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「神亀なる時に騒動起こりたり勅令出でる謹慎せよと
(四年丁卯ヒノトノウ春正月、諸王オホキミタチ諸臣子等に勅して、
授刀寮に散禁ハナチイマシめたまへる時によめる歌一首、また、短歌)」
「1.葛草の這う春日山打ち靡く春がきたれば霞たな引く()」
「2.高圓タカマドに鴬鳴きて物部モノノフの八十伴男ヤソトモノヲは情がさわに()」
「3.いつもなら春を楽しむ宮人も道にも出でず恋ふるこの春()」
「真葛マクズ延ハふ春日の山は打ち靡く春さりゆくと山の辺に霞たな引き高圓タカマドに
鴬鳴きぬ物部モノノフの八十伴男ヤソトモノヲは雁が音の来継ぎこの頃かく継ぎて
常にありせば友並ナめて遊ばむものを馬並めて行かまし里を待ちがてに吾がせし
春をかけまくもあやに畏し言はまくも忌々ユユしからむとあらかじめかねて知りせば
千鳥鳴くその佐保川に石イソに生ふる菅の根採りて偲シヌふ草祓ひてましを行く
水に禊ミソぎてましを大王の命畏み百敷の大宮人の玉ほこの道にも出でず恋ふる
この頃(#6-0948)」
「梅柳過ぐらく惜しみ佐保の内に遊びし事を宮もとどろに(反し歌一首#6-0949)」
「梅柳季節を惜しみつい出掛けえらいめにあう宮も轟き()」
「春日野に集いあそべり宮人が宮中空でおとがめがあり(右、神亀四年正月、
数王子マタ諸臣子等、春日野ニ集ヒ、打毬ノ楽ヲ作ス。其ノ日、忽チニ天陰リ、
雨フリ雷ナリ電イナビカリス。此ノ時宮中ニ侍従マタ侍衛無シ。勅シテ刑罰ニ行ヒ、
皆授刀寮ニ散禁シテ、妄リニ道路ニ出ヅルコトヲ得ザラシメタマフ。時ニ悒憤シテ、
即チ斯ノ歌ヲ作ム。作者ハ詳ラカナラズ。)」
「神亀なる時に騒動起こりたり勅令出でる謹慎せよと
(四年丁卯ヒノトノウ春正月、諸王オホキミタチ諸臣子等に勅して、
授刀寮に散禁ハナチイマシめたまへる時によめる歌一首、また、短歌)」
「1.葛草の這う春日山打ち靡く春がきたれば霞たな引く()」
「2.高圓タカマドに鴬鳴きて物部モノノフの八十伴男ヤソトモノヲは情がさわに()」
「3.いつもなら春を楽しむ宮人も道にも出でず恋ふるこの春()」
「真葛マクズ延ハふ春日の山は打ち靡く春さりゆくと山の辺に霞たな引き高圓タカマドに
鴬鳴きぬ物部モノノフの八十伴男ヤソトモノヲは雁が音の来継ぎこの頃かく継ぎて
常にありせば友並ナめて遊ばむものを馬並めて行かまし里を待ちがてに吾がせし
春をかけまくもあやに畏し言はまくも忌々ユユしからむとあらかじめかねて知りせば
千鳥鳴くその佐保川に石イソに生ふる菅の根採りて偲シヌふ草祓ひてましを行く
水に禊ミソぎてましを大王の命畏み百敷の大宮人の玉ほこの道にも出でず恋ふる
この頃(#6-0948)」
「梅柳過ぐらく惜しみ佐保の内に遊びし事を宮もとどろに(反し歌一首#6-0949)」
「梅柳季節を惜しみつい出掛けえらいめにあう宮も轟き()」
「春日野に集いあそべり宮人が宮中空でおとがめがあり(右、神亀四年正月、
数王子マタ諸臣子等、春日野ニ集ヒ、打毬ノ楽ヲ作ス。其ノ日、忽チニ天陰リ、
雨フリ雷ナリ電イナビカリス。此ノ時宮中ニ侍従マタ侍衛無シ。勅シテ刑罰ニ行ヒ、
皆授刀寮ニ散禁シテ、妄リニ道路ニ出ヅルコトヲ得ザラシメタマフ。時ニ悒憤シテ、
即チ斯ノ歌ヲ作ム。作者ハ詳ラカナラズ。)」