火車
昨日・今日と暖かい日が続いています。
川沿いの桜の蕾も徐々に膨らみ始めています。
春も近いですね。
さて以前宮部みゆき作品に初めて触れた話をアップしたところ、ブログサークルのフォロワーさんの沖サリィさんからオススメしていただいた『火車』。
読了しました。
火車 (新潮文庫) | |
宮部 みゆき | |
新潮社 |
こーれは面白かった!!
92年の作品。
この頃は学生で遊び呆けていたのでハッキリ言って本を読んでなかった。
当時社会問題化していたカードローン破産を題材。
主人公の休職中の刑事が、なくなった妻の甥から結婚予定だった恋人が突然消えたというところから話が始まる。
その恋人を探して欲しいという求めに刑事はその恋人を追い始める。
しかし調べていくとその恋人は別人が入れ替わっていたようだった・・・。
なぜ多重債務者が増えているのか、実際にモデルとなった宇都宮健児弁護士の言葉を使いながら事件の背景を丁寧に説明している。
無理な借金を抱えてマイホームを建てた挙げ句借金取りから逃げ回っている家族、自分に自信がなくそれを埋めるべく借金してモノを揃えることでさらに借金を重ねる女性など、恐らく同じような事例が当時よく起こっていたんだと思います。
最後は何とも言えず、普通のミステリーではあまり感じない無念さを強く感じてしまいました。
あと逃げてる女性を取り巻く男たち(東京・大阪・三重)は、恐らくその助成の気立ての良さに惹かれたところが大きいとは思いますが、男は少し不幸感を滲ませている女性に惹かれがちなのも自分と照らし合わせて理解できるとともに、そこには「オレの女」的な独占欲を持っているものだと感じて、我ながら少し恥じてしまいました。
トリックを追い続けながら、それを解いていく面白さはミステリーの基本ですが、それ以上に人の感情に入り込まないとなかなか理解できないだろうと思います。
結構ページ数はありますが、ガツッと読み切ってしまいます。
20年以上前の当時の社会の有り様も少し懐かしくもあり、非常に堪能できました。
沖サリィさん、紹介してくれてありがとうございます!!