2010年度 105册目
『蛇儀礼』
原書名:SCHLANGENRITUAL EIN REISEBERICHT(Warburg,Aby M.)
ヴァールブルク 著
三島憲一 訳
岩波文庫
岩波書店
2008年11月14日 204ページ 588円
岩波文庫『蛇儀礼』を読む。
『蛇儀礼』、題名を見ただけでもわくわくする。
本書はヴァールブルクが重度精神病で、スイスのクロイツリンゲンにある病院に入院した時に院内で講演したものを収録し文字におこしたという。こんなものは特定の人以外には絶対に目にさらさないでといった内容が印象的。
『蛇儀礼』は五穀豊穣に関連しているようだ。
その方法は特殊で、絵や砂絵に薬酒の頭を浸した蛇を投げつけ、雨を起こす。
踊りの際の赤い毛皮を方からかけるのは雨が降るようす
人間を超えた神の力に与ろうという魔術儀礼的 恐ろしい秘技
40日間女を神と崇拝した後生け贄(60)
上に記した踊りの際の赤い毛皮を方からかけるのは雨が降るようすは日本の虫送りの時期に行われる神事や祭を思い出す。
傘にまつわる田植え頃の祭は天との交信といった意味もあると何かに書かれていたが、上を考えると、雨乞いの意味も大きいと気づいた。
直接日本に当てはまるとは言わないが、比較顕彰する価値は大いにあるのだろう。
階段
女性の髪のくくりは蛇の頭を思い浮かべる
蛇の象徴的な描き方
蛇の象徴的な描き方はメキシコは上からぶら下がったよう。頭は三角で雷 或は雨が降っているようにあらわされている。
蛇を描く方法は各国色々あるが、ナスカ尚蛇の描き方は面白いので心に残っている。
世界的に考えても人の脇から蛇が出ている絵が多い。
これはどういった意味があるのかとかねてから疑問に思っているが、未だ、解決の糸口を持たない。
ドイツの美術史家ヴァールブルク(1866-1929)が目撃した世紀末(ファン・ド・シエクル)アメリカの宗教儀礼.蛇は恐怖の源か,不死の象徴か.新興国に息づく動物崇拝は,やがてギリシア・ローマやキリスト教の蛇のイメージとも交錯し,合理と非合理の彼方を暗示.ユダヤとヨーロッパの伝統の相克に苦しんだ巨大な知の,精神の病からの生還儀礼としても著名な講演.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ウィキペディアより▼ (2010、06、27)
アビ・ヴァールブルク
アビ・ヴァールブルク(1900年ごろ)
アビ・モーリッツ・ヴァールブルク(Aby Moritz Warburg, 1866年6月13日 - 1929年10月26日)はドイツの美術史家。
ハンブルクの富裕なユダヤ人銀行家の家庭に生まれ育つ。祖先はイタリアからドイツに移住したセファルディム。ボンとミュンヘンとストラスブールで考古学と美術史のほか、医学、心理学、宗教史を学ぶ。博士論文のテーマはボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』と『プリマヴェーラ』だった。
長男だったが家業の相続を嫌い、家督を弟に譲る代わりに、生家の経済的援助で好きな学問を生涯追究し続けた。フィレンツェで美術を研究する一方、1896年には米国に旅して、ホピ族に関する人類学的研究をおこなう。「蛇儀礼」がその論考である。
ヨーロッパに戻り、個人的蒐集物の保存と公教育に資することを意図し、ヴァールブルク文化学図書館(Kulturwissenschaftliche Bibliothek Warburg)を設立。
鬱病と統合失調症を患い、1921年、スイスのクロイツリンゲンにあったルートヴィヒ・ビンスヴァンガーの神経科医院に入院。1924年、医師や患者仲間たちの前で高度な学術的講義をおこなうことで正気を証し、退院を許される。
晩年の5年間は、ヴァールブルク文化学図書館で研究生活に没頭。精神病の再発を気遣いつつも、未完に終わった「ムネモシュネ・アラス」への主要論文を執筆。ハンブルクで心臓病のため死去。
ヴァールブルクの死後、ヴァールブルク文化学図書館は国家社会主義ドイツ労働者党の台頭を避けてイギリスロンドンに移転し、ロンドン大学附属のウォーバーグ研究所 (Warburg Institute)となった。
邦訳著作 [編集]
『ヴァールブルク著作集』全7巻 伊藤博明・岡田温司ほか訳、ありな書房、2003~06年
1. サンドロ・ボッティチェッリの「ウェヌスの誕生」と「春」
イタリア初期ルネサンスにおける古代表象に関する研究
2. フィレンツェ市民文化における古典世界
3. フィレンツェ文化とフランドル文化の交流
4. ルネサンスの祝祭的生における古代と近代
5. デューラーの古代性とスキファノイア宮の国際的占星術―付:図(1枚)
6. ルターの時代の言葉と図像における異教的=古代的予言
7. 蛇儀礼 北アメリカ、プエブロ・インディアン居住地域からのイメージ
『異教的ルネサンス』 進藤英樹訳、ちくま学芸文庫 2004年
「デューラーの・・・」と「ルターの・・・」の一部を所収
『蛇儀礼』 三島憲一訳 、岩波文庫 2008年