まさかの大勝から一週間。この間,札幌は思いがけないトピックスにより,何度も全国ニュースに取り上げられることとなった。
ひとつはワイドショー的な話題に昇華してしまった「消えたストライカー」。勿論,チームの3得点目となるゴールを奪ったアンデルソン・ロペスが,歓びのあまり広告ボードを飛び越えて2.4m下のドーム床まで落下してしまった件だ。
もうひとつは鈴木武蔵の日本代表選出。代表の大黒柱である大迫がチーム事情とアジアカップでの負傷から,ブレーメンが協力を拒否したと伝えられる中,たった二人のFWのひとりとして,札幌としては吉原以来20年振りとなる吉報にサポーターは沸いた。ソンユンとチャナティップという,それぞれの母国で選出された2名と併せ,3ヶ国の代表選手が揃うチームとなれば,アジアチャンピオンの鹿島に決してひけは取らない。文字通りアジアを代表するリーグのレヴェルを体感できるゲームが札幌で観られる,はずだった。
だが残念ながら,結果はそうはならなかった。
これが伝統の力なのか。昌子と植田が移籍しエースFWの鈴木を欠いた鹿島は,札幌が歯が立たなかった昨年と比べて戦力ダウンは否めないはず。更に今週アウェーで行われたACLで消耗していることも加味すれば,どこかに新たな隙が生じているはず,という儚い希望は無残にも前半戦で打ち砕かれてしまった。
武蔵と共に代表に初選出された安西と新たに10番を背負う安部は,札幌の緩いマークを嘲笑うかのように何度も左サイドを切り裂いた。百戦錬磨のヴェテラン伊藤翔は,韓国代表GKの頭上を美しいループによって越えるシュートで軽やかにネットを揺らしてみせた。マンマークのタイトな距離感にも大きな差があった。複数で囲い込むアプローチ,トップにはいったくさびをフォローする選手の数,すべてに格上のチームという空気感が漂っていた。2点差で済んで良かったと言える試合だった。
札幌は武蔵が前半,完全に町田と犬飼にスペースを消されたことで,ペースを失ってしまった感じだった。福森や荒野のパスはことごとく精度を欠き,深井はボールを奪ってもゆっくりと出し所を探っているうちに簡単に奪い返され,進藤のスライディングはまるで「お約束」のようにスルリとかわされ,チャナティップのドリブルの方向も完全に相手の予測範囲で止められてしまっていた。
ルーカス・フェルナンデスが相変わらず溌剌としたプレーを続けているだけに,右サイドの進藤が今日の安西をお手本に,積極的に攻撃に絡んでいくことによって活路を見出していくのもひとつの解決策になるかもしれない。
潜在的に持っている力の差が顕著に現れた試合となってしまったが,石川の危機管理スライディングや,菅に替わって入った白井の前傾姿勢,一矢報いたアンデルソン・ロペスのヘッドなど,23千人を超える観客が次に期待を寄せられそうな要素は,いくつか最終盤に見せてくれた。代表ウィーク明けには,せめてマークの綻びくらいは修正して,気分新たに新学期を迎えられることを期待したい。
ひとつはワイドショー的な話題に昇華してしまった「消えたストライカー」。勿論,チームの3得点目となるゴールを奪ったアンデルソン・ロペスが,歓びのあまり広告ボードを飛び越えて2.4m下のドーム床まで落下してしまった件だ。
もうひとつは鈴木武蔵の日本代表選出。代表の大黒柱である大迫がチーム事情とアジアカップでの負傷から,ブレーメンが協力を拒否したと伝えられる中,たった二人のFWのひとりとして,札幌としては吉原以来20年振りとなる吉報にサポーターは沸いた。ソンユンとチャナティップという,それぞれの母国で選出された2名と併せ,3ヶ国の代表選手が揃うチームとなれば,アジアチャンピオンの鹿島に決してひけは取らない。文字通りアジアを代表するリーグのレヴェルを体感できるゲームが札幌で観られる,はずだった。
だが残念ながら,結果はそうはならなかった。
これが伝統の力なのか。昌子と植田が移籍しエースFWの鈴木を欠いた鹿島は,札幌が歯が立たなかった昨年と比べて戦力ダウンは否めないはず。更に今週アウェーで行われたACLで消耗していることも加味すれば,どこかに新たな隙が生じているはず,という儚い希望は無残にも前半戦で打ち砕かれてしまった。
武蔵と共に代表に初選出された安西と新たに10番を背負う安部は,札幌の緩いマークを嘲笑うかのように何度も左サイドを切り裂いた。百戦錬磨のヴェテラン伊藤翔は,韓国代表GKの頭上を美しいループによって越えるシュートで軽やかにネットを揺らしてみせた。マンマークのタイトな距離感にも大きな差があった。複数で囲い込むアプローチ,トップにはいったくさびをフォローする選手の数,すべてに格上のチームという空気感が漂っていた。2点差で済んで良かったと言える試合だった。
札幌は武蔵が前半,完全に町田と犬飼にスペースを消されたことで,ペースを失ってしまった感じだった。福森や荒野のパスはことごとく精度を欠き,深井はボールを奪ってもゆっくりと出し所を探っているうちに簡単に奪い返され,進藤のスライディングはまるで「お約束」のようにスルリとかわされ,チャナティップのドリブルの方向も完全に相手の予測範囲で止められてしまっていた。
ルーカス・フェルナンデスが相変わらず溌剌としたプレーを続けているだけに,右サイドの進藤が今日の安西をお手本に,積極的に攻撃に絡んでいくことによって活路を見出していくのもひとつの解決策になるかもしれない。
潜在的に持っている力の差が顕著に現れた試合となってしまったが,石川の危機管理スライディングや,菅に替わって入った白井の前傾姿勢,一矢報いたアンデルソン・ロペスのヘッドなど,23千人を超える観客が次に期待を寄せられそうな要素は,いくつか最終盤に見せてくれた。代表ウィーク明けには,せめてマークの綻びくらいは修正して,気分新たに新学期を迎えられることを期待したい。