創作 義母の家 5)

2023年10月12日 22時44分20秒 | 創作欄

幸恵は受け身の女ではなかったが、夫の直人は与えるより、要求するばかりの厄介な男に思われてきた。

「結局、あなたには、包容力がないのね」幸恵は夫をなじる。

妻に責めれた夫は、男の価値を問われたような焦りを覚えた。

夫の直人が、幸恵の妻としての女のあり方を度外視して、拘束するとすれば二人の関係はますますこじれてしまう。

その背後にあるのは何かと言えば、夫のコンプレックに起因するのものではなかっただろうか。

貰いが少ないと言って、路傍の乞食が金銭を与えた人に食ってかかるようなものだ。

コンプレックスに囚われた夫の姿は、そのような形容にあたはまるように幸恵には思われた。

妻になじられて、夫の直人は改めて己の不甲斐なさを恥じた。

直人はもはや、「社内旅行に行くな」とは言わなくなる。

だが、直人の心に鼻白むものがあることは隠せなかった。

参考:鼻白む(はなじろむ):状態が思わしくなくなってきた時の気後れしたような表情が「鼻白む」。

その夜、ベッドに入ると、直人はいつになく激しい性行為を行った。

結婚して7年の歳月が流れおり、夫婦の性関係はそれなり変貌してきた。

幸恵が何時も性に淡泊な夫をリードしてきた。

常に夫をリードするほどに性行為に熟達してきたが、余りの荒々しい夫の行為は萎えるのもあっけなかった。

直人はその行為のあっけなさに恥じている様子で、直ぐに背中を向ける。

幸恵はベッドから起き上がり、台所へ水を飲み行く。

4畳半の部屋を占領するような大きなベッドだった。

その幸恵の高校時代の親友の青山園子が、3か月前にくれたものだった。

園子は今まで同棲していた男と別れて、見合い結婚をした園子は、同棲していた頃の家財の一切を処分する。

幸恵は前々からベッドが欲しかったので、喜んでダブルベッドを引き取った。

「別れた男女のお古のベッドなのか、俺は幸せに眠れるのか?」直人は苦笑をもらす。

幸恵は夫と自分の感じ方の相違として、夫の言葉を受け止める。

幸恵は結婚して初めて社内旅行へ行ったのだ。

その社内旅行に夫が異様なまで反対していたことは、幸恵の頭から離れていた。

那智山から海へ向かってところに南紀勝浦温泉がった。

南紀は小山が綿々として、紺碧の海の潮に山肌がせり出していた。

大小の岩が湾に散らばりて、太陽が西に傾くとうずくまった黒い影が異彩を放った。

大きな広間での酒宴は、もうお開きに近く惰性的な献杯、返杯が繰り返されていた。

ある席では卑猥な話で盛り上がっていた。

崩れかかってきたような席は、一人、二人と立ち上がる人が出て、自然と散会の様相となっていった。

それでも最後まで席にへばりついいる二、三のグループがあった。

その人達は空席となったお膳から、なおも銚子を集めてきて飲み続ける。

お膳は余った料理も多くて、再度に賑わいを見せる。

幸恵は他の同僚とともに席を立ってもよかったのに、大沢治夫のことが気にかかり席を離れずにいた。

同僚たちは、新婚の大沢を酒の菜(肴・さかな)にしはじめていた。

幸恵は最初、同僚に交じって大沢に対して冷やかしを言っていた。

内気な大沢は人がよくて、同僚たちに言いたいことを言わせていた。

酒の強い大沢が献杯を決して断らない。

日本酒を相当の量口に運んでいたのに、ほとんどを身を崩す様子を示さないでいた。

やがて、呂律が回らなくなった同僚の木村健作が大沢に絡みはじめる。

「大沢、貴様はそれでも男か。なんで女の言うことに、そう逐一うなずくんだ。気にくわんな!反論の一つもないのか。女の言うことにごもっとなんて面をするな!俺は貴様のような軟弱な奴は殴りたい」

大沢は如何に情けなそうな表情を浮かべる。

大沢の大きな体は滑稽なほど身を縮める。

まったく受け身となっている大沢に対し木村はなおも悪態をつく。

「女なんて、殴ってやれ、女は貴様が思うような人間じゃないんだ。餌をもらう豚と同じだ。女にはまともな考えなんてありやしない。甘やかすとつかあがるばかりなんだよ。貴様のような女々しい男が増えたから、女はまします性悪になっていくんだ。わかるか!」

「そんな言い方、ひどいわ、私がこれまで喋ったこが生意気なら、私謝ります」幸恵は思わず口を挟んでいた。

「ねえ北島さん、そういうことじゃないよ。大沢の女々しい態度に俺は文句があるんだ」大沢はいくらか声を和らげる。

木村は理屈っぽい男と同僚たちから敬遠されがちであったが、根は悪い人間ではなかった。

また、木村は好悪感情が激しく、感覚的に大沢の言動に相容れないものがったようだった。

こいう木村に対して大沢は、戸惑っているばかりで、言い返すことはなかった。

木村にはサディスティックな面もあって、自分の意見を強く押し出せない大沢のよな男に対して粗暴にもなった。

「木村君、どうでもいいだろう。飲め、飲め、宴会の席だ楽しめ」中西英二が徳利を三村に突き出す。

木村は、忌々しいという一瞥を大沢に投げながら、盃を中西に向ける。

「幸ちゃん、今夜は旦那を家に一人でおいて、旦那に浮気なかされないかい?」中西はニヤリとした。

冗談を心得ている幸恵は、「旦那のこと心配になってきたから、家へ電話してくるわ」と言って席を立った。

「大沢さん、私、酔ってしまった。足下が怪しくなったから、電話のあるところまで、着いてきてね」幸恵は目くばせをする。

大沢は席を立つイ良いチャンスを思ってのだろう。

同僚たちの冷やかしをあとに大沢は幸恵と共に宴会場を出て行く。

 

 

 

 


偉大な生命力」

2023年10月12日 10時43分56秒 | その気になる言葉

▼人を思う強さが、自分を強くする。

誰かのために生きる時、人はどこまでも強くなれる。

▼実証のない宗教・哲学は観念論。

▼勇気の行動が、深く慈悲に通じる、相手の生命に響く。

▼農業こそ人間の最も根本をなす。

最も尊貴な営み。

▼大事はつねに苦境の中で成し遂げられる。

▼大事業というものは、きびしい誠実さの上にだけ築きあげられるもので、それ以外のなにも要求しないのである。

▼戦えば戦うだけわれわれは強くなる。

▼多忙であればあるほど、そのなか頑張って活動すれば、なお幸運の風が吹く。

▼職業をよくよく大事にして、あらゆる思索を重ねて、成功するよう努力すべきである。

▼自分の勤めに、楽しみと研究とを持ち、自分の持ち場をがっちりと守る覚悟の生活が大事である。

▼知恵、努力、表現力、その根底をなすのが「偉大な生命力」である。

 


"人的資本経営”

2023年10月12日 10時28分52秒 | その気になる言葉

"人的資本経営”の基礎知識と実務に特化した初めての検定試験 
「人的資本経営検定 BASIC」

近年、注目を浴びている「人的資本経営」。

昨年8月に、政府から人的資本の情報開示における指針「人的資本可視化指針」が公表されたことを受けて、本格的な推進が各企業に求められています。

しかし、いざ具体的に取り組もうとしても、多くの行政資料や公的機関の資料、国内外の指標、日本国内の法令や制度が個々に独立して存在していることもあり、その全体像をつかむことは非常に難しく、また、上場企業における投資家向けの情報開示や、金融商品取引法や女性活躍推進法、育児介護休業法など情報開示に関連する法令に大きくスポットを当てて説明されることも多いため、どこから一歩を生み出せばいいかがわかりにくくなっている状況にあります。

 人的資本経営の本質とは、人材を企業の付加価値を生み出す資本として捉え、その価値を高めていくことで経営課題の解決を図っていくものであり、情報の開示はその結果にすぎません。

情報開示を目的とするのではなく、自社の現状把握から施策の実施、開示に至るまで必要なステップを一つひとつ踏み、それをサイクルとして回すことが一番の肝になります。

 そこで、マネジメント目線にとどまることなく、人的資本経営を実践していく際に必要な一通りの実務の基礎を習得し、その知識を認定するのが「人的資本経営検定」です。

 「実務に活かす」をゴールに、学びを重視した検定となっており、BASICでは人的資本経営に関連する重要な行政の資料、国内外の指標・ガイドライン等を広く網羅、一つひとつ紐解き、体系化。試験対策講座(動画&レジュメ)、テキストを繰り返し学習し、その総仕上げとしてWEB受験をクリアすることで、知識を着実なものにすることができます。

 人的資本経営は、大企業、中小企業関係なく、今後、企業経営の基本的事項の一つとなり、経営者・人事部門の方のみならず、広くビジネスパーソンの必須知識になってくることは間違いありません。ビジネススキルの向上やキャリアアップを目指す方はもちろんのこと、企業における育成やキャリア支援の一環として、管理職、新入社員研修等の企業内研修プログラムの一つとしても、ぜひご活用ください。

 

「人的資本経営検定 BASIC」の3つの特長

1.人的資本経営の基本的な知識が習得できる

 人的資本経営の基本概念、各法令及び国内外の指標で求められる内容を理解し、実務で生かすポイントまでを押さえることができます。合わせて、経済産業省「人材版伊藤レポート」「人材版伊藤レポート2.0」、内閣官房の「人的資本可視化指針」をはじめとする重要な行政資料を読み解く力をしっかり身に付けていただくことができます。なお、学習の中では、新聞やニュースの頻出ワードが出てきますので、同時にビジネス感度も高まります。

2.全てオンラインで完結!WEB講座とWEB試験が一体型の検定

 人的資本経営検定は、学びを重視した検定と位置付けており、広く誰でも受験しやすいよう、「WEB講義+WEB試験の一体型」の形式を取っています。全てオンラインで完結でき、お申込み(アカウント発行)から2か月(60日)の受講・受験期間内に、自宅PCなどオンラインの環境があればどこでも受講・受験をすることができます。

3.試験委員長に人的資本経営のスペシャリスト・松井勇策氏

 早くから人的資本経営の実践・研究に取り組まれ、社会保険労務士としての実務知見を交え、多くの企業で人的資本経営の導入支援、セミナー等で人的資本経営の実務面にフォーカスした情報発信を精力的に展開されている松井勇策氏(情報経営イノベーション専門職大学客員教授/フォレストコンサルティング経営人事フォーラム代表)を試験委員長にお迎えし、本検定のコンテンツを全面監修していただきました。

 広くビジネスパーソンが人的資本経営の知識をスムーズに身に付けられるよう、実務上の要素をふんだんに盛り込み、充実したコンテンツとなっています。平易でかみ砕いたテキスト(電子ブック)、特に重要なポイントやテキストの行間について解説した試験対策講座動画(レジュメ)、総仕上げとして、WEB受験問題を解いた後は、解説を熟読することで、より理解を深めていただくことができます。

 


創作 義母の家 4)

2023年10月12日 07時38分48秒 | 創作欄

夫の直人が義母を、明大前のアパートに連れてくるはずであったが、直人は「おふくろさんは、遠慮していた」とあっさりと言う。
そこで幸恵は、義母の家に電話をかけてみた。
義母は、なかなか電話に出てこないので、「どうしたのかしら」と懸念する。
でも、「ハイ!北島です」電話に出た義母の声には案外と張りが感じられた。
「幸恵です。おかあさん、どうしているの、元気なの?」幸恵は、いたわるように呼び掛けた。
「風邪で、2、3日寝込んだけど、今は良くなったの」
「お一人で、おかあさん大変だったのね」幸恵は心を曇らせる。
「何も気にかけずに、私のところに来てね」
「わたしは、もう大丈夫だけれど、直人はどうなの? 先日、会社の帰りうちに立ち寄って時、何か
元気がなかったから・・・」
幸恵は、「私が社内旅行へ行くことが、気に障っているのね」と合点が行く。
「今度、直人さんがおかさんの家へ寄ったら、必ず一緒にうちに来てね」
「ありがとう。でも、いいのよ。ところで、幸恵さんのおかさんは、まだ働いているそうね。大変ね、よろしく、と伝えてほしい」
「分かったは、気遣いありがとう」義母の心の優しさが受話器から伝わってきた。
夫の直人は何時も、独り住まいの母親の身を案じていた。
「あなたは、おかあさんに本当に心が優しいのね」
幸恵は「義母の家へ、もう一度戻れたら」と思わない日はなかった。
その家は成城学園から徒歩5分ほど歩いたところにあった。
美容院と不動産屋の間の袋小路の奥に周囲からは取り残されたように、ひっそりと門を閉ざしていた。
その地続きのずっと奥には200坪ほどの大邸宅が何軒も連なっている閑静な屋敷街だった。
義母は3人の娘たちに気兼ねして、家にこもりきりで、買い物以外は外出しなくなる。

幸恵は台所に立つと壁に掲げてある暦に、社内旅行の日程を赤いボールペンで記入する。
幸恵は会社内でも卓上の小さな暦に、何かと日程を記入する習性があった。
楽しみな社内旅行は2週間後であった。
そのワクワク感で笑みがこぼれる。
気付けば、背後に夫が立っている。
振り向き、夫の顔を見詰めると、常になく厳しい目をしていた。
幸恵は夫の目を正視する。
その視線を夫は避ける。
夫は何かを言おうとするが、言い出せない様子だった。
幸恵は、いつものように「むっりさん。なにを言いたいの?」と茶化す。
「幸恵、旅行に行くのよさないか!」直人は言って俯くのだ。
幸恵は「また、はじまった」と呆れかえる。
「お前が、南紀勝浦へ行きたいのなら、何時か俺と一緒に行こう。いいね」
幸恵は呆れて夫の顔を見詰め、言葉を失う。
「いいね。分かってくれるね」
「どうして、私が会社の旅行に行くのを止めるの。何んで?そんな権利、あなたにあるの?どうなのよ」幸恵は多少詰問口調になる。
「つまらないことで、言い争いは嫌!」幸恵は強い口調になる
夫は口ごもり、戸惑うばかりになる。
嫉妬心は愛の異常な表れとも思わるが、夫はあらぬ妄想に囚われているような様子だった。
妻が社内力に行くのを止めるのは異常といえば異常だった。
幸恵は夫の気持ちがどうして、そんな風になるのか、理解がとうてい及ばなかったのだ。
姉たちが義母の家を売ろうとしていることに、夫は全く無頓着なのに、「どうして、私の社内旅行に拘泥するだろう?」
幸恵にとって、夫に解らない部分があることに気付き、今更ながら暗澹たる思いにかられる。
無理に答えを見つけるとしたら、夫のコンプレックに帰着した。
夫は、女にもてないタイプの男性であったのだ。
我儘に育った幸恵は、自分の我儘を許してくれる男子像を求めていて、それが直人だった。
直人の周囲の男たちは、彼らが気に入った女たちを所有するか、絆を結んでいた。
そんな直人思いを寄せる女がいなかったわけではない。
その自らの心情とは別に、迂遠な態度しか示せなかった。
直人にとって、言葉すらかけれない女は常に他人に奪われてしまう存在でしかなかった。
想えば、彼は他人の男が、彼が思いを寄せる女を奪い去っていくのを指をくわえて見てたにことに過ぎない。
直人にとって勝利者の男ががいて、敗北者の自分がいる―常にそんな構図だった。
直人も、過去にグループでの男女交際の経験もあったが、友人たち話の方がよほど面白くて女の心をとらえていた。
話に加われない情けない自分がいる―直人のコンプレックの原点ともなる苦い経験だった。

でも、直人は女に自ら言葉が掛けれないまま、30歳になっていた。
そして、当時、20歳の幸恵から、思いもかけずデートに誘われ、プロポーズされて結婚に至った。
女が男に求めるのは包容力である。
幸恵は夫のコンプレックを深く理解していなかった。
直人は得ることより、失うことの幻影に怯えていることなど、幸恵は思いも及ばなかった。

 

 

 


時代の変化に対応する

2023年10月12日 07時38分48秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▼「ストレスは人生のスパイス」生理学者・ハンス・セリエ

ストレスはないことが最善、ではない。

程度なストレスは集中力を高め、より大きな目標に挑む勇気、さらに他者への共感を生み出す。

▼今持っている価値観や知識・スキルのうち、陳腐化しているものを捨てる。

▼学習棄却―「学び直し」

「捨てる」と「学ぶ」が、時代の変化に対応する必要不可欠の要素。

▼時代の変化に対応するために学び直す。

激しい変化の時代に重要なことは、陳腐化された考えを捨てることだ。

▼現場に出向き、観察し、何が必要かを判断する。時代が徐々に変化していることを自ら足を運び、実感することが良策。

▼現場第一主義はニーズを正確に深く把握することにつながる。

他者からの報告ではつかめないことが多過ぎる。

▼現場力を発揮する企業は成長する。

現場力は現場に出向く一歩から始まる。