【新訳】読書について
ショウペンハウエル (著) 渡部昇一 (翻訳)
これは、自分にとってとても学びの多い本だった。
おもしろいのは、ショウペンハウエルの本を、ただ訳すだけでなく、訳者の渡部氏の考えまで述べているところである。
[新訳]読書について 知力と精神力を高める読み方 価格:¥ 998(税込) 発売日:2012-08-11 |
特に、「読まないこと」「非読書術」についても触れているところが興味深かった。
・ 私たち読者の側に関していえば、非読書術がきわめて重要である。p.85
・ 私(渡部氏)は、学生の時にヒルティの「幸福論」で「朝から新聞を読むな」という一節を読んで依頼、朝は新聞を読まないクセがついた。新聞を読むのはよるか、翌日である。
朝の時間帯は集中力があるから、その時間を雑に使うのは惜しい。ヒルティの教えは有意義だったと思う。p.86
・ 良書を読むための条件は、悪書を読まないことである。人生は短く、時間と労力には限りがあるのだから。悪書は知性にとって毒である。p.92
気を楽にしてくれる文もあった。
・ 「読んだ本の内容を全て知識として自分の中に保存しておきたいと望むのは、これまで食べたものを全て自分の体内にとっておきたいと思うようなものだ」といっているのだが、これは前にも出てきた比喩だ。要するに、本を読んでどんどん忘れてもいいのである。忘れるようなものはいらないとあきらめて構わない。排泄されたものはいらないと思うのと同じことである。p.113
繰り返し読む読書についても触れている。
・ 「反復は習得の母」と言われる。とにかく重要な書物はいずれも、間を置かずに二度読むべきである。p.119
・ かつて私は「自分にとっての古典とは、自分が繰り返し読む本」だと言ったことがある。読む側からすれば、自分が繰り返し読む本は、自分の中の古典だ。p.159