少し前のことになるが、卒業式での校長式辞を記録しておきたい。
勤務校の卒業式の会場設営は少し変わっている。
コロナ禍以降に変わったのだが、卒業生と保護者が隣同士で座るようになっている。
卒業生のすぐとなりに保護者が座るような会場設営である。
その設営図を見て、卒業生が保護者にたいして、より感謝してもらうような式辞を考えた。
以下の通りです。(少し長文です。)
令和五年度○○小学校卒業式 学校長式辞
六年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
本日は、ご多用な中、ご来賓として、○○市教育委員会 ○○課 ○○ 様をはじめ 来賓の皆様、そして卒業生保護者の皆様ご列席のもと、ここに「第○○回 卒業証書授与式」を挙行できますことは、誠にありがたく、深く感謝申しあげます。
そして、保護者の皆様、御家族の皆様、本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
このように無事、そして立派に小学校を卒業し、四月からは中学生として、羽ばたいていくお子様にお祝いを申しあげるとともに、今日までの六年間、本校の教育推進に格別のご支援、ご協力をいただきましたことに対しまして、厚く御礼を申しあげます。 誠にありがとうございました。
さて、卒業生の皆さん、皆さんは今、小学校六か年間の課程を修了し、堂々とした態度で卒業証書を手にしました。新しい門出に立つ喜びもあり、もしかすると、親しい友達やこの○○小学校から離れる寂しさもあり、複雑な心境だと思います。
私は皆さんとは、この一年間、一緒に、○○小で過ごしましたが、学習活動や行事、特に運動会や修学旅行、委員会活動でひたむきに頑張る姿に感動していました。
また、一年生のお世話などの取組や、仲間を支え、下級生を思いやる優しさなど、皆さんの「心」の成長を感じる場面にたくさん接することができました。その姿を私は頼もしく見ていました。
さて、この式辞の中で、卒業生のみなさんに伝えたいことを、二つに絞って話をさせてもらいます。
まず一つ目です。それは、感謝です。
今まで生きてきて、いろいろな人にお世話になりましたね。こういう卒業式のような節目では、感謝の気持ちを持つことも大切です。どんな人のお世話になりましたか?
・・・たくさんいますよね。
その中でも、一番お世話になった人は誰ですか?・・・。
そうですね。お父さんやお母さんだという人が多いでしょう。
ここで、となりにいらっしゃるおうちの人の手を見てください。それがお世話になった手です。
その手で小さかったあなたをだっこしました。
赤ちゃんだった時におむつを替えてくれたのもその手です。
熱が出たらおでこに手を当て、自分のこと以上に心配しました。
病院に電話をしたり、看病したりしたのもその手です。
その手でご飯やお弁当も作りました。
褒めるときは、あなたの頭を「なでなで」することもあったでしょう。
公園では幼かったあなたと手をつなぎました。
学校に行くときは「行ってらっしゃい」と手を振ったはずです。
ここでお願いがあります。今見ているその手を握ってみてください・・・。
握りましたか?
どうですか?昔より小さく感じませんか?大きかったはずの手が小さく感じるのは、皆さんが大きくなったからです。みなさんは、まだまだ成長します。
どうかここまで大きく育ててくださったという感謝の気持ちを込めてギュッと握ってください。
握りましたか?
では、手を離してもいいですよ。
おうちの人の一番の願いは何か分かりますか?
校長先生は分かります。それは、皆さんが幸せになることです。
四月からのことで言えば、中学校生活を充実させることです。友達と仲良くし、勉強をし、運動をすることです。楽しい思い出をたくさん作ってください。皆さんならきっとできます。
二つ目の話をします。
これから先、楽しいことがいっぱいあります。
ただ、同じように、つらいこともいっぱいあります。
友達との関係で悩むことがあるでしょう。進路について悩んだりすることもあるでしょう。自分では解決できないような困りごとが起きるかもしれません。
困った時は、ぜひ相談してください。
お父さん、お母さんはもちろん、先生方、友達、地区の方や来賓の方がいますね。
困ったことがあれば、まわりの人たちに相談してください。
大人になっていくというのは、自分で何もかもできるようになるということではありません。
困ったときに助けてもらう方法を知っていることです。また、困っている人を助けてあげる方法を知っていることです。
たくさんの人があなたの味方です。安心して、楽しいことにも、つらいことにも立ち向かって成長してください。
保護者の皆様、来賓の皆様、地域の皆様、これからも卒業生をはじめ、○○小学校の児童の成長を暖かく見守り続けていただきたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。
以上で、式辞といたします。
令和六年三月二十五日
○○市立 ○○小学校 校長 ○○ ○○
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