短大・高専卒では2.18人、大学卒(大学院卒を含む)では2.09人と、学歴が上るにしたがい若干の低下傾向がみられる。

特殊詐欺事件の被害額が少なくとも35億円 被害者は約2300人

2023年01月30日 14時41分37秒 | 事件・事故

特殊詐欺と連続強盗の組織構造

首領役→司令塔→総括役

指示役→募集役→情報入手役→管理役→実行役

管理役=携帯電話「支持役に提供」「銀行口座」を管理

警視庁が特殊詐欺事件に絡む逮捕状を取り、フィリピン当局に引き渡しを求めている日本人4人が明らかになった。

窃盗などの疑いで逮捕状が出ているのは渡辺優樹容疑者(38)、今村磨人容疑者(38)、藤田聖也容疑者(38)、小島智信容疑者(45)の4人。

 

 


「センス・オブ・ワンダー」 「神秘さや不思議さに目を見はる感性」

2023年01月30日 13時15分10秒 | 新聞を読もう

▼若さとは生命力から湧くものだ。

▼言葉は実に大事業である―トルストイ

▼現代人の多くが自覚がない睡眠不足になっている。

▼感謝の心を文に書くと幸福感が上昇する。

多くの人に支えられて今の自分がある。

恩を忘れずに。

▼「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない。

「センス・オブ・ワンダー」

センス・オブ・ワンダー

レイチェル・L. カーソン (著), 2 more

 

商品説明

   化学薬品による環境汚染にいち早く警鐘を鳴らした書として、いまも多くの人々に読み継がれている名著がある。
その著者レイチェル・カーソンの遺作として、彼女の友人たちによって出版されたのが本書である。

   本書で描かれているのは、レイチェルが毎年、夏の数か月を過ごしたメーン州の海岸と森である。

その美しい海岸と森を、彼女は彼女の姪の息子である幼いロジャーと探索し、雨を吸い込んだ地衣類の感触を楽しみ、星空を眺め、鳥の声や風の音に耳をすませた。その情景とそれら自然にふれたロジャーの反応を、詩情豊かな筆致でつづっている。

鳥の渡りや潮の満ち干、春を待つ固いつぼみが持つ美と神秘、そして、自然が繰り返すリフレインが、いかに私たちを癒してくれるのかを、レイチェルは静かにやさしく語りかけている。

   そして、レイチェルが最も伝えたかったのは、すべての子どもが生まれながらに持っている「センス・オブ・ワンダー」、つまり「神秘さや不思議さに目を見はる感性」を、いつまでも失わないでほしいという願いだった。

そのために必要なことは、「わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる」ことだという。本文中に挿入されているメーン州の海辺、森、植物などをとらえた写真も美しい。『沈黙の春』と同様、読者の魂を揺さぶらずにはおかない1冊である。(清水英孝)

 

内容(「BOOK」データベースより)

子どもたちへの一番大切な贈りもの。美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見はる感性「センス・オブ・ワンダー」を育むために、子どもと一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせる。

内容(「MARC」データベースより)

嵐の夜の海の荒々しい興奮、夏の森の散歩で出会う岩やシダ、花やコケの親しさ、潮に濡れて貝がらを拾う楽しさ。子どもと一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせる…カーソン最後のメッセージ。佑学社91年刊の再刊。
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 

善知識

2023年01月30日 12時41分31秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▼善知識(ぜんちしき)は、「善き友」「真の友人」、仏法の正しい道理を教え、利益を与えて導いてくれる人を指していう。

「共に」という心と行動のなかに、団結の意味がある。

共に学ぶ。共に語る。共に行動する。人と人の強い絆。

自分一人では限界がある。

共に手を携えて地域のために汗を流すのだ。

▼「励まし」「絆」そして「触発」。

「インプットした後にアウトプットできる会合」を企画し、運営する。

インプットは学び、アウトプットは対談・ディスカッションである。

▼読書する機会を設けてから、感想や決意を発表する。

皆が生き生きと活躍できる場所を創出する。

 


信心とは、内在する<自分の無限の可能性>の異名

2023年01月30日 11時50分06秒 | 未来予測研究会の掲示板

▼学は人格と勝利と人々を幸福にするためにある。

▼忍耐という大地の上にこそ、勝利の花は咲き誇る。

北の大地には<厳しい冬>にしかない輝きがある。

<忍耐の炎>を燃やす人の姿には、苦難と戦う人にしかない強さと美しさと光がある。

▼一番苦労した人が、一番、幸福になるべきである。

▼いかに「もうダメだ!」と思うような苦境に直面しても、本来、「生き抜く力」「難を乗り越える力」が生命の大地に厳然とある。

その無限の偉大な力を蘇らせるのが、信心なのである。

信心とは、内在する<自分の無限の可能性>の異名。

あくまでも、<神頼み>とは次元が異なる。

 


「目的は明確に」

2023年01月30日 11時20分52秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▼民衆を目的でなく手段にする権力に未来はない―ユゴー

▼国の基礎は権力者でなく民衆であり、国の安穏こそ「民衆の幸福」にほかならない。

▼頂上を登攀するのに楽な道などない―ヘレン・ケラー

▼人生の師を持つことだ。

子弟共戦で小さな自分の殻を破ることができる。

▼「目的は明確に」

目標が漠然としていて、誰もが<自分の挑戦の課題>として受け止めることができない。

▼真剣な願い、必死の姿が、飛躍の力となる。

▼政治に求められているのは<何を言ったか>ではなく<何をしたか>である。

政治に期待されるのは実行・実現する力だ。

 


人間の荒廃

2023年01月30日 10時34分18秒 | 沼田利根の言いたい放題

いかなる時代にあっても、教育の荒廃が単独で起きることはない。

学力低下、非行、教員資質の低下など、どの事象をとっても、それは社会の根底に深く根ざしている。


人心が低下しているのは子どもや教師達だけでなく、政治家も官僚も、学者たちも同様と考えられる。

例えば「いじめ」は、人心の荒廃の最たるもの。

人心の荒廃は、教育の場で最も劇的に表れたに過ぎない。

援助交際から、今はパパ活へ!

いわゆる女の子たちには<金>がすべてに優先するものなのだ。

特殊詐欺から連続強盗へ

それにしても、フィリピンの入館施設の荒廃には言葉を失うばかりだ。

金(ワイロ)が人心を荒廃させているのだ。

絶対に<人心の荒廃>を撲滅するほかない。

 

 


社会の荒廃

2023年01月30日 10時26分54秒 | 新聞を読もう

「今だけ、金だけ、自分だけ」という「三だけ主義」と鈴木宣弘東大教授が喝破した。

今だけよければいい、金だけが大事だ、自分だけ良ければいい、というものである。

東京大学大学院教授、専門は農業経済学。

東大農学部卒業後、農林水産省に入省)

生まれは三重県の半農半漁の家の一人息子。

田植え、稲刈り、海苔摘み、アコヤ貝の掃除、うなぎのシラス獲りなどを手伝い育つ。

安全な食料を生産し、流通し、消費する人達が支え合い、子や孫の健康で豊かな未来を守りたい。