子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「ラビット・ホール」:静かに,だが着実に夫を凌駕しつつあるニコール・キッドマンのキャリア
オーストラリアからハリウッドに出てきて20余年。結婚,離婚,二度目の結婚,出産,最も出演料の高い女優NO.1,アカデミー主演女優賞,それにゴールデングローブ賞とゴールデンラズベリー賞両方の受賞。ニコール・キッドマンは女性として,そして女優として,どちらのキャリアにおいても希求されるであろうほとんど全ての項目(時には忌避されるべきものも)をクリアしながら,何故かいつまで経っても「功成り名遂げた感」や「大御所感」が極めて希薄という,貴重な女優だ。
高額の出演料の割に興行収入が低い,ということで,「最もコスト・パフォーマンスが悪い女優」とも呼ばれているらしい彼女だが,ジョン・キャメロン=ミッチェルの新作「ラビット・ホール」で見せている演技の質は,間違いなく出演料に見合ったものだと思われる。もっとも,本作の出演料が幾らなのかは,知らないのだが…。
事故によって4際の子供を失ってしまった中年夫婦の危機を,事故を起こしてしまった青年との交流を交えて淡々と描いた,今話題の「オリンパス」ピクチャーズが制作に関わったホームドラマだ。
子供に対する想いへの対処がすれ違ってしまった夫婦ふたりの心のひだを掬い取るジョン・キャメロン=ミッチェルの演出は,手堅く,緻密。
道路に飛び出してきた子供をはねた事故ということで,法的な過失はないのに,死亡事故に関わったという事実の重みにあえぐ若者を,夫婦のバランスを取るための支点の位置に配することで,決して広くはないドラマの世界に見た目よりも深い奥行きを与えることに成功した脚本(および原作)のデヴィッド・リンゼイ=アベアー共々,まるでかつての日本映画の佳品が持っていたような繊細な空気を漂わせた功績は大きい。
キッドマンの母親役のダイアン・ウィーストがいつも通りの気品を湛えた演技を見せているが,キッドマンは20年後にはひょっとするとウィーストを凌ぐ演技者になっているのではないかという気配を,劇中何度か感じさせる。それくらい彼女の成長は著しい。元夫のトム・クルーズが,何年経っても同じような役柄,同じような雰囲気のまま,そこかしこで年老いた気配をまき散らしながら,全く同じ土俵で勝負し続けるのも,見方によっては「潔い」と言えるのかもしれないが,どうやらキッドマンは全く違う道を歩んでいるようだ。
★★★☆
(★★★★★が最高)
高額の出演料の割に興行収入が低い,ということで,「最もコスト・パフォーマンスが悪い女優」とも呼ばれているらしい彼女だが,ジョン・キャメロン=ミッチェルの新作「ラビット・ホール」で見せている演技の質は,間違いなく出演料に見合ったものだと思われる。もっとも,本作の出演料が幾らなのかは,知らないのだが…。
事故によって4際の子供を失ってしまった中年夫婦の危機を,事故を起こしてしまった青年との交流を交えて淡々と描いた,今話題の「オリンパス」ピクチャーズが制作に関わったホームドラマだ。
子供に対する想いへの対処がすれ違ってしまった夫婦ふたりの心のひだを掬い取るジョン・キャメロン=ミッチェルの演出は,手堅く,緻密。
道路に飛び出してきた子供をはねた事故ということで,法的な過失はないのに,死亡事故に関わったという事実の重みにあえぐ若者を,夫婦のバランスを取るための支点の位置に配することで,決して広くはないドラマの世界に見た目よりも深い奥行きを与えることに成功した脚本(および原作)のデヴィッド・リンゼイ=アベアー共々,まるでかつての日本映画の佳品が持っていたような繊細な空気を漂わせた功績は大きい。
キッドマンの母親役のダイアン・ウィーストがいつも通りの気品を湛えた演技を見せているが,キッドマンは20年後にはひょっとするとウィーストを凌ぐ演技者になっているのではないかという気配を,劇中何度か感じさせる。それくらい彼女の成長は著しい。元夫のトム・クルーズが,何年経っても同じような役柄,同じような雰囲気のまま,そこかしこで年老いた気配をまき散らしながら,全く同じ土俵で勝負し続けるのも,見方によっては「潔い」と言えるのかもしれないが,どうやらキッドマンは全く違う道を歩んでいるようだ。
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