子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
TVドラマ「エジソンの母」:複眼的アプローチの勝利
藤原紀香のプロポーションというのは,やっぱり凄い,とユニクロのハイライズ・ジーンズのTVコマーシャルを見て,改めて思う。足の長さは半端じゃないし,今年37歳になるはずなのだが,全身の見事なバランスは,微塵も衰えを見せない。
だがTVドラマでも,映画でも,もうそのプロポーションを全面に出す形では,主役を張ることが難しい次元に入ってしまったように見える。それは,本人が生粋の芸能人よりも,文化人の血の入った「タレント」を目指すという方向性を打ち出したがっているように見えることも,ある程度影響しているのだろうが,やはり一番大きいのは,10年余に亘るドラマ行脚の中で,本人の資質に合ったキャラクターをついに見出せなかった,ということに尽きるのではないかという気がする。
その点で,まさに第2の「藤原紀香」と化す可能性を大いに秘めていた伊東美咲にとっては,TBS「エジソンの母」の「鮎川規子」先生役に巡り会ったことは,ちょっと大げさに言えば,役者としての今後の命運を左右する出来事だったのかもしれない。
初回で元彼役の谷原章介に「家事の出来るバービー人形」と言わせておいて,感動の最終回で見事母性に目覚める教育者に変身していく過程を主軸に据えたドラマは,そのまま女優「伊東美咲」の可能性を膨らませていく物語と重なっていたように見えた。
大森美香の脚本は,鮎川先生の戸惑いや悩みと,「エジソン=花房賢人」の母,花房あおい(坂井真紀)の天然母さん振りを,エジソンへの(当初は)対照的な接し方として描きながら,エジソンの同級生,優しい校長先生,頼りない副担任,エジソンを転校させようと目論む親たち,教育委員会を牛耳る知識人,鮎川先生の元彼と今彼,宇宙の形を考え続ける天才科学者等々,エジソンを取り巻き,彼を見つめる複数の視点を用意することで,ドラマの厚みを増すことに成功した。
鮎川先生というキャラクターがしっかりと2本の足で立ち上がり,伊東美咲の資質さえも輝かせることが出来たのは,その複数の視点がお互いに絡み合い,のっぴきならない状況になっていくことで,鮎川先生がバービー人形としての自分の限界とともに,教師の可能性を初めて認識するようになる所が,丁寧に描かれていたからだ。
見た目は麗しくとも,芯は硬くて面白みに欠ける。でも根は実直で,信頼出来る人間,というキャラクターを,柔らかな笑いとともに造形し得たことは,伊東美咲にとってこの上なく大きな収穫となった。
学校では模範的な教師でありながら,家庭では夫(天才科学者)の奇行に悩まされる学年主任の松下由樹(それにしてもあの凄いヴォリューム感はどうしたことだ?)に代表されるように,登場人物の殆どに多面的なキャラクターを割り当て,それらをドラマの中で機能させた大森美香の底力は端倪すべからざるものがある。
今回のドラマでは演出スタッフとしても名を連ねていたことから,今後は脚本だけに留まらない活躍をする可能性もありそうだ。
内容に反して平均視聴率が10%割れと低迷したのは残念だったが,圧倒的な視聴率を誇ったフジの月曜日のドラマに比べて,目指す所も質の点でもこちらが上回っていたことは,両番組を視聴していた視聴者にとっては明らかだったはず。
遺伝子「不機嫌なジーン」からやくざの高校生「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」,そして本作の英才児教育と来て,大森美香の焦点が次にどこへ向かうのかは予想し難いが,視聴率という判断基準に屈することなく,高い志を持った娯楽作が届けられることを期待したい。
だがTVドラマでも,映画でも,もうそのプロポーションを全面に出す形では,主役を張ることが難しい次元に入ってしまったように見える。それは,本人が生粋の芸能人よりも,文化人の血の入った「タレント」を目指すという方向性を打ち出したがっているように見えることも,ある程度影響しているのだろうが,やはり一番大きいのは,10年余に亘るドラマ行脚の中で,本人の資質に合ったキャラクターをついに見出せなかった,ということに尽きるのではないかという気がする。
その点で,まさに第2の「藤原紀香」と化す可能性を大いに秘めていた伊東美咲にとっては,TBS「エジソンの母」の「鮎川規子」先生役に巡り会ったことは,ちょっと大げさに言えば,役者としての今後の命運を左右する出来事だったのかもしれない。
初回で元彼役の谷原章介に「家事の出来るバービー人形」と言わせておいて,感動の最終回で見事母性に目覚める教育者に変身していく過程を主軸に据えたドラマは,そのまま女優「伊東美咲」の可能性を膨らませていく物語と重なっていたように見えた。
大森美香の脚本は,鮎川先生の戸惑いや悩みと,「エジソン=花房賢人」の母,花房あおい(坂井真紀)の天然母さん振りを,エジソンへの(当初は)対照的な接し方として描きながら,エジソンの同級生,優しい校長先生,頼りない副担任,エジソンを転校させようと目論む親たち,教育委員会を牛耳る知識人,鮎川先生の元彼と今彼,宇宙の形を考え続ける天才科学者等々,エジソンを取り巻き,彼を見つめる複数の視点を用意することで,ドラマの厚みを増すことに成功した。
鮎川先生というキャラクターがしっかりと2本の足で立ち上がり,伊東美咲の資質さえも輝かせることが出来たのは,その複数の視点がお互いに絡み合い,のっぴきならない状況になっていくことで,鮎川先生がバービー人形としての自分の限界とともに,教師の可能性を初めて認識するようになる所が,丁寧に描かれていたからだ。
見た目は麗しくとも,芯は硬くて面白みに欠ける。でも根は実直で,信頼出来る人間,というキャラクターを,柔らかな笑いとともに造形し得たことは,伊東美咲にとってこの上なく大きな収穫となった。
学校では模範的な教師でありながら,家庭では夫(天才科学者)の奇行に悩まされる学年主任の松下由樹(それにしてもあの凄いヴォリューム感はどうしたことだ?)に代表されるように,登場人物の殆どに多面的なキャラクターを割り当て,それらをドラマの中で機能させた大森美香の底力は端倪すべからざるものがある。
今回のドラマでは演出スタッフとしても名を連ねていたことから,今後は脚本だけに留まらない活躍をする可能性もありそうだ。
内容に反して平均視聴率が10%割れと低迷したのは残念だったが,圧倒的な視聴率を誇ったフジの月曜日のドラマに比べて,目指す所も質の点でもこちらが上回っていたことは,両番組を視聴していた視聴者にとっては明らかだったはず。
遺伝子「不機嫌なジーン」からやくざの高校生「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」,そして本作の英才児教育と来て,大森美香の焦点が次にどこへ向かうのかは予想し難いが,視聴率という判断基準に屈することなく,高い志を持った娯楽作が届けられることを期待したい。
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