映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」:矜持を保って生き抜く覚悟 2016年12月03日 13時43分50秒 | 映画(新作レヴュー) 極端に少ない台詞。動かないカメラ。対象を見つめる静かな視線。92分に凝縮された濃密な時間。一見すると21世紀にロベール・ブレッソンが甦ったかのように見える作品だ。 だが決定的に異なる点がある。ブレッソン作品では一部の例外を除いて,主要な登場人物に素人や無名の役者を多く配することにより,観客の既視感や先入観を排除して匿名性を普遍性に昇華させていたのに対し,本作の監督であるステファヌ・ブリゼは,ヴァン . . . 本文を読む