子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2009年J1リーグ第34節 鹿島VS浦和:決定力によって成し遂げられた3連覇という偉業

2009年12月05日 22時39分57秒 | サッカーあれこれ
前半28分,ピッチ中央のボールを巡って小笠原と原口が肩でチャージし合った際,跳ね飛ばされたのは,元日本代表の中心選手でセリエAの経験もある小笠原の方だった。
このプレーに象徴されるように,今日の浦和は随所で気迫のこもったプレスを見せ,終始試合を支配していたように見えた。前半を終わって,既にJ2降格が決まってモチベーションを維持することが難しいのではないかと思われた柏を相手に,川崎が3対0でリードしていたことを知らされていたに違いない鹿島の焦りは相当だったはずだ。
事実,前半の興梠のヘッドがポストを叩いた場面や,後半の完全にGKと1対1になった小笠原がシュートを失敗した場面には,川崎の劇的な逆転優勝を予感させるような匂いが漂っていた。それもかなり濃厚に。

しかし,それでも最後に栄冠を手にしたのは鹿島だった。しかも決勝点となった唯一の得点は,体調不良が囁かれていた右SBの内田が入れた(それ程速くはなかったが)低いクロスに興梠が点で合わせる,という今の日本代表の切り札とも言える戦術を,代表コンビが決めて見せたところに,W杯抽選日の優勝決定という綾も感じさせて見事だった。

新たな選手の台頭は少なかったにも拘わらず,リーグ創設以来初めてとなる3連覇を達成した最も大きな要因は,正にこの試合が象徴しているように,決めるべき所で決められる「決定力」に他ならないだろう。マルキーニョス,興梠に大迫,田代と揃えたFW陣だけでなく,セットプレーにおける岩政や小笠原の基本に忠実なプレーが,ここぞという所=特に相手が絶対に守らなければならない後半の勘所,で得点を奪う姿は,得点数が川崎や大阪より10点以上も少ないという事実を感じさせないものだった。

一方の浦和は,この試合でも鹿島を上回る数のシュートを放ち,中盤でアグレッシブにしっかりとファイトしながらも,試合をものに出来ない脆さを露呈した。
だが,山田直や原口の運動量やアイデアには確かに観るべきものがあったし,ポンテが入ってから改めて明らかになった,司令塔(=ポンテ)なしの集団ポゼッションによるスピーディーな攻撃にも,確かな将来性を感じた。サポーターだけでなく協会からもマスコミからも殆どサンドバッグ状態だったフィンケの2年目は,高原に替わるアタッカー次第で開花する可能性は充分にあると見た。

残念ながら今年もシルヴァー・ホルダーとなった川崎だが,ナビスコで起こしてしまった「事件」を乗り越えて,最後までリーグを盛り上げた奮闘ぶりは褒め称えられるべきだろう。特に来年は,既に常連となったACLで,戴冠を狙って欲しい。
勿論,仮に途中で道が閉ざされたとしても,「誇りある敗者」として清々しくピッチを去る心構えも充分にあるはずだろうし。
だから関塚監督,敗れて座り込む選手を立たせようと,慌ててピッチに駆け寄る必要はなかったと思いますよ。もう彼らは大丈夫です。
今年も最後まで楽しませてくれたJ1だが,来年はW杯による中断を挟んでの闘いとなる。攻撃好きの新監督を迎え,代表組が少ない横浜,平山の再ブレーク次第で来そうな東京,更に上記の浦和辺りが鍵を握りそうな気がするが,北海道と九州からJ1チームが消えてしまった事態も何とかしてくれー!と叫びつつ,選手に労いと感謝を。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。