乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

103; 『介護保険は老いを守るか』 沖藤典子著 岩波新書  新赤版 2010年

2010-06-24 | 読書全般(古典など以外の一般書)



2010年度 103冊目  






           『介護保険は老いを守るか』

  



 沖藤典子 著

 岩波書店

 岩波新書  新赤版1231

 2010年 2

 244ページ 840 円



 最近本を読んでいてしばし満足のいくものから遠ざかっていたが、昨日の二冊(『歌舞伎のデザイン図典 』『血栓の話―出血から心筋梗塞まで』)以降、運が向いてきたようだ。

『介護保険は老いを守るか』は組織的介護の現実を突きつけられた挑戦状のようにも感じ、恐怖心さえ生じてくる。

 著者沖藤典子さんは事実を論理的に展開し,介護に置ける社会的問題点をぐいぐいと書き上げておられる。

 そこにはファシズム的発想はなく、事実を知らしめたいとした姿に他ならず、安心し信頼して読むことができる。

 一人うがりの押しつけめいたものはなく、この方の公演ならば 素直に聞くができるだろうと思った。

 沖藤典子さんは女性だが、男前な性格だった。


 それにしても年金問題といい介護保険の問題点といい、安心して歳を重ねていくにはほど遠いのだろうかと考えさせられる。

『これでいいのか、介護保険』『年老いる恐怖』『安心した老後を迎える為に選ぶ選ぶ死』という本はもう出版されている。そんな気さえする切なさよ、なぁ。




  内容

二〇〇〇年四月に始まった介護保険制度は、「介護の社会化」「高齢者の自立支援」を進める画期的なものとして歓迎され、今日、約四〇〇万人が利用している。だが、この間、財源論を盾に改悪が続き、緊急の課題も山積み状態。社会保障審議会の委員として議論に加わってきた著者が、利用者の視点に立って徹底検証と具体的提言を行う。

  目次

第1章 介護保険はなぜ創設されたのか(介護保険サービスの夜明け;高齢社会の到来と新しい事態;介護の社会化;介護保険サービスの推移)
第2章 介護保険サービスの「適正化」(同居家族と「生活援助」;生活援助利用制限の波紋;なぜ厳しい、外出支援;福祉用具貸与にも「適性化」の嵐;直撃された小規模事業所)
第3章 解決されるか、介護現場の危機(介護で働く人たちの叫び;介護保険施設の新たな課題;ホームヘルパーは「社会の嫁」か;ケアマネジャーの悩みと責任)
第4章 迷走した要介護認定(要介護認定とは何か;衝撃の二〇〇九年版テキスト;経過措置と基準緩和)
第5章 老いを守る介護保険への道(第4期(二〇〇九~一一年度)の介護報酬改定;利用者にとっての介護報酬改定;介護保険一〇年で見えたもの;老いを守る介護保険への道)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 安心できる老後のために、この10年を検証

 2000年4月1日、介護保険という制度がスタートしました。衰えた老人の面倒は、家族が看るのが当然―そんな旧来の価値観の下、心身の負担を負わされていた「長男の嫁」、「老老介護」を担う妻や夫をはじめ、様々な立場からの願いがようやく実り、「介護の社会化」が実現したのです。いうまでもなく、急速に進む超高齢社会化という日本の現実が、その背景にありました。

 ホームヘルプ、ケアマネジャー、デイケア、ショートステイ……。見慣れぬカタカナ語の洪水に、はじめの頃、当の高齢者らが戸惑ったのは当然ですが、それらも次第に理解され、定着しつつあるといえそうです。今では、約400万人もの人々が、費用の10%負担(他は税45%、保険料45%)で介護保険のサービスを受けているのです。自宅での掃除・洗濯、入浴の介助、施設での数日間のリハビリ等々……。

 では、この制度に問題はないのでしょうか? とんでもありません。
 この10年を振り返ると、財源難を言い立てる政府によって制度・運用が改悪され、サービス利用が制限され続けた、とさえいえそうなのです。その経緯に、一般利用者の声を反映させるべく社会保障審議会の一員として直接かかわってきた著者が、この間の変化を子細に検証、介護現場の実情もリアルに伝えながら具体的な提言を示します。

 最適の著者によるタイムリーな出版。これを一つの手掛かりに、介護保険の今後についての国民的な議論を巻き起こしたいものです。

(新書編集部 坂巻克巳)

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平成二十二年度  歌舞伎鑑賞教室 『恋飛脚大和往来』片岡 我當 進之介 中村 京妙 (6景)

2010-06-24 | 歌舞伎





   平成二十二年度  歌舞伎鑑賞教室




 六月十二日

 大阪クレオ中央で 平成二十二年度 歌舞伎鑑賞教室を楽しむ。

 今年は三年前にもはられた演目『恋飛脚大和往来』

 今回も「封印切」のあと、我當丈出演の「新口村の場」

 我當丈の孫右衛門、片岡 進之介さんの亀屋忠兵衛は同じだが、梅川は中村 京妙が演じられた。

 今回は吉弥さんはいらっしゃらない。

 芝居前の解説は坂東 薪車さん。

 薪車さんは素顔が美しく,チャーミングな方だった。

 また、ユーモアに富んだ方で,話が相当上手い。

 今回の解説は工夫を凝らされ それでいて自然体。

 体験コーナーのテーマは『女形』

 まず初めに指名されていた男性お二人に加えて希望者男性お二人が加わっての合計四人。

 男性にふられるといった設定で最後は泣き崩れるといった小芝居を鳴りきりで楽しんでおられた。

 当然会場中和んだ雰囲気で大笑い。

 坂東 薪車さんの魅力あふれる解説であった。



 続いて「封印切」

 義太夫のお声がすばらしい。

 丹波屋八右衛門は少し声を殺した甘えたような台詞の言い回しだったが、忠兵衛役の役者さんの言い回しは素晴らしくよかった。

 はずかしながら、名前は知らない。



 今回の「封印切」は『ええい、もうええ。切ってしもたろ。』(関西弁以下同様)

ではなく、
 
 『しもたぁ。(切れてしもたぁ)』

の方をとられた。

 これは三年前の歌舞伎教室と同様。

 もしかすれば私が知らないだけで、松嶋屋さんの表現は後者『しもたぁ。(切れてしまったぁ)』なのだろうか。

 歌舞伎は知らないことが多い。



 待ってましたの「新口村の場」、我當丈が出てこられると嬉しくてならない。

 杖をついてとぼとぼと出てこられた姿は朝の光景を思い出し、また先代仁左衛門はんは支えられて出てこられた姿を思い出す。
 
 芝居がすすむにつれ涙が流れ、どうしようもない。

 まわりですすり泣く声がかすかに漏れる。

 ところが、孫右衛門の

「(どうぞつかまっておくれ)今やない!今やない。

の台詞で会場中大爆笑。

 最近なのかどうなのか、ここのところ特に気にかかる。

 歌舞伎舞台において こういった悲しい切ない場面で爆笑といったことに度々出くわす。

 女形が泣き崩れての泣く声(台詞)に大笑い、台詞の決め所(名台詞)で爆笑といったこともまれではない。

 一瞬気持ちをそがれるのは悲しいものだ。



 梅川忠兵衛を涙ながらに見守る孫右衛門。
 
 最終の 
          あぁあぁあ、あぁあぁあ、あぁぁ(歌

          ばさっ! 

     (同時に)手を組み、タイミング良く祈り込む。


 おしい。
          ばさっ! 

     (同時に)手を組み、タイミング良く祈り込む。
が微妙にずれた。

 雪が落ちるのが少し早く、組む手が少し遅れたように感じ、お気の毒だった。



 今回も 我當丈の歌舞伎教室は面白かった。

 これからも味わい深い我當丈の芝居を観たいと心より願っている。

 いつまでもいつまでも舞台を楽しみたい我當丈の御健康を願って・・・。
















松竹株式会社 歌舞伎美人より ▼

巡業

平成二十二年度
歌舞伎鑑賞教室
歌舞伎・その美と歴史への招待

平成22年7月15日(木)~23日(金)


一、歌舞伎へのご案内

              解説  坂東 薪 車


二、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)

  新口村の場

            孫右衛門  片岡 我 當
           亀屋忠兵衛  片岡 進之介
            傾城梅川  中村 京 妙


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