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日本代表対バーレーン代表【0:1】岡田監督が一番心配だ

2008年03月28日 23時45分30秒 | サッカーあれこれ
中東で過ごした1週間の間に,日本代表チームに何が起こったのだろうか。確かにシステムの問題も大きかったが,それだけではあの何とも形容しようのない退屈な試合を説明する事は出来ないだろう。
1993年のW杯最終予選,イラク戦で浴びたヘディングシュートと同様の軌跡を描いた,柔らかなシュートによって締めくくられた一戦は,ある意味ではあの試合以上の衝撃をもたらした。

人とボールが連動して動くという,言うは易く,実行する事は難しいスローガンが,少しずつ形になり始めた矢先の監督交替。その試練を乗り越えて,再び動き始めた途端のW杯予選の2戦目は,日本時間で深夜1時を過ぎてから決められた相手ゴールに象徴されるように,正に「悪夢」のような90分間だった。
とにかくボールも人も動かない。いや,正確に言えば,ボールは長い距離を動かされていた。ただし人を媒介せずにではあるが。
4バックから3バックへの変更は,もしも「チームの動き方を180度変える」という目標を持って行われたのであれば,その目的は完璧に果たされたと言える。サイドでのボール回しは,サイドバックが絡んでいけない事によって,数的有利を作れずに,毎回ボールを失って終わってしまう。その結果「短いボールを素早く繋ぐ」というこのチーム最大の特徴は簡単に捨て去られ,一応の安全牌に見える,精度の低いロングボールの蹴り合いという泥沼に,自ら飛び込んでいくこととなってしまった。

更に失点シーンに象徴されるように,3バックの一人がサイドに引きずり出された場合のカバーが曖昧だった。加えて中澤以外の二人が本職ではなかったこともあって,中央付近の守りに必要なボランチとの連携は皆無と言っても良く,至る所に広いスペースが生まれることとなった。おかげでバーレーンは,サルミーンを中心とするドリブラーの迫力ある突進を,何度も披露する機会に恵まれた。

攻撃では,2トップが相手の大型DFに完全に押さえ込まれ,前線でのタメが全く作れなかった。おまけにトップフォームにはほど遠い遠藤が先発から外れた事もあって,トップ下に入った山瀬は,ボールを落ち着かせる役割も果たさなければならなくなった。しかし本来は自ら飛び出してボールを受けてこそ生きるタイプの選手だけに,ボールを出す選手がボランチに下がった中村憲剛だけでは,その突破力を存分に発揮させることは出来なかった。アイデアの枯渇,中盤の構成力の低下は,本当に目を覆いたくなるような有様だった。

確かに自分たちのシステムに固執するよりも,相手のやり方に合わせて自らの判断の下で柔軟に選手が動く,という試合運びが理想ではある。硬直したシステムと行き過ぎた管理は,今の日本代表チームには何らの進歩をもたらさないだろう。
しかし同時に,今の日本代表チームは,まだチーム作りのファーストステージにいることも忘れてはならないのではないか。相手の出方云々を言える段階に上がる前の大幅なシステム変更は,単なる戸惑いだけに留まらず,指揮官への不信感をも招きかねない。

スポーツ新聞の報道に依れば,岡田監督は選手の入れ替えも示唆しているらしいが,失点シーンの前に少なくとも3度「決定的な不安定さ」を露呈していた川口以外は,システム変更の影響抜きの論評は難しいのではないだろうか。
チームの方向性に疑問を抱きながらプレーしていたのでは,決して観るものの心を動かす事は出来ない。ここは指揮官がどっしりと構えて,バーレーン戦での「ブレ」を修正し,「俺について来い」という姿勢でキリンカップを迎える事が重要だ。
コーランが流れる異国の地で,代表チームの一員として,のるかそるかの大勝負に参加しているのだ,という喜びを,観るものにも感じさせるような選手の躍動を,オマーン戦では期待したいが,全ては指揮官の肚にかかっている。


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