10/9
「この頃も36センチは大雪か拙なき思いを歌にたくせり(十一日、大雪落積ツもれること、尺有二寸。因カレ拙懐オモヒを述ぶる歌三首)」
「大宮の内にも外トにもめづらしく降れる大雪な踏みそね惜し(歌三首 1/3 #19.4285)」
「大宮の内にも外にもめづらしく降れる大雪を踏ないで惜しい()」
「御苑生ミソノフの竹の林に鴬はしば鳴きにしを雪は降りつつ(歌三首 2/3 #19.4286)」
「御苑生の竹の林に鴬が鳴いているのに雪も降りつつ()」
「鴬の鳴きし垣内カキツににほへりし梅この雪にうつろふらむか(歌三首 3/3 #19.4287)」
「鴬が鳴いた垣内に咲き誇る梅この雪で散ってしまうか()」
10/9
「宴ありなんの宴かわからぬも石上朝臣宅嗣の家にて(五年正月ムツキの四日、治部少輔石上イソノカミ朝臣宅嗣ヤカツグが家にて、宴する歌三首)」
「言コト繁み相問はなくに梅の花雪にしをれて移ろはむかも(歌三首 1/3 #19.4282 右の一首は、主人アロジ石上朝臣宅嗣。)」
「いそがしく声かけぬまに梅の花雪に萎れて散るのでしょうか()」
「梅の花咲けるが中に含フフめるは恋や隠コモれる雪を待つとか(歌三首 2/3 #19.4283 右の一首は、中務大輔茨田王マツタノオホキミ)」
「梅の花咲いてるなかに蕾あり恋の予感か雪を待つのか()」
「新アラタしき年の初めに思ふ共ドチい群れて居れば嬉しくもあるか(歌三首 3/3 #19.4284 右の一首は、大膳大夫道祖王ミチノヤノオホキミ)」
「新アラタしき年の初めにつくづく思う仲間で群れて居れば嬉しい()」