子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.5:「夏の恋は虹色に輝く」

2010年08月09日 23時30分40秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
全般的な退潮傾向が続くTVの連続ドラマにあって,比較的安定した数字を残してきたジャニーズ組。その親分格とも言える木村拓哉が満を持して月9に臨んだ「月の恋人」だったが,8回平均の視聴率で,11回に亘ってコンスタントな数字を残した内野聖陽「臨場」に完敗を喫した。「臨場」が人気シリーズの続編とはいえ,渋い配役と受け狙いを排した地味な展開にも拘わらず,17%を超える視聴率を叩き出した背景には,明らかにドラマ視聴者層の高年齢化があると言って間違いないだろう。

もう既に連ドラは,これまでの最大の支持層だったOLを含めた若い人たちのトレンド・リーダーではなくなっており,逆にリタイヤ組も含めた中高年齢層の取り込みこそが,輻輳するメディア間競争の中で生き残る唯一の道だということを,受け容れなければならない時期に来ているのかもしれない。
ただ,そのことは,即ドラマの主人公の高年齢化や,時代劇・警察もの等への特化を意味する訳ではない。制作者は,ひとつの「物語」を語るメディアとしての明確な意識に基づく丁寧な制作姿勢や,TVという媒体を見つめ直して新たなプログラムを創造していこうとするチャレンジ精神を持たなければならない,という読替を行わなければ,失った数字は戻ってこないだろう。

だがその兆しはすでにある。前者の代表は前期の「Mother」であり,後者は今期の「ジョーカー」であり,「熱海の捜査官」だ。チャレンジするところに道は拓ける…はずだ。「みんな頑張れぇ!」(FC東京今野風)。

という訳で,苦杯を喫したキムタクの後塵を拝して登場してきたのが,嵐の松本潤と竹内結子の共演を,大森美香がサポートするという磐石の布陣で臨んだ「夏の恋は虹色に輝く」だ。
うーん,しかし何かタイトルだけで萎えちゃうな。本当にやる気あるんだろうか,と思いつつ観ては来たが,売れない2世俳優とシングルマザーの純粋な恋というメインプロットに,主演二人の魅力を活かすような捻りは何も加えられていないようだ。

見た目とは裏腹に,不器用だけど純朴で一所懸命に頑張る好青年という「バンビーノ」以来,松潤が得意としてきた役柄の設定に破綻はないが,物語を牽引していくだけのサプライズもない。
竹内結子の天然キャラも今回ばかりはやや過剰さが目立ち(残念ながら「GOLD」の天海祐希も同様だが),いまだ「共感ポイント」を見つけ出せずにいる。子役のうみちゃんは可愛いが,前述の「Mother」に出ていた芦田愛菜の衝撃的な達者さと比べるレヴェルではない。

第3回までの平均の数字は13%台を保ってはいるが(恐らくこの数字も関係者にとってはかなり衝撃的な低さだとは思うが),このまま盛り上がりもツイストも欠いたまま行けば,やがてはもう一つ下のレヴェルに落ち込むことも充分に考えられる。
もっとも私には全く理解できなかった「ブザー・ビート」も,新聞の感想欄を観る限り「80年代ドラマの復活」という捉え方で絶賛していた視聴者も大勢いたようなので,そんな私がここで何かを言う資格があるとは思えないということは,充分に認識しているつもりだ。
そして,数字の行方を注視しているジャニーズ関係者の真剣さもまた,半端なものではないだろうということも。


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