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「大王の命かしこみ磯に触り海原ウノハラ渡る父母を置きて(1/3 #20.4328 右の一首は、某郡助丁スケノヨホロ、丈部造人麿)」
「大王の拝命ゆえに磯に触れ海原をかける父母あとにして()」
「八十ヤソ国は難波に集ひ船飾り吾がせむ日ろを見も人もがも(2/3 #20.4329 右の一首は、足下郡アシカラノシモの上丁カミツヨホロ、丹比部國人)」
「諸人ら難波に集い船飾り吾がする姿見る人もいて()」
「難波津に装ひ装ひて今日の日や出でて罷マカらむ見る母なしに(3/3 #20.4330 右の一首は、鎌倉郡の上丁、丸子連多麿オホマロ。)」
「難波津に装ひこらし晴れの日に出かけまいれる見る母なしに()」
「相模から来る防人の歌八つ拙き五首は載せないという(二月の七日、相模の国の防人部領使、守カミ従五位下藤原朝臣宿奈麿スクナマロが進れる歌の数八首。但し拙劣ツタナき歌五首は、取載アげず)」