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前後裁断する具体的な作法・・・丁寧道

2023年01月05日 | 本と雑誌

 この本を読んで良かった。

 そう思える本が年に何冊かある。

 

 この本は、間違いなくその中に入る本である。

 

 その本とは、「丁寧道 ストレスから自由になれる最高メソッド」である。

 著者は、書家の武田双雲氏。

 丁寧道とは、「今ここ」に集中する営みである。

 

 「前後裁断」という言葉がある。

 これは、過去も未来も断ち切り、今にすべてを集中することである。

 過去を引きずり、未来を心配することで、そこから悩みや不安が生じてしまう。

 

 「今ここ」に集中する技法としては、「マインドフルネス」や「瞑想」がある。

 

 この「丁寧道」は、動きを伴ったマインドフルネスだと思う。

 

 丁寧道の実践方法の具体例として、著者は次のような例示をしている。

 

 

 

 「いま、あなたはお風呂場の中にいる、と想像してみてください。これから髪を洗おうと思っています。当然、シャンプー容器のポンプを押しますよね?  そのとき、シャンプーの容器をできるだけ丁寧に、楽しそうに全神経を駆使して味わってみてください。」

 

 「たとえば、ポンプをいつもよりじっくり押して、そのときの「しゅこ~、しゅこ~」という音に耳を澄ましてみる。「意識して聞いたことなかったけど、いい音だなぁ~」「やさしい音だなぁ~」なんて感じてみるのもありです。」

 

 「また、シャンプーの容器を楽しそうに眺めてみてください。ちょっと見てみると、容れ物・ポンプ・ポンプの中の部品等々、いろいろなものを組み合わせてくれているおかげで、スムーズにシャンプーが出てくることがわかります。」

 

 「それに、想像をめぐらしてみると、温もりのあるピンクの容器も、涼しげなブルーの容器もメーカーやデザイナーさんがさまざまな工夫を凝らしてくれて、ああでもないこうでもないと改良しながら使いやすいものにしてくれているんだなぁ~なんていうイメージも湧いてきます。 そして浴びているシャワーの一滴一滴が、顔や頭に当たっている感覚もじんわりと感じ取ってみてください。」

 

 

 

 いかがだろう。この方法ならば、「今ここ」に集中することができる。

 

 これ以外にも、次のような例もある。

 

 

 

 昼食が一人で立ち食いそばだったとしたら、ただ腹を満たすためだけにそばを流し込むので はなく、七味を振ったときの「シャッ、シャッ」と いう音を味わってみたり、そばをすすると きの唇やノドに全神経を集中 してみたりする 。

 

 おやつにポテ トチップスを食べるなら、 目を閉じてカリッという音に耳を澄ませながらじっくり噛みしめてみる。チョ コを食べるなら、噛んですぐに飲み込むのではなく、しばらく舌の 上で甘 さをじんわりと味わい、深呼吸してにつこり微笑んでから 「ああ、本当においしいなあ」とボソッとつぶやいてみる 。

 

 料理をつくるときなら、食材を包丁で切るときの感触に意識を向けてみる 。そ れを炒めると きの「ジュー」という音に心湧きながら集中する。フライパンを振るときの重さをじっくりと感じてみる 。

 

 仕事帰りの食卓でビールを飲むときには、いつもよりじっくり缶を開けて「プシュッ 」 とい う音 に耳を澄ましてみたり、グラスに注ぐ「 トクトク」という音を味わってみたり、あえてノ ドを渇かしておいてビールのキレを「く〜っ」と感じ尽くしてみたりして、ニンマ リする。

 

 コーヒー好きの人は、ミルで「ザザザ~」と豆を挽く音を楽しみながら、お湯をじっくり注ぎ、そこから立ち上がってくる香りに至福を感じてみる。

 

 温泉好きの人は、 湯に浸かる瞬間から足で温度を感じつつ、湯の肌触りや体がほぐれていくのを味わいながら、「あ〜、極楽だ~」と笑顔になってみる。

 

 

 

 これらの丁寧な動きは、常に行うのは難しいので、1日のうちに何回か意識して行うようにしている。

 やってみるとわかるのだが、五感を使って丁寧に動くと、マインドフルネス状態になる。つまり、意識が今この時に集中している。

 過去や未来の出来事ではなく、「今ここ」に意識が集中される。

 

 本の中では、

「丁寧道をやるとなんでいいのか」

「丁寧道がうまくいくためのポイント」

「認知を変えれば、一生が変わる」

なども述べられている。

 

 自分の意識と行動が変わるという点で、とても良い本に巡り会えたと思う。

 


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