子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」:葛飾柴又状態に突入
地方への分配税制度に関して「泣く子と地頭と政府には勝てぬ」と語った何処かの都知事ではないが,ものの見事に「泣く子」に泣かされてしまった前作に続いて,またもや不覚にも落涙してしまった。ノスタルジーという枠組みの留保があったとしても,ここまで丁寧な映画づくりが今後も続けられるのだとすれば,とことん付き合っていこうと思わされる出来だ。
続編の弊害に陥らない筋立て,と評論家筋にも好評のようだが,前作に比べると脚本自体はやや粗いと感じられた。新しい登場人物や個々のエピソードが,物語に豊かさを与える形に繋げられてはいないように思えたためだ。
特に薬師丸ひろ子と上川隆也の重要な出会いが,何故か物語の行方に全く影響を与えずに収束してしまうことによって,高速道路のない日本橋のシーンが,すっかり霞んでしまっことが残念だ。
また,路地で繰り広げられるドラマを際立たせるためには,路地の外のシークエンスとの対比が大切になるが,先生に吹石一恵を配した学校の描写が平板で精彩を欠くが故に,語り手となった子供達の視点に客観性を付与するチャンスを逃してしまったようにも見える。
そんな風にいくつか欠点は目に付くのに,全体の印象はやはり「ウェルメイドな泣かせるホームドラマ」だった。今の日本映画で,座席に深く腰掛けて心おきなく物語に没入出来る,という感覚を得られる作品はそう多くはない。
見事なCGとリアルなファンタジーを追求した美術を背景に繰り広げられるこてこての演技,そしてそれを包み込む撮影技術の素晴らしさ。撮影監督の柴崎幸三が作り出す画面の質感は,昭和30年代の怪獣映画に併映されていた東宝映画を思い出させ,カメラの滑らかな動きは,人々を優しく包み込む。
更に,大人の世界の辛さをじんわりと浮き彫りにするべく登場してくる,大勢の脇役達が渋い。小雪の踊り子仲間となる手塚理美と貫地谷しほり,役者冥利に尽きるであろう味のある悪役を前作に続いて演じる小日向文世と小木茂光のコンビ。そして冷蔵庫の普及に伴って,前作の氷屋からアイスキャンデー屋に鞍替えして顔を見せるピエール瀧。群衆劇特有のキャスティングの妙を,画面のあちこちで堪能することが出来るはずだ。
しかし何よりも驚愕させられたのは,「男はつらいよ」シリーズの冒頭で繰り広げられた寅さんの白昼夢もかくやという,同じく冒頭のエピソード。山崎真監督はたったの数カットで,長く輝かしい東宝怪獣映画の伝統にオマージュを捧げるとともに,新しいゴジラ映画誕生の可能性を高らかに宣言したのだ。次も熱いぞ。
続編の弊害に陥らない筋立て,と評論家筋にも好評のようだが,前作に比べると脚本自体はやや粗いと感じられた。新しい登場人物や個々のエピソードが,物語に豊かさを与える形に繋げられてはいないように思えたためだ。
特に薬師丸ひろ子と上川隆也の重要な出会いが,何故か物語の行方に全く影響を与えずに収束してしまうことによって,高速道路のない日本橋のシーンが,すっかり霞んでしまっことが残念だ。
また,路地で繰り広げられるドラマを際立たせるためには,路地の外のシークエンスとの対比が大切になるが,先生に吹石一恵を配した学校の描写が平板で精彩を欠くが故に,語り手となった子供達の視点に客観性を付与するチャンスを逃してしまったようにも見える。
そんな風にいくつか欠点は目に付くのに,全体の印象はやはり「ウェルメイドな泣かせるホームドラマ」だった。今の日本映画で,座席に深く腰掛けて心おきなく物語に没入出来る,という感覚を得られる作品はそう多くはない。
見事なCGとリアルなファンタジーを追求した美術を背景に繰り広げられるこてこての演技,そしてそれを包み込む撮影技術の素晴らしさ。撮影監督の柴崎幸三が作り出す画面の質感は,昭和30年代の怪獣映画に併映されていた東宝映画を思い出させ,カメラの滑らかな動きは,人々を優しく包み込む。
更に,大人の世界の辛さをじんわりと浮き彫りにするべく登場してくる,大勢の脇役達が渋い。小雪の踊り子仲間となる手塚理美と貫地谷しほり,役者冥利に尽きるであろう味のある悪役を前作に続いて演じる小日向文世と小木茂光のコンビ。そして冷蔵庫の普及に伴って,前作の氷屋からアイスキャンデー屋に鞍替えして顔を見せるピエール瀧。群衆劇特有のキャスティングの妙を,画面のあちこちで堪能することが出来るはずだ。
しかし何よりも驚愕させられたのは,「男はつらいよ」シリーズの冒頭で繰り広げられた寅さんの白昼夢もかくやという,同じく冒頭のエピソード。山崎真監督はたったの数カットで,長く輝かしい東宝怪獣映画の伝統にオマージュを捧げるとともに,新しいゴジラ映画誕生の可能性を高らかに宣言したのだ。次も熱いぞ。
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