子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「ジャージーボーイズ」:オーソドックスの頂点を極める
周防正行のエンターテインメント路線復帰作「舞妓はレディ」のエンドクレジットと同じく,この作品のエンドロールでも出演者総出でダンスが繰り広げられる。しかしその踊りが醸し出すクライマックス感とも言うべき感触,盛り上がりの違いは歴然としている。ドラマの厚みとうねりの総量で圧倒する本作は,「映画監督」クリント・イーストウッドのキャリアの中でも,特別の位置を占める作品となった。
下町のちょっとやさぐれた若者たちが,ギャングとのしがらみの中でもがきながら,スターダムをのし上がっていく。絵に描いたようなアメリカン・ドリームを,奇を衒うことなくシンプルな物語としたミュージカルの映画化作品だが,本国での評価は,高い評価を得ていたという本家のミュージカル版との兼ね合いもあってか,さほど高くはなかったらしい。
しかし編集のジョエル・コックス,撮影のトム・スターンと組んだ鉄板トリオが紡ぐイーストウッド版「ジャージー・ボーイズ」は,「ミリオンダラー・ベイビー」や「グラン・トリノ」のような劇的な展開を持たないにも拘わらず,それら激賞された諸作に勝るとも劣らない,満足感を与えてくれる。
会話のシーンにおける何気ないカットの切り返し。クローズアップとロングショットのコンビネーション。滑らかな移動撮影に,静かに鳴り続ける白玉(全音符)を多用した弦楽器による背景音楽。
イーストウッド作品を特徴付けるいくつかの要素が,ここでは最高水準で融合して,観客をスポットライトが照らすステージ中央へと連れ去る。クリストファー・ウォーケン以外,(映画界では)有名な俳優がいないにも拘わらず,いずれも「彼らでなくては」と感じさせる,見事なキャストにも拍手。
父と娘の確執という,イーストウッド作品における永年のオブセッションとも言えるテーマも通奏低音として映画を引き締め,クライマックスの「君の瞳に恋してる」のステージで,ブラス・セクションの前に下ろされていた幕が一気に上がる瞬間,永遠にこの時間が続いて欲しいと祈ったのは私だけではないはず。
★★★★★
(★★★★★が最高)
下町のちょっとやさぐれた若者たちが,ギャングとのしがらみの中でもがきながら,スターダムをのし上がっていく。絵に描いたようなアメリカン・ドリームを,奇を衒うことなくシンプルな物語としたミュージカルの映画化作品だが,本国での評価は,高い評価を得ていたという本家のミュージカル版との兼ね合いもあってか,さほど高くはなかったらしい。
しかし編集のジョエル・コックス,撮影のトム・スターンと組んだ鉄板トリオが紡ぐイーストウッド版「ジャージー・ボーイズ」は,「ミリオンダラー・ベイビー」や「グラン・トリノ」のような劇的な展開を持たないにも拘わらず,それら激賞された諸作に勝るとも劣らない,満足感を与えてくれる。
会話のシーンにおける何気ないカットの切り返し。クローズアップとロングショットのコンビネーション。滑らかな移動撮影に,静かに鳴り続ける白玉(全音符)を多用した弦楽器による背景音楽。
イーストウッド作品を特徴付けるいくつかの要素が,ここでは最高水準で融合して,観客をスポットライトが照らすステージ中央へと連れ去る。クリストファー・ウォーケン以外,(映画界では)有名な俳優がいないにも拘わらず,いずれも「彼らでなくては」と感じさせる,見事なキャストにも拍手。
父と娘の確執という,イーストウッド作品における永年のオブセッションとも言えるテーマも通奏低音として映画を引き締め,クライマックスの「君の瞳に恋してる」のステージで,ブラス・セクションの前に下ろされていた幕が一気に上がる瞬間,永遠にこの時間が続いて欲しいと祈ったのは私だけではないはず。
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