子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2016年J2リーグ第9節 札幌 VS C大阪【1:0】

2016年04月23日 16時38分57秒 | サッカーあれこれ
試合が始まってしばらくは「これこそが本来J1で戦うべきチーム」なのだろうと,半ば呆気にとられながら,ひたすらセレッソのパス廻しを見せつけられる展開だった。選手間の距離が近く,コンパクトな陣形を保ちながらスピーディーにピッチ上を動き回られる中,札幌はまるでカテゴリーがひとつ上のチームと無理矢理対戦させられたユースチームのように,常に一歩遅れてボールを追いかけるという状態だった。
しかしサッカーにおける90分間という時間は,時に日常生活におけるものとは異なり,実に色々なことが起こるだけの長さとなることがある。
この日の札幌ドーム内に流れた90分間もまた,観客の想像を超える,実にドラマティックなものとなった。

前半の半ばを過ぎた辺りから札幌は,大阪のパススピードに徐々に反応できるようになっていく。特に久しぶりに先発で起用された内村が,どんなに相手に翻弄されてもあきらめることなく相手FWにプレスをかけ続けている内に,イーヴンのボールが増えていき,それを拾うべく前線と中盤の間の距離が縮まっていったことによって,カウンターに迫力が増していく。
病気から復帰した後の都倉のコンディションが,依然として上がってこない中,内村のダッシュ力と,増川を中心として廻されてもフィニッシュだけは自由にさせないというディフェンスの頑張りが,次第にゲームの重心が札幌側に寄っていくという,まさかの(失礼)展開へと繋がっていった。

後半に入ると,中盤のルーズボール争いにおける出足で負けることが多くなるのは,逆に大阪となっていく。
関口,玉田と,かつての日本代表で活躍した選手を次々に投入することで,主導権を奪い返そうとする大阪に対して札幌は,久々の長丁場にも拘わらず身体のキレが衰えない内村が,19分に作り出したGKとの1対1こそ決めきれなかったものの,ジュリーニョが長い(時に長すぎることが幾度もあったが…)ドリブルで相手の選手を引き付ける攻撃によって,セレッソDF陣の脚からスピードを奪っていく。

仕上げは攻撃陣の中心となっていたジュリーニョから内村,更に途中交代で出場した稲本と繋がった見事なカウンターだった。特に稲本のゴールは,内村のシュートに対する相手GKキム・ジンヒョンのセーヴを見ていたからか,実に冷静に浮き球によってキムが伸ばした手をかわしたもので,若い選手たちへの最高のお手本となったことだろう。
強いセレッソに対して,90分間の中で適応できるポテンシャルを見事に証明した札幌の正念場は,下位に沈む徳島との次戦。くれぐれも,相手に合わせて「J2らしい」試合に落ち込むことがないよう切に望む。


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