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2011年TVドラマ秋シーズン・レビューNO.1:「私が恋愛できない理由」「家政婦のミタ」

今シーズンのドラマ群は,ここ数年にないスタートダッシュを見せている。キムタク入魂のTBS大河(っぽい)ドラマ「南極大陸」の20%超えを筆頭に,「妖怪人間ベム」の初回18.9%,本屋大賞受賞作のタイムリーなドラマ化作「謎解きはディナーのあとで」の平均17.22%と,「鈴木先生」の10倍近い人たちが視聴している作品が目白押しだ。ドラマの質が突然向上したのか,震災後の時間の経過と共に視聴者側にドラマを楽しむ余裕が出てき始めたのか,理由の分析は専門家に譲るが,コミックや小説を原作としないオリジナル・ドラマが,数字を取っているのを見るのは純粋に嬉しいものだ。

フジ月9枠で始まった「私が恋愛できない理由」も,新進女性脚本家二人がペンを取ったオリジナル・ドラマだが,ここまでの平均で16.43%と数字的には及第点の滑り出しとなった。
香里奈,吉高百合子,大島優子と,形振り構わず旬の顔を揃えて数字を取りに来た姿勢も,ここまで来ればいっそ潔いくらいだが,少なくとも数字に限ればその成果は出ているようだ。

若い女性3人のルーム(ハウス)シェア,洒落たインテリア,ひと世代上のプロの夫婦,恋に踏み出せない臆病な美女。まぁ,私のような中高年男性にとっては,どう見ても浮世離れしているとしか思えない設定は良しとしよう。だが,「ガテン」系の照明屋に香里奈を持ってくるというキャスティングだけは,どうにかならなかったものか。
同局の「フリーター,家を買う。」(スペシャル版でも好演)で見せた自然体の土木エンジニアがはまっていただけに,同じ匂いのする職業人ならこなせると踏んだのかもしれないが,同作における「千葉ちゃん」は,現場仕事をこなしながらも常に上品かつフェミニンな雰囲気を醸し出していたからこその香里奈だったのだ。
そこを読み誤って,骨の髄まで恋愛下手のガテン系をやらせても,ただ痛々しいだけということに気付かなかった制作陣の失策は,やがて数字に出てくるだろう。

その点,「ハケンの品格」での篠原涼子のブレイクよもう一度,という雰囲気が濃厚な日本テレビ「家政婦のミタ」の方は,松嶋菜々子のイメージ刷新という狙いが明確な分だけ,ドラマとしての安定感はある。
人格的に破綻している部分を抱えながらも,依頼人の要請にはパーフェクトに応えるという「ミタ」さんのキャラクターは,家政婦というかつて市原悦子がメジャーにした絶滅危惧職業をテーマに据えた点でも,連続ドラマに欠かせない「なかなか解き明かされない謎」という点でも,申し分ない。

せっかく「鈴木先生」によって1本立ちしながら,映画版「セカンド・バージン」で大コケしてしまった長谷川博己にとっても,この作品はターニング・ポイントになる可能性がある。
年齢不詳のしゅっとしたお父さんキャラ,という日本のドラマ界にはなかった立ち位置を確立できるかどうか,松嶋以上の覚悟と演技力が求められていることを「小川さん」,教えてあげてね。
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