2018年J1リーグ第34節 札幌 VS 広島【2：2】

当初は残留が目標だった札幌にとって，残留を賭けた試合になることだけは避けたかった最終戦が，よもや世界へはばたくパスポートとなるACL出場権を争う試合になるとは誰が想像しただろう。勝てば３位の鹿島の結果に関係なくACL出場のチャンスが得られる広島との直接対決となった最終戦。３万４千人を超える観客が詰めかけたが，残念ながら開幕戦でやられた相手にリヴェンジを果たすことは叶わなかった。

前線で４人の選手が絡んで，最後にチャナティップが決めた先制点。ジェイのワールドクラスの技術が光った追加点。開幕戦では完封されてしまった相手に，まさか前半で２点をリードするという展開になるとは予想しなかったが，やはりサッカーは簡単な競技ではない，という結果に終わってしまった。
もっとも試合を通じて中盤の構成力で勝っていたのは広島で，特にサイドを起点に素速くボールを動かす，という札幌が目指していたサッカーを相手にやられていたのは明白だった。

一方の札幌は二人のボランチがいずれも不安定で，サイドとのコンビネーションでボールを奪う，という局面はほとんど見られず，攻撃面での起点にもなっていなかったことは青山が引っ張った広島と対照的だった。
見かねたミーシャは後半途中で深井を下げて宮澤を上げたが，替えるなら同点弾を浴びるきっかけとなった雑なプレーをした荒野の方だったのではないかと感じた。だが３枚の選手交替は残念ながらいずれも功を奏すことはなく，逆にPKを取られていてもおかしくなかった場面が２度ほどあったことを考えると，引き分けで終わってラッキーだったのかもしれない。

結果的にACL出場権を自力で獲得することは出来なかったが，過酷な移動と厳しいスケジュールが待ち受ける大会のことを考えると，まだチームの真の底力はそのレヴェルにはない，という印象を受けた。特に疲れが出た時に集中力を失ったり，相手に勢いがある時に流れを変えることが出来る選手がチャナティップ以外にいない，等の状況を変えるには，まだまだ時間（それと財力もか）がかかりそうだ。
とは言え，勝ち点55の４位という成績は，昇格２年目で財政力の弱いチームとしては本当に信じられないくらい素晴らしいものだ。レンタルで来てチームを活性化させた三好と駒井が残留し，構成力のあるボランチと速いアタッカーを補強できれば，来年も今年の快進撃を再現することは充分に期待できる。とにかくミーシャの抜擢とその指導に応えた選手の皆さんの活躍に，心からの拍手を送りたい。一年間，ご苦労さま＆興奮をありがとう！