10月5日CSテレビのムービープラスで観た
Undine
監督クリスティアン・ペツォールト脚本クリスティアン・ペツォールト製作
フロリアン・コールナー・フォン・グストルフ(ドイツ語版)
解説
「東ベルリンから来た女」のクリスティアン・ペッツォルトが監督・脚本を手がけ、“水の精・ウンディーネ”の神話をモチーフに描いた恋愛ドラマ。
ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネは、アレクサンダー広場に隣接するアパートで暮らしながら博物館でガイドとして働いている。
恋人ヨハネスが別の女性に心変わりし悲嘆に暮れる彼女の前に、愛情深い潜水作業員クリストフが現れる。
2人は強く惹かれ合い、新たな愛を大切に育んでいく。
やがて、ウンディーネが何かから必死に逃げようとしているような違和感をクリストフが感じ取ったことをきっかけに、彼女は自分の宿命に直面することになる。「婚約者の友人」のパウラ・ベーアが神秘的なウンディーネを妖艶に演じ、2020年・第70回ベルリン国際映画祭で女優賞を受賞。クリストフ役に「希望の灯り」のフランツ・ロゴフスキ。
2020年製作/90分/G/ドイツ・フランス合作
原題:Undine
配給:彩プロ
劇場公開日:2021年3月26日
スタッフ・キャスト
監督
クリスティアン・ペッツォルト
製作
フロリアン・コールナー・フォン・グストルフ
ミヒャエル・ベバー
脚本
クリスティアン・ペッツォルト
撮影
ハンス・フロム
衣装
カタリーナ・オスト
編集
ベッティナ・ベーラー
キャスト
ウンディーネ: パウラ・ベーア - ベルリンの都市開発を研究する歴史家。
クリストフ: フランツ・ロゴフスキ - 潜水作業員。
モニカ: マリアム・ザリー(ドイツ語版) - クリストフの仕事仲間。
ヨハネス: ヤコブ・マッチェンツ - ウンディーネに別れを告げた恋人。
アンナ: アネ・ラテ=ポレ(ドイツ語版) - ウンディーネが働く博物館の同僚。
ヨッヒェン: ラファエル・シュタホヴィアク(ドイツ語版) - クリストフの仕事仲間。
ノラ: ユリア・フランツ・リヒター(ドイツ語版) - ヨハネスの新しい恋人。
アントニア: グロリア・エンドレス・デ・オリベイラ(ドイツ語版) - ウンディーネの部屋に越してきた外国人女性。
撮影ハンス・フロム(ドイツ語版)編集ベッティナ・ボーラー(ドイツ語版)製作会社Schramm Film Koerner & Weber配給
上映時間90分
「水を抱く女」評論】現代のベルリンにおいて孤立感を抱えて生きるウンディーネの受難と遍歴
美しくも儚い白昼夢に包まれているかのような味わいだ。ぺツォール監督の語り口が他のどの映画監督とも異なる感性に満ちているのは『東ベルリンから来た女』をはじめ数々の作品からお馴染みだが、いにしえより語り継がれる「ウンディーネ伝説」に材をとったと思しき本作も、ぺツォールが紡ぐと一味も二味も違う現代的な奇想譚へと生まれ変わる。
まずもってベルリンという大都会で暮らすヒロインの日常は、その序盤、果たしてこれからどうやって水と結びついていくのか露ほども想像が及ばないものだ。そこに出会いが訪れる。
ハッとするほどの鮮烈な描写と共に。さらには、ベルリンと郊外とをつなぐ列車での距離移動と、水深く潜っていく垂直移動。
都市発展についての解説が浮き彫りにする時の移動。これら3つの絶えざる流れが不可思議に渦を巻くところにこそ、現代のウンディーネは降臨するのだろう。小品ながらその余韻がずっと胸のどこかに留まり続けている。
水の精霊ウンディーネには湖や泉に住んでいて、本来性別はないが主に女性の姿を借りて現世に現れ、男性と恋に落ちて結婚もするけれど、恐ろしい代償を伴う。
1、夫に罵倒されると水に帰ってしまう。
2、夫が不倫した場合は夫を殺さなければならない。
3、水に帰ったら魂を失う、等々。
現代のベルリンを伝説の舞台に選んだ本作は、所々で精霊にまつわる決まり事を踏襲しているが、ファンタジー色はほぼ皆無。
「東ベルリンから来た女」でもそうだったように、監督のクリスティアン・ペッフォルトは、抗えない運命に引きずられる男女の関係を、ドイツの暗く湿った風景の中で描いていく。
キーになるのは、この悲しい恋の物語と、東西統合と共に発展を遂げた代わりに、古典的で美しいカルチャーを捨て去ったベルリンとを対比させつつ描写している点。
ヒロインの職業を都市開発を研究する歴史家に設定しているのは象徴的だ。古き良きジャーマン文化と現代に現れた精霊…
パウラベーア扮するベルリンの歴史学者ウンディーネヴィブーはカフェでヤコブマッツェンツ扮するヨハネスに別れを告げられた。水槽が割れる事故をきっかけにフランツロゴフスキ扮する潜水夫のクリストフと知り合った。
極めて淡々と展開していったね。ヨハネスが舞い戻って来てもブレなかったね。なんかみじめだな。でもクリストフも恐いね。と思ったらこれはスリラーか。ちょっと変わった内容だったな。
別れを拒絶した女性の苛立ちを埋めるように突如現れた男性。ファンタジーな要素がいいアクセントになっていて、そのひとつに原題の主人公の女性の名前があるので、タイトルはそのままの方が繫るかなと思う。確かに、水を抱くもポイントの一つでしたけどね。
『水を抱く女』(みずをだくおんな、Undine)は2020年のドイツ・フランスの恋愛ファンタジー映画。 監督・脚本はクリスティアン・ペツォールト、出演はパウラ・ベーアとフランツ・ロゴフスキなど。 「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という宿命を背負った水の精ウンディーネの神話をモチーフに、現代のドイツ・ベルリンで、運命から逃れようとする女性を描いている[2]。ウンディーネの神話をもとにした過去の作品のほとんどが男性目線で描かれているのに対し、本作は女性目線で描かれている[3]。
恋人ヨハネスに別れを告げられた傷心のウンディーネは、カフェの水槽が割れる事故をきっかけに潜水作業員のクリストフと恋に落ち、2人は幸せな日々を過ごすようになる。そんなある日、ウンディーネがクリストフと交際していることを知ったヨハネスから復縁を迫られたウンディーネは彼からの申し出を無視する。ところがその夜、クリストフからヨハネスとの関係を疑う電話がかかってくる。
一方的に切られた電話にウンディーネは折り返すが、クリストフは電話に出ない。翌日、クリストフの作業現場を訪れたウンディーネは、クリストフが潜水作業中の事故で病院に担ぎ込まれたことを知らされる。病院に駆けつけたウンディーネは、クリストフが脳死状態にあること、そして前夜の電話の時点では既に脳死判定されており、電話をかけられる状態ではなかったことを知る。
打ちのめされたウンディーネはヨハネスの自宅を訪ねる。ところが彼はウンディーネを捨てるきっかけとなった女性ノラと今も仲睦まじく暮らしていた。ウンディーネはヨハネスをプールで溺死させると、沼に入っていき、泡となって消える。その瞬間、クリストフは目覚める。そしてウンディーネに何かあったことを察したクリストフはウンディーネを必死に捜すが、誰も彼女の行方を知らない。
それから2年後、クリストフは潜水仲間のモニカと暮らし、彼女はクリストフの子を妊娠していた。ある日、クリストフはウンディーネとの思い出の場所であり、脳死に至る事故を経験した沼での潜水作業を請け負うことになる。水中での作業中にクリストフはウンディーネの姿を目にする。陸に上がったクリストフは録画を確認するが、そこにウンディーネの姿は映っていなかった。その夜、モニカとのベッドから抜け出したクリストフは沼にやってくると、ウンディーネの名を叫ぶ。そこにモニカが現れ、クリストフを呼び止める。しかし彼はそれを無視して沼に入ると、そこでウンディーネに再会する。深く傷ついたモニカだったが、そこにクリストフが現れる。その手には彼がかつてウンディーネに贈った潜水夫の人形が握られていた。
かねてよりウンディーネ神話を何らかの形で映画化したいと考えていたクリスティアン・ペツォールト監督は、2018年の映画『未来を乗り換えた男』の撮影が終わりに近づいた頃に、まだ構想の段階だったにもかかわらず、撮影が終わる寂しさからくるメランコリックな気持ちから、同作に主演したパウラ・ベーアとフランツ・ロゴフスキの2人に、つい弾みで本作への出演をオファーしてしまい、それをきっかけに撮影終了後に本作の脚本を執筆した。
作品の評価
Rotten Tomatoesによれば、133件の評論のうち高評価は89%にあたる118件で、平均点は10点満点中7.3点、批評家の一致した見解は「『水を抱く女』は民間伝承にもとづいたダークファンタジーで、そのわかりにくいストーリーテリングは物語の核となる魅惑的なロマンスによって補われることが多い。」となっている[7]。 Metacriticによれば、32件の評論のうち、高評価は28件、賛否混在は4件、低評価はなく、平均点は100点満点中75点となっている[8]。