子供はかまってくれない

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2014年ブラジルW杯アジア地区最終予選B組 日本代表VSイラク代表【1:0】

2012年09月11日 23時46分01秒 | サッカーあれこれ
前半終了間際にカウンターから右サイドを破られ,相手の左のサイドネットを狙って放たれたミドルシュートを反応良く防いだ川島が,今日のMVPだ。
もしもあれを入れられていたら,今日の日本のコンビネーションでは,あの後に勝ち点3を奪うためのアイデアが生まれていたとは考えにくい。
消化試合が他の国よりも1試合多い日本が,一足先に勝ち点合計で二桁(10点)の大台に乗せるか,8で留まるか,その差は実質的な2点では計りきれないくらいに大きい。最終予選の折り返し地点となる4試合消化時点の勝ち点を考えると,現在2試合を残すオーストラリアとヨルダンが連勝すれば,勝ち点はそれぞれ8と7になり,日本に並ぶ,もしくは肉薄する可能性があったからだ。
開始直後のCKにピタリと合わされたヘディングシュートを弾き出したプレーと合わせて,川島が守護神として最終ラインに鎮座しているかどうかの違いは,現時点では香川がいるかどうか以上にチームの命運を左右する要素となっている,と言っても過言ではないだろう。

ジーコが率いるイラクは,前試合からメンバーを10人入れ替えてきたという。勿論,当該試合を観ていない私は,そのチームとの比較は出来ないが,若いメンバーに替わっても,少なくともボールを足下に収めるテクニック,ずるがしこい手の使い方,そしてタックルの深さなどを見る限りは,日本にひけを取っていなかったと言えるだろう。
ボランチと守備のラインが常にもう5mくらい前に出ていたら,日本の守備陣はカウンターだけでなくサイドも使ったクレバーな攻撃の圧力に抗しきれなくなっていた可能性も否定できない。

だが今日のイラクは,あのジーコが率いるチームにしては,前でボールを奪う攻撃の意識に欠けていた。テクニックもスピードもあるのに,人数をかけてボールを素速く動かそうという雰囲気は希薄だった。途中交代で入ってきた10番に代表されるように縦の迫力はあるのに,日本のバイタルエリアをパスで崩す場面は殆どなかったため,中盤での緊迫した攻防という点で見れば,19年前のドーハの闘いの方に軍配が上がるかもしれないとさえ感じた。
決して悪いチームではないが,この戦法のままではイラクがオーストラリアやオマーンを押しのけて,ブラジルの地に立つのは難しいと思われた。

日本は本田が決定的なチャンスを2度逃したほか,実に惜しかった清武のヘッドも含めて,チャンスの数は一応それなりに作り出してはいた。
だが埼玉にしては珍しいくらい荒れたピッチ・コンディションが影響していたとは言え,流れるようなパスワークは全く見られなかった。
攻撃陣で良かったのは,常に全体を見渡しては精度の高いパスを何度も繰り出していた清武と,献身的な動きと決勝点につながる見事なアシストを決めた岡崎くらいだった。
だがそれでも勝ち点を「1」ではなく「3」とした功績は,出場した13人全員のものだ,という印象も強い。開幕直後のヨーロッパ組のコンディション調整と,国内組とのコンビネーションの成熟という,今回新たに生じた課題を考えると,勝利と同じレベルで試合としての面白さを求めるブラジル人サポーターではない私にとっては,きわめて上首尾だった,と締め括りたい。
ザックと握手しようとして待ちぼうけを食らったジーコ,ごめんなさい。


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