子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2011年TVドラマ冬シーズン・レビューNO.2:「大切なことはすべて君が教えてくれた」

2011年02月07日 20時14分44秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
不作だ。ドラマ・レビュー歴は長くないので,余り偉そうなことは言えないのだが,それでもかつてないほど酷いと言いたくなるほどに。
前期は「Q10」に「SPEC」,更には「フリーター,家を買う。」に「流れ星」と,実験的な野心作からオーソドックスなホームドラマまで,観るべき作品が山のようにあり,我が家のレコーダーは週末の超過勤務に怯えていたほどの豊作だったということはある。そんなゴールデン・シーズンに比べるのもどうかとは思うが,それにしても今期のヴァラエティの少なさは目を覆うばかり。確かに前期も女性調査官もので「黄金の豚」と「ナサケの女」が完全に重なったり,「医龍3」と「獣医ドリトル」はテイストこそかなり違えど,腕一本の医者道に政治を絡めたという展開が,かなり似ているということはあったが,今期の「捜査もの」6本というのは,どうにかならなかったものか。

この中で,「ゲゲゲの女房」の松下菜穂と「ホタルノヒカリ」の藤木直人によるプロファイリングもの「CONTROL」が,数字の上では勝利を収めつつあるようだが,ドラマとしては「ガリレオ」と「ホタルノヒカリ」を足して3で割ったような薄味で,まるで食指が動かない。
「LADY」の初回のひどさは既にNO.1で書いたが,今が旬の北川景子に対する期待を第1回の13.8%という数字に込めた視聴者も完全に愛想を尽かしたようで,第4回はとうとう6.8%という,初回の半分以下という水準にまで落ち込んでいる(第2回以降は未チェックなので,内容には言及できないが)。

そんな中で,設定と配役で「新鮮さ」を打ち出してきた月9「大切なことはすべて君が教えてくれた」は,沢尻エリカのデビュー時を凌ぐインパクトを持った新星,武井咲(たけいえみ)の本格デビュー作として,本来の月9とは異なるポジションながら,独自のニッチ(隙間)を見つけつつあるような感触がある。
武井咲のドラマデビューは「オトメン」ということだが,私はドラマ界の鉄板女優天海祐希にして見事にずっこけたトンデモドラマ「GOLD」で,反町隆史を圧倒していた眼力演技が記憶に残っている。このところのCMラッシュでお茶の間への浸透度も凄いものがあるが,本作での病気と心の闇を抱えた女子高校生という役柄は,その眼力を活かすという点で言えば,及第点を付けられるものだろう。

だがドラマ自体は,三浦春馬がどうやっても高校教師には見えないという決定的な弱点をいまだ克服できないまま進んでいる。
私にとっては初顔となる脚本の安達奈緒子は,様々な問題(例えば高校生同士のセックスに対する教訓等々)を,そんな三浦のモノローグで決着させるという荒技を繰り出すことによって,本筋とは関係ないところで自らリズムを崩しているように見える。
回が進んでも,脇役(道化役の男子高校生や篠田麻里子など)が一向に物語の核に絡めず空転している,という状態を脱することが出来ないでいるのも何だかなぁ,という感じだ。

それでも武井咲の存在は,スリラーとしてのラブ・ロマンスを引っ張る原動力になっている。CMでの露出度の向上と合わせて,10年代のディーヴァになり得る可能性は高い。
ただ,彼女のためのドラマになってしまうという危惧は十分にありながら,それでもヒロインを引き受けた戸田恵梨香の侠気こそが,このドラマの最大の見どころかもしれない。これまでのところは完全に埋没している彼女の,終盤における逆襲があるのかないのかは分からないが,22歳のヴェテラン(?!)としての渋い受けの演技に期待したい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。