東野圭吾原作のTBS新作ドラマ「新参者」が叩き出した初回視聴率「21.0%」という数字は,関係者にとっては想定内の数字だったのかもしれないが,今シーズンの新作の中ではダントツのロケット・スタートとなった。20%という高いラインを越える作品を「JIN」以来2季振りに送り出したTBSの高笑いが聞こえるようだ。
放映前はベストセラー作家の新作のドラマ化という話題が先行していたが,阿部寛のキャラクターを最大限に活かした脚本,1話きりのゲスト出演者も含めた多彩な登場人物,山下達郎のテーマ曲といった売りに加えて,やはり「日曜日9時」という時間枠が持つ「大人向け」という伝統が受け継がれた丁寧な作り込みが,視聴者に好感を持って受け容れられたという印象だ。
殺人事件の犯人捜しが本格化してきた第2話は,阿部の相手役に夏川結衣という,フジの名作「結婚しない男」の再現となる顔合わせとなった。当然のことだが同作とは異なる設定ながらも,マイペースで一見あらぬ方向に進んでいこうとする阿部と現実主義の夏川のやり取り,プラス寺島進演じる道楽親父との絡みは,軽妙かつ切れ味も鋭く,54分はあっという間に過ぎていった。
一つの事件を縦糸にして,毎回異なるエピソードに決着を付けていくという展開は,原作(未読)の構成に由来するものなのかもしれないが,やはり阿部の性格付けが初回からしっかり決まっているため,展開が拡がっても物語の芯がぶれないのが強みだ。やたらと食べ物に執着し,鯛焼きの行列に並べどもありつけず,コロンボ並みの粘着性を発揮して人の嫌がる所に顔を出し,絶妙の間によって普通の台詞で笑いを取る。正に阿部寛の十八番と言えるようなキャラクターに,敵は見当たらないという感じだ。
泉谷しげる,木村祐一という兼業俳優の使い方も地に足が着いており,お笑いタレントの誤用で全体を台無しにしてしまっている他番組とは一線を画しているが,溝端淳平が埋没しそうな気配は少し気になる。
今後は黒木メイサと阿部との過去の関係が,殺人事件という縦糸の染料になりそうだが,下手に感動誘導過剰にならず,淡々としたユーモアを最後まで保ち続けられれば,もうひとつ上のライン(25%)越えも充分に狙えそうな勢いだ。
今のところは数字通り,今季一番の作品だ。
放映前はベストセラー作家の新作のドラマ化という話題が先行していたが,阿部寛のキャラクターを最大限に活かした脚本,1話きりのゲスト出演者も含めた多彩な登場人物,山下達郎のテーマ曲といった売りに加えて,やはり「日曜日9時」という時間枠が持つ「大人向け」という伝統が受け継がれた丁寧な作り込みが,視聴者に好感を持って受け容れられたという印象だ。
殺人事件の犯人捜しが本格化してきた第2話は,阿部の相手役に夏川結衣という,フジの名作「結婚しない男」の再現となる顔合わせとなった。当然のことだが同作とは異なる設定ながらも,マイペースで一見あらぬ方向に進んでいこうとする阿部と現実主義の夏川のやり取り,プラス寺島進演じる道楽親父との絡みは,軽妙かつ切れ味も鋭く,54分はあっという間に過ぎていった。
一つの事件を縦糸にして,毎回異なるエピソードに決着を付けていくという展開は,原作(未読)の構成に由来するものなのかもしれないが,やはり阿部の性格付けが初回からしっかり決まっているため,展開が拡がっても物語の芯がぶれないのが強みだ。やたらと食べ物に執着し,鯛焼きの行列に並べどもありつけず,コロンボ並みの粘着性を発揮して人の嫌がる所に顔を出し,絶妙の間によって普通の台詞で笑いを取る。正に阿部寛の十八番と言えるようなキャラクターに,敵は見当たらないという感じだ。
泉谷しげる,木村祐一という兼業俳優の使い方も地に足が着いており,お笑いタレントの誤用で全体を台無しにしてしまっている他番組とは一線を画しているが,溝端淳平が埋没しそうな気配は少し気になる。
今後は黒木メイサと阿部との過去の関係が,殺人事件という縦糸の染料になりそうだが,下手に感動誘導過剰にならず,淡々としたユーモアを最後まで保ち続けられれば,もうひとつ上のライン(25%)越えも充分に狙えそうな勢いだ。
今のところは数字通り,今季一番の作品だ。