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「比叡山横川にありし某の徳の高ける僧都がいたり()」
「その僧都八十・五十の母妹いて古い願あり初瀬に参る()」
「帰り路奈良坂辺りにさしかかり母が疲れで悪くなりたり()」
「宇治あたり知り合いがいて宿を乞い休ませたれど快方をせず()」
「その様子横川へ知らせば万が一思って僧都かけつけにけり()」
「加持をして騒いでいたら主人来て御嶽精進気にしていたり()」
「母君を連れて出ようとしたれども方角悪く仮宿探す()」
「宇治院というとこありて院守を知っているとて使いを出せる()」
「宇治院はたいそう荒れて恐ろしげ大徳に言い経を読ませる()」
「逞しい法師に松明灯させて寝殿の裏見回りに行く()」
「生い茂る木の下の方見つめると何かわからず白いものあり()」
「火を持ちし僧が近づき様子見る長い髪してさめざめと泣く()」
「狐とか木霊の精かと騒げれどとにかく人と思い助ける()」
「比叡山横川にありし某の徳の高ける僧都がいたり()」
「その僧都八十・五十の母妹いて古い願あり初瀬に参る()」
「帰り路奈良坂辺りにさしかかり母が疲れで悪くなりたり()」
「宇治あたり知り合いがいて宿を乞い休ませたれど快方をせず()」
「その様子横川へ知らせば万が一思って僧都かけつけにけり()」
「加持をして騒いでいたら主人来て御嶽精進気にしていたり()」
「母君を連れて出ようとしたれども方角悪く仮宿探す()」
「宇治院というとこありて院守を知っているとて使いを出せる()」
「宇治院はたいそう荒れて恐ろしげ大徳に言い経を読ませる()」
「逞しい法師に松明灯させて寝殿の裏見回りに行く()」
「生い茂る木の下の方見つめると何かわからず白いものあり()」
「火を持ちし僧が近づき様子見る長い髪してさめざめと泣く()」
「狐とか木霊の精かと騒げれどとにかく人と思い助ける()」