夫の高島啓介の事件の被害者・津田まどかさん(仮名)は18歳となり、元暴走族で新宿を拠点とする暴力団の組員の男と同棲していた。
その彼氏に唆され、祖母のいわゆるタンス貯金800万円を盗んで、家から勘当されていた。
このために、春川直人弁護士の被害者側である親(保護者)との示談交渉が暗礁に乗り上げてしまったの。
「あんな娘とは今後、一切、関わりたくありません」と母親は示談交渉をはねつけたそうなの。
夫はホテルでの性交渉の後に、まどかさんから「1万円よ」と請求されたのに、それを無視したのね。
それで、腹を立てたまどかさんが、夫のスポーツカーの番号を覚えていて、新宿警察に被害届を出していた。
如何にも、せこい夫!
1万円さえ出していたら、こんなことにはならなかったはず。
結局、私は臨月となり、実家へ戻り向ヶ丘の産婦人科病院で男児を産んだの。
兄である長男の良一は「バカな妹をもったもんだ」と呆れ返っていた。
良一は都内の私立高校の英語教師で硬物、同僚で妻の佐代子は国語の教師だった。
二人には子どもがいなかった。
母の菊子は私の息子の誕生をとても喜んでくれて「菊男」と命名してくれたの。
ちなみに、父の三郎は半年前に脳梗塞で倒れ、その後に認知症が進んでいて、介護施設に、まだ72歳なのにね。