児童相談所と警察とのケース全件共有の行方
~児童保福祉法等の改正時の議論を解説~
以前、平成31年度の児童福祉法等の改正に関する記事を書きましたが、本記事では改めて、改正の全体像について解説したいと思います。
また、今回の児童福祉法等の改正では、その過程で、児童相談所と警察とのケースの全件共有(具体的には、児童相談所で把握した児童虐待のケースを全て警察に報告する仕組み)が検討されていたので、その点についてもご説明したいと思います。
平成31年度の児童福祉法等改正のポイント
平成31年度の児童福祉法等改正のポイントは、以下の3点の大きな方向性が規定された点でした。
① 児童の権利擁護の強化
児童に対する体罰の禁止、2年を目途に民法の懲戒権の規定を見直すこと、児童の意見表明権を保 障する仕組みの検討etc
② 児童相談所の体制強化の方向性
児童相談所における児童福祉司の設置体制etc
③ 児童相談所と関係機関との間の連携の強化
このように、平成31年の改正では、具体的な法手続の仕組みというよりは、児童の権利擁護の内容であったり、児童相談所の機関としての体制の強化といった「大枠」での改正がなされています。
この法改正の概要については、「児童虐待防止策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/01kaisei_gaiyou.pdf
http://www.moj.go.jp/content/001301546.pdf (参考資料付き)
に分かりやすくまとめられていますので、ご参照ください。
この資料と、これに続く参考資料を読むと、今回の改正が具体的な法制度の中身を変えることを企図したものというよりは、日本政府が、今回の改正を、今後の具体的な法改正の契機(きっかけ)と位置付けていることをうかがい知ることができます。
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