他のお客を接待しているのにマコはスーさんが入店すると「待ってたの」と目で告げるような視線を向ける。
そして、席を立ったマコはママに頼みこんで、マコは我々の席にやっくる。
「マコちゃんは、何時もスーさんの脇の席がいいのね」とママは苦笑する。
ママの次女で元映画の子役俳優だった貴さんがマコの代わりに先客を接待する。
私はそのクラブに、しばしば鈴木和男から接待されるばかりだった。
皮肉なことにスーさんはママの長女に惚れ込んでいたのだ。
鈴木和男は、3人で始めた企業が発展して、10人になった時に社を自ら去ってゆく。
皆で「辞めるな」と説得したのに、聞く耳を持たなかったのだ。
「変化を好まないのです」と鈴木が私に本音を明かす。
私も社会や環境、人間関係の変化に順応できない質なので「そうですね」と彼の立場を容認する。