子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「ボヘミアン・ラプソディ」:世界をドライブする歌があった時代
土の香りが濃厚なアメリカン・ロックの聴き手だった人間にとって,煌びやかな衣装に身を包み,大仰な展開を売りにした,もしくはそんなイメージの強いブリティッシュ・ロックは,一定の距離を置いて付き合う,そんな存在だった。
ザ・バンドやリトル・フィート,スティーリー・ダン等の「見てくれは二の次」的なアーティストとは対極にあると言っても過言ではないクイーンの音楽は,日常的に耳にして当然「知ってはいる」けれども,「こちらからアプローチをすることはない」場所にいるグループだった。それでも本作「ボヘミアン・ラプソディ」の主人公であるフレディ・マーキュリーのキャラクターや,映画やCMに使われてきた楽曲によって,同時代を生きてきた伴走者という意識を強く持っていたこともまた事実。そんな彼らが紡いできた物語が映画化されると聞けば,やはりここは観に行くでしょう,ということで,公開初日の業後に出掛けたところ,なんとびっくり。ユナイテッド・シネマの大きめのスクリーンはほぼ満席。数々のヒット曲やフレディのスタイリッシュな生き方は,年齢を超えて広く浸透していたことを実感することとなった。
エイズに冒され,最早呼吸をするのもやっとというフレディの痛々しい姿で幕を開ける物語は,20分間という限られた時間で世界中を金縛りにしてしまったパフォーマンスを見せる,ライヴ・エイドで幕を閉じる。フレディのクロニクルを映画化するに当たって,早くからゲイであることをカミングアウトしているブライアン・シンガーを監督に起用したことは,大きな意味を持っているように思える。女性と結婚した後に自分の本来の性的指向に気付く,というフレディの苦悩を,シンガーはエキセントリックな要素を排して,静かに,しかし深く潜行していくような筆致で描く。隣家の窓越しのコミュニケーションがもの悲しくも切ない分,お互いの恋人が見守る中で演じたクライマックスのライヴには,感動的なまでの達成感が宿っている。シンガーは制作の終盤で降板したということだが,これは紛れもなく,「X-MEN」シリーズで少数者の悲哀をヒーローに仮託し続けてきた彼にしか撮れなかった「巨大なプライヴェート・フィルム」だと言える。
最初はミック・ジャガーにしか見えなかったラミ・マレック,最後はフレディが憑依したかのように見えるのは,ウェンブリーの再現に要した映像技術以上にマジックだった。ファンの皆さんは,デビュー当時の様子や「ボヘミアン・ラプソディー」レコーディング時の逸話などを楽しんだ上で,是非「WE ARE THE CHANPIONS!」で絶叫を。
★★★★
(★★★★★が最高)
ザ・バンドやリトル・フィート,スティーリー・ダン等の「見てくれは二の次」的なアーティストとは対極にあると言っても過言ではないクイーンの音楽は,日常的に耳にして当然「知ってはいる」けれども,「こちらからアプローチをすることはない」場所にいるグループだった。それでも本作「ボヘミアン・ラプソディ」の主人公であるフレディ・マーキュリーのキャラクターや,映画やCMに使われてきた楽曲によって,同時代を生きてきた伴走者という意識を強く持っていたこともまた事実。そんな彼らが紡いできた物語が映画化されると聞けば,やはりここは観に行くでしょう,ということで,公開初日の業後に出掛けたところ,なんとびっくり。ユナイテッド・シネマの大きめのスクリーンはほぼ満席。数々のヒット曲やフレディのスタイリッシュな生き方は,年齢を超えて広く浸透していたことを実感することとなった。
エイズに冒され,最早呼吸をするのもやっとというフレディの痛々しい姿で幕を開ける物語は,20分間という限られた時間で世界中を金縛りにしてしまったパフォーマンスを見せる,ライヴ・エイドで幕を閉じる。フレディのクロニクルを映画化するに当たって,早くからゲイであることをカミングアウトしているブライアン・シンガーを監督に起用したことは,大きな意味を持っているように思える。女性と結婚した後に自分の本来の性的指向に気付く,というフレディの苦悩を,シンガーはエキセントリックな要素を排して,静かに,しかし深く潜行していくような筆致で描く。隣家の窓越しのコミュニケーションがもの悲しくも切ない分,お互いの恋人が見守る中で演じたクライマックスのライヴには,感動的なまでの達成感が宿っている。シンガーは制作の終盤で降板したということだが,これは紛れもなく,「X-MEN」シリーズで少数者の悲哀をヒーローに仮託し続けてきた彼にしか撮れなかった「巨大なプライヴェート・フィルム」だと言える。
最初はミック・ジャガーにしか見えなかったラミ・マレック,最後はフレディが憑依したかのように見えるのは,ウェンブリーの再現に要した映像技術以上にマジックだった。ファンの皆さんは,デビュー当時の様子や「ボヘミアン・ラプソディー」レコーディング時の逸話などを楽しんだ上で,是非「WE ARE THE CHANPIONS!」で絶叫を。
★★★★
(★★★★★が最高)
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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特に『ライブ・エイド』を完全再現(!)のラスト20分は必見!ウェンブリーに行けなかったファン全員への超特大クリスマス・プレゼントですっ!今までクイーンのファンを続けてきたヒトたちへの『ご褒美』に違いありません!
是非観に行ってください。いや行くのです。行け!ゼッタイ行け!