映画「別離」:戦後の復興期の日本が小津や黒澤や溝口を生んだ時にも似て 2012年06月10日 10時36分23秒 | 映画(新作レヴュー) アメリカがかつて「悪の枢軸」と呼んだ国,そのイランの映画に,自国で最も権威のある映画賞(アカデミー賞外国語映画賞)を贈った。それだけでも充分に大ニュースと言える出来事だが,作品の内容はそれ以上に数多くの驚きと謎に満ちている。劇中,音楽はほとんど流れないのに,感情を揺さぶるヴィヴィッドなメロディと難解なコードを組み合わせた複雑な構成が同居する,よく出来た室内楽を聴いたような気分になれる。けっして観客 . . . 本文を読む