マイスペースにおける記録破りの聴取回数が評判となって,本格デビュー後,一躍トップアイドルの座に躍り出たリリー・アレンのセカンド。ティーン(公式HPによると「特に同姓」)の琴線をくすぐる歌詞に,自由奔放な発言とそれを裏付けるような恋愛遍歴等々,私生活も含めた「人間リリー・アレン」丸ごとの魅力で人気を集めているようだが,本作は熟成されたサウンドプロダクションと練達のメロディ,そしてニュアンスに富んだリリーの繊細な歌声が高い次元で融合した秀作だ。
複数のプロデューサーを起用したデビュー・アルバムから路線を変更し,本作は前作でも登板していたThe Bird & The Beeのグレッグ・カースティンの単独プロデュースとなったが,曲作りから全面的に関わったグレッグとリリーとの相性は,本業におけるイナラ・ジョージとのそれに負けず良かったようだ。
一聴すると,軽くて透明な,どこにでもあるようなエレクトロニック・ポップという印象を受ける。しかしアナログレコードの針音を背景で活かした12曲目に象徴されるように,あくまで歌を中心に据えて声の響きをどう輝かせるかに腐心したプロダクションとリリーが紡ぐ柔らかなメロディの絡みを何度も聴いていると,呼吸の合った2トップのパス交換を見ているような心地良さを覚えるようになる。
シャウトするでもなく,呟くでもなく,背伸びとも気負いとも無縁に,鋭い視線でメロディの芯を捉えるようなリリーの歌は,つぶらな瞳の魅力とともに,ティーンだけでなく,アラフィフ(そんな言葉あるのか?)のおじさんを含んだ幅広い年代の心を,捕捉してしまうことだろう。
「リリー・アレン」というパブリックイメージのようにセンセーショナルではないが,聴き込むうちに味が出てくる柔軟なポップ感覚は,やはり素晴らしかったThe Bird & The Beeのセカンド・アルバムと往々にして一緒になってしまいそうになるのが,唯一の欠点かもしれない。
グレッグ・カースティン,侮れない,アドレナリン(ジョイマンかっ?)。
★★★★
複数のプロデューサーを起用したデビュー・アルバムから路線を変更し,本作は前作でも登板していたThe Bird & The Beeのグレッグ・カースティンの単独プロデュースとなったが,曲作りから全面的に関わったグレッグとリリーとの相性は,本業におけるイナラ・ジョージとのそれに負けず良かったようだ。
一聴すると,軽くて透明な,どこにでもあるようなエレクトロニック・ポップという印象を受ける。しかしアナログレコードの針音を背景で活かした12曲目に象徴されるように,あくまで歌を中心に据えて声の響きをどう輝かせるかに腐心したプロダクションとリリーが紡ぐ柔らかなメロディの絡みを何度も聴いていると,呼吸の合った2トップのパス交換を見ているような心地良さを覚えるようになる。
シャウトするでもなく,呟くでもなく,背伸びとも気負いとも無縁に,鋭い視線でメロディの芯を捉えるようなリリーの歌は,つぶらな瞳の魅力とともに,ティーンだけでなく,アラフィフ(そんな言葉あるのか?)のおじさんを含んだ幅広い年代の心を,捕捉してしまうことだろう。
「リリー・アレン」というパブリックイメージのようにセンセーショナルではないが,聴き込むうちに味が出てくる柔軟なポップ感覚は,やはり素晴らしかったThe Bird & The Beeのセカンド・アルバムと往々にして一緒になってしまいそうになるのが,唯一の欠点かもしれない。
グレッグ・カースティン,侮れない,アドレナリン(ジョイマンかっ?)。
★★★★